自転車チェーンの掃除と注油|汚れの見分け方、オイルの種類、ふき取りまでの手順
手順1:車体と作業場所を整える
倒れないことと巻き込まれないこと
必要なのは、適合するチェーン用潤滑剤、清掃用と仕上げ用のウエス、床を守るシート、廃液を受けるトレー、必要に応じた保護具です。洗浄剤を使う場合は、製品が指定する手袋や保護眼鏡なども用意します。道具を先に並べ、途中で車体を不安定なまま離れないようにします。
作業場所は、平らで足元が滑らず、子どもやペットが近づかない所を選びます。溶剤を含む製品を使う場合は、換気と火気に関する表示を守ってください。油や洗浄液を路面、土、雨水ますへ流さず、落ちた液を受けられるようにします。
油をリムの制動面、ディスクローター、ブレーキパッド、タイヤへ付けないでください。付着した、または付着が疑われる場合は走行を止め、自転車店へ相談します。部品が動いている間はチェーンへ布や指を近づけず、モーターや電動工具で回して作業しないでください。
- 自転車とチェーンの取扱説明書を確認し、家庭で行える清掃の範囲を把握します。ベルト駆動の車種にはチェーン用の手順を使いません。カバーを外さなければ触れない場合も、外し方が分からなければ店へ依頼します。
- 電動アシスト車は電源を切り、バッテリーの取り扱いなど車種の指定に従います。スイッチを切っただけでどの構造も同じように扱えるとは考えず、説明書の点検時の注意を確認します。
- 適合する整備スタンドなどで車体を安定させます。普段の駐輪用スタンドだけでペダルを動かしてよいとは限りません。安定して作業できる支持方法がなければ、その場で無理に進めないでください。
- ブレーキの位置を確認し、油を扱う手、布、容器が触れない動線を作ります。清掃に使う布と、ほかの部品に使う布を分けます。飛散を防ぐ準備をしても、油を広く噴霧してよいわけではありません。
- 袖口やひも、髪をまとめ、布に長いほつれがないかを見ます。チェーンを動かすときと触るときを分け、ペダルから手を離して完全に止まった後で布を当てる手順にします。
車体を裏返すと、サドルやハンドル、表示器などへ負担がかかる場合があります。置き方を自己判断で決めず、車種に適した支持方法を選んでください。また、後ろへペダルを回してもチェーンが動かない車種があります。回転方向を無理に変えたり、後輪を強く回したりせず、指定の扱いを確認します。
この先は、見えている下側の直線部分を少しずつ処理する考え方です。チェーンを送る必要があるたびに、布と手を完全に離してから車種に合った方法でゆっくり動かし、止めてから次の範囲へ移ります。歯車へ入り込む場所をつかんで作業しないことが、巻き込みを避ける基本です。
手順2:ウエスで表面の汚れを取る
最初のふき取りでは、チェーンを新品の色へ戻すことより、外側の余分な油や付着物を減らすことを目標にします。きれいな布でも薄く黒くなることはあり、布が完全に白いままになるまでこすり続ける必要はありません。潤滑剤の種類によっては、膜や乾いた残りがあることも説明に含まれています。
- チェーンが止まっていることを確かめ、下側の手が届く直線部分へウエスを当てます。手を歯車から離したまま、左右のプレートの表面をやさしくふきます。布を強く押し込んで、ピンやローラーへ絡ませないようにします。
- 布の面を変えながら、上下の表面にある余分な油や汚れを取ります。大きな砂粒があれば押し付けて引きずらず、周囲を傷めないように取り除きます。尖った金属の工具で隙間をほじることは避けます。
- 一範囲を終えたら、布と手を離し、チェーンを少し送ります。完全に止めてから次の範囲へ布を当てます。この動作を繰り返し、一周分の状態を見ます。
- 外側の厚い汚れが減ったか、ローラーの周囲へ固い塊が残っていないかを確認します。引っ掛かり、変形、深いさびが見つかったら、その先をこすって直そうとせず作業を止めます。

布の汚れた面を繰り返し当てると、集めた汚れを戻すことになります。折り返して清潔な面を出し、清掃用と最後のふき取り用を分けます。使用済みの布を、後でローターやリムの制動面の清掃に使うことは避けてください。
歯車や変速機の小さな歯車にも厚い汚れがある場合は、チェーンだけをきれいにしても再び汚れが移ります。ただし、部品の奥へ手を入れる、変速機を無理に動かす、歯車を外すといった作業へ広げる必要はありません。手が安全に届く範囲を超える汚れは、まとめて店で清掃してもらう選択ができます。
雨の後は、外側の水分もここで取ります。内部に水が残りそうな濡れ方をした場合や水洗いした場合は、そのまま注油へ進まず、部品と潤滑剤の指定に従って乾燥させます。油を多く注げば水をすべて追い出せると考えず、目に見える水滴や湿りを残さない状態を作ります。
手順3:洗浄剤を使うか判断する
ディグリーザーは脱脂のための物
ディグリーザーは、油脂を落とすための洗浄剤です。チェーン用であっても、水で流す物、布で除去する物など使い方が異なります。塗布する時間や、ほかの素材に付いた場合の扱いも同じではありません。潤滑剤を補う物ではないため、使った後は乾燥と指定の再潤滑まで必要になります。
まず、チェーンのメーカーが認める洗浄剤かを確認します。酸性やアルカリ性の強い洗浄剤、さび取り剤などは、チェーンを傷めるおそれがあります。部品の取扱説明書でも、チェーンには適切な洗浄剤を使い、酸性やアルカリ性の強い洗浄剤を避けるよう注意されていることがあります。台所や浴室の洗剤を、油を落とせるという理由だけで転用しないでください。
チェーンと洗浄剤の説明が一致しない場合は、強い方の方法を選ぶのではなく、使うのをやめて確認します。「自転車用」と書かれていても、すべての表面処理、樹脂、塗装へ同じように使えるわけではありません。適合性が分からなければ、家庭では乾いたふき取りにとどめられます。
除去と乾燥までを一組にする
- 油や洗浄液を受けるトレーを置き、説明書に沿った保護具を着けます。換気を行い、火気を遠ざけます。容器を別の飲料用ボトルへ移し替えず、ラベルを読める状態で使用します。
- 製品が指定する方法と量で、停止したチェーンを洗浄します。布へ付けて使う指定なら布へ取り、直接噴射する指定があっても、ブレーキなどへの飛散を防げない環境では使いません。指定以上の時間、浸したままにしないでください。
- 製品の方法に沿って洗浄剤と汚れを除去します。水ですすぐ指定の物を単に乾かして終えたり、ふき取り用の物を自己判断で大量の水へ流したりしないようにします。高圧の水を軸受や電装部品へ向けることは避けます。
- チェーンを、潤滑剤が求める状態まで乾燥させます。火や熱風で急に加熱せず、乾燥時間も作業時間として確保します。使った液と布は、表示および自治体の案内に沿って処分します。
脱脂直後のチェーンは、外見がきれいでも必要な潤滑が不足していることがあります。見た目がよいからそのまま乗るのではなく、選んだ潤滑剤の下準備と塗布へつなげます。作業の途中で時間がなくなった場合は、未完了であることを分かるようにし、乗らずに保管します。
チェーンを挟んで回す清掃器具もありますが、装着方法、液量、車種の適合が必要です。器具があれば飛散や巻き込みの心配がなくなるわけではありません。初めから脱着洗浄や器具の使用を増やすより、ウエスで管理できる状態を保ち、必要な深い清掃を店へ頼む方法でも続けられます。










