どんぐりで木を見分ける|帽子(殻斗)の形と葉で知るブナ科の木
葉の鋸歯と常緑・落葉を確かめる
ギザギザの形と位置を見る
葉の縁のギザギザを鋸歯といい、「きょし」と読みます。のこぎりの歯のような形を表す言葉ですが、鋭いもの、丸みのあるもの、先の方だけにあるものなど違いがあります。葉全体の輪郭を見た後に、どの範囲へ鋸歯が並ぶかを追うと比較しやすくなります。
コナラでは葉の上半分が広がる傾向があり、クヌギは細長い葉と針のように伸びる鋸歯が目印になります。アラカシとシラカシを比べるなら、鋸歯の粗さと葉の幅を組み合わせます。虫にかじられた欠けは不規則なので、本来の鋸歯と混ぜて数えないようにします。
マテバシイの葉の縁はおおむね滑らかです。こうした縁を全縁と呼びます。スダジイは葉の裏の黄褐色が手がかりですが、鋸歯の出方には違いがあります。裏が茶色いという一点だけで決めず、殻斗が実を包んで裂ける特徴と対応するかを確かめます。
葉を撮るときは表面だけでなく裏面も残します。葉柄という葉の付け根の柄まで写すと、長さや付け根の形を比べられます。葉の一部だけを拡大すると全体の幅が分からなくなるため、全体一枚と縁の拡大一枚を組にすると見返しやすくなります。
一枚の落ち葉から常緑とは決めない
常緑樹は、葉をまったく落とさない木ではありません。古い葉を入れ替えながら木全体では緑の葉を保つため、常緑のアラカシやマテバシイの下にも落ち葉があります。「秋に葉が落ちていたから落葉樹」という判断はできません。
落葉樹かどうかは、同じ木を季節を変えて見たり、樹名板や地域の図鑑で確認したりします。冬の木立に葉が残っていても、枯れ葉が枝に付いたままの場合があります。緑の葉と乾いた枯れ葉を区別し、遠景の色だけで決めない方が確かです。
葉の厚さやつやも補助になりますが、写真の反射で印象が変わります。日なたの葉と日陰の葉、新しい葉と古い葉では大きさや見え方に幅があります。同じ木の数枚を、枝から取らずに見える範囲で比べると、一枚だけの特徴へ引っ張られにくくなります。
秋の散策と組み合わせるなら、紅葉狩りの楽しみ方|見頃の調べ方と混雑を避けるコツも参考になります。紅葉の有無を樹種の確定材料にせず、観察しやすい日程や歩く範囲を考えるために使ってください。
その年に熟す実と翌年に熟す実
一年成・二年成の意味
コナラ、アラカシ、シラカシは、春に花が咲いた年の秋に実が熟す一年成です。クヌギ、マテバシイ、スダジイは、花が咲いた翌年の秋に熟す二年成です。「二年」と聞いて丸二年間育つと考えるより、二つの年にまたがって育つと捉えると分かりやすくなります。
二年成の木で秋に落ちる実は、その春の花からすぐに大きくなった実とは限りません。成熟までの経過を知っておくと、枝の小さな実と地面の成熟した実が並んでいても、不思議に思わず観察できます。ただし、枝の位置を確認するためによじ登ったり、枝を引き寄せたりしないでください。
成熟までの年数は、実の大きさの順位ではありません。大きい実なら二年、小さい実なら一年と分けることはできず、種類の特徴として確認します。成熟年数は、樹木図鑑の各種の解説で確かめられます。

落ちる時期と量を記録する
どんぐりが落ちる時期は種類のほか、地域、気象、その木の状態で変わります。公園の観察資料に月が書かれていても、毎年同じ日に落ち始めるわけではありません。「昨年はこの週に多かった」という自分の記録は、次の散歩の目安として使います。
地面に実が少ない場合も、まだ成熟前なのか、すでに動物が運んだのか、人が清掃したのかを区別する必要があります。一度の訪問で実がなかったことを、その木が実を付けない証拠にはしません。開園時間や清掃の様子など、観察条件も一言添えると役立ちます。
続けて見るなら、同じ道の同じ木を月ごとに撮る方法があります。樹冠全体、葉、見える範囲の実、地面の四つを同じ順に残します。写真の増加に合わせて採集量まで増やす必要はなく、木の季節変化は持ち帰らずに記録できます。
現地で実と木を結び付ける手順
落ちた場所を先に撮る
どんぐりは真下へ落ちるだけでなく、斜面を転がり、雨水や動物によって移動することがあります。隣り合う木の枝が重なっていれば、足元の実と最も近い幹が対応するとも限りません。木の名前を調べる前に、実がどこへ集まっていたかを残します。
- 園路から見える範囲で実の分布を眺め、周囲の木も入れて撮影します。
- 殻斗が付いた実があれば、その状態を動かす前に撮ります。
- 木の全体、樹名板、枝に付いた葉を無理のない位置から写します。
- 持ち帰り可能な場合だけ、少数を木ごとに分けて採集します。
- 袋と写真に同じ番号を付け、確実な対応と推測を区別します。
実と殻斗が離れている場合、「同じ場所に落ちていた」という記録は残せますが、「この実の殻斗」とは限りません。うまくはまったからといって本来の組み合わせとは決めず、別々の番号にして位置関係を書きます。見栄えを整える作業は、観察上の対応が分かった後に行います。

名前を保留して観察を終える
例えば輪状の殻斗を拾って、幅広い葉も見つけたなら、アラカシが候補になります。それでも葉が同じ木のものか分からなければ、「輪状の殻斗、アラカシ候補、葉との対応未確認」と記します。分かった特徴と未確認の関係を分けると、次に見るものがはっきりします。
樹名板は有力な手がかりですが、札が付いた木と採集位置の関係を確認します。隣の木の札を一緒に写してしまうこともあるため、幹と札と枝の広がりが分かる写真を一枚足します。図鑑の特徴と合わなければ、札の文字だけを優先せず、観察会などで相談する材料にします。
迷う種類は、公園の解説員や自然史系の博物館の相談窓口へ、利用方法を確かめて尋ねます。実の一枚の写真より、殻斗、葉の表裏、場所、日付をそろえた方が話が進みます。現物の持ち込みが可能かは先に確認し、分からないまま大量に送り付けないようにしてください。
写真を整理するときは、最初の一枚に採集番号を書いた紙を入れ、その後へ全体、葉、実の写真を並べる方法があります。離れた木へ移るときは番号を変え、同じ形の実が見つかっても別の記録として残します。位置は「入口から右の園路、最初のベンチ付近」のように、再訪できる目印で書きます。公開する記録では、私有地の詳しい位置や採集の集中につながる情報を出す必要があるかも考えます。










