包丁の砥石での研ぎ方|番手の選び方、角度の保ち方、かえりを目安に仕上げる手順
家の包丁を砥石で研いでみたい人に向けて、荒砥・中砥・仕上げ砥の番手の違い、浸水タイプと水をかけるだけのタイプの使い分け、刃の角度を保つ持ち方、かえりを目安に進める手順、両刃と片刃の違い、砥石の面直しと安全に作業するための注意までをまとめました。

買ったときはよく切れた包丁も、毎日使ううちに刃先が少しずつ丸くなり、トマトの皮がつぶれたり、玉ねぎを切ると目にしみやすくなったりします。シャープナーで手早く整える方法もありますが、砥石で研ぐと刃先の形をきちんと作り直すことができ、切れ味が長持ちしやすくなります。
砥石での研ぎは難しそうに見えますが、押さえるべき点は、砥石の番手を選ぶこと、刃の角度を一定に保つこと、かえりを目安に進めることの三つです。ここでは、道具の選び方から研ぐ手順、仕上げと後片付け、安全に作業するための注意までを順に紹介します。切れるようになった包丁の使い方は、野菜の切り方の基本もあわせてどうぞ。
包丁が切れなくなるしくみ
研ぎ方を知る前に、包丁がなぜ切れなくなるのかを知っておくと、どこを研げばよいのかがわかりやすくなります。
刃先は目に見えないほど細い
よく切れる包丁の刃先は、拡大して見ると、非常に細い線のようになっています。この細い刃先が食材の繊維に食い込むことで、力を入れなくてもすっと切れます。
使っているうちに、刃先はまな板や食材に当たって少しずつつぶれ、丸くなったり、細かく欠けたりします。刃先が丸くなると、食材に食い込まずに押しつぶすようになり、切れ味が落ちたと感じます。研ぐというのは、つぶれた刃先を削り取り、新しい細い刃先を作り直す作業です。
研ぐことと整えることの違い
包丁の手入れには、「研ぐ」と「整える」の二つがあります。砥石で研ぐのは、刃の金属を削って新しい刃先を作る作業です。一方、研ぎ棒(シャープニングロッド)で刃をなでるのは、曲がった刃先をまっすぐに戻す「整える」作業で、金属はほとんど削りません。

刃先の曲がりだけなら研ぎ棒で戻りますが、刃先がすり減って丸くなったら、砥石で研ぐ必要があります。
砥石の種類と番手を選ぶ
砥石には、目の粗さを表す番手(#)があり、数字が小さいほど粗く、大きいほど細かくなります。番手によって、削れる量や仕上がりが大きく変わります。

荒砥・中砥・仕上げ砥
番手は、大きく三つに分けられます。
| 種類 | 番手の目安 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 荒砥 | 数百番程度 | 欠けの修正、大きく形を直す |
| 中砥 | 千番前後 | ふだんの研ぎ。切れ味を戻す |
| 仕上げ砥 | 数千番以上 | 刃先を滑らかにし、切れ味を長持ちさせる |
家庭の包丁を手入れするなら、まず中砥が一本あれば十分です。千番前後の中砥は、ほどよく削れて、仕上がりもそれなりに滑らかになるため、初めての一本に向いています。
荒砥は、欠けがあるときや、長く研いでいなかった包丁の形を直すときに使います。削る量が多いので、慣れないうちに使うと刃を減らしすぎることがあります。仕上げ砥は、中砥で研いだあとの刃先をさらに細かく整え、切れ味を長持ちさせたいときに加えます。
浸水タイプと水をかけるタイプ
砥石には、使う前に水に浸しておくタイプと、表面に水をかけるだけで使えるタイプがあります。
浸水タイプは、使う前に水に浸して、砥石から細かな泡が出なくなるまで水を吸わせてから使います。浸す時間の目安は砥石によって違うので、説明書を確かめてください。水をかけるだけのタイプは、準備がすぐに済むので、思い立ったときに研ぎやすいのが利点です。逆に、長く水に浸すと割れやすくなるものもあるので、浸水タイプと同じように扱わないよう注意します。
砥石の台と滑り止め
研いでいる間に砥石が動くと、角度が崩れて危険です。砥石を置く台や、ゴム製の滑り止めを使い、しっかり固定します。台がなければ、濡らした布巾を敷いた上に置くだけでも、ずれにくくなります。











