紅葉と黄葉のしくみ|葉が赤や黄色に変わる理由と、色づきを左右する条件
身近でできる観察と記録
紅葉のしくみを知ると、近所の公園や街路樹でも観察したくなります。特別な道具はいりません。いくつかの観点を決めて見るだけで、色づきの変化がぐっとおもしろくなります。

一本の木を定点観察する
- 通りがかりに見られる木を一本決める。カエデとイチョウのように、色の違う木を二本選ぶと比べやすい。
- 週に一、二回、同じ場所、同じ向きから写真を撮る。
- 撮った日の天気や、朝の冷え込みの様子を一言メモしておく。
- 南側と北側など、日当たりの違う面も撮っておく。
- 葉がすべて落ちたら、写真を並べて色づきの順番を見返す。
続けてみると、色づきが木の外側や上のほうから進むことや、冷え込んだ朝のあとに色が一気に進むことなど、本で読んだしくみを自分の目で確かめられます。

落ち葉を集めて比べる
落ち葉を拾って、色ごとに並べてみるのもおすすめです。赤・黄・茶の葉を並べたら、葉を光に透かしてみましょう。葉脈のまわりだけ緑が残っている葉や、赤と黄色がまだらになっている葉など、一枚ごとの違いがよく見えます。虫めがねがあれば、葉の表面の細かな模様も観察できます。
拾った葉は、新聞紙や吸水性のある紙にはさみ、本などの重しをのせて乾かすと押し葉になります。数日おきに紙を取りかえると、カビが生えにくくなります。ただし赤い色は時間とともに褪せやすく、茶色っぽく変わっていきます。色の記録としては、拾ったその日に写真を撮っておくと確かです。
草やつるの色づきにも目を向ける
色づくのは木だけではありません。ツタのようなつる植物は、建物の壁や石垣をおおったまま赤く色づき、街なかでも鮮やかな紅葉を見せてくれます。野原や土手では、草が赤や黄色、茶色に色づく姿が見られ、俳句では草紅葉(くさもみじ)という秋の季語にもなっています。
足もとの草の色づきは、木の紅葉ほど目立ちませんが、近づいて見ると一本の茎の上で緑から赤へ移り変わっている様子などがよくわかります。散歩の途中にしゃがんで眺めてみると、紅葉の観察がもう一段広がります。
色素のちがいを確かめる
赤い葉の色素であるアントシアニンは水に溶けやすく、酸性かアルカリ性かによって色が変わる性質があります。紫キャベツの色水で行う実験と同じ考え方で、赤い葉を細かくちぎって湯にひたし、色が出た液に酢を少し加えると赤みが強くなるのを確かめる方法があります。葉の種類や量によっては色が薄く、変化がわかりにくいこともあります。
湯を使う作業は、やけどに気をつけて大人が行いましょう。また、観察に使った葉や液は口に入れないでください。拾った葉に触ったあとは手を洗い、私有地や管理された庭園では、落ち葉を持ち帰ってよいかどうかを確かめてからにしましょう。
観察ノートのつけ方
写真だけでなく、短いメモを残しておくと、あとで見返したときに気づきが増えます。書く内容は多くなくてかまいません。次のような項目を、一回の観察ごとに一行ずつ書くだけで十分です。
- 日付と時刻、その日の天気
- 木の名前(わからなければ「門の横のカエデ」のような呼び名)
- 全体の色の割合(緑が半分、赤が少し、など)
- 日なた側と日陰側の色の違い
- 落ち葉の量や、葉の傷み具合
色の割合は、正確でなくてもかまいません。「先週より赤が増えた」「北側はまだ緑」といった比べ方ができれば、色づきが進む速さや向きが見えてきます。
記録を続けて一歩進む
一年だけの観察でも十分楽しめますが、同じ木を何年か続けて記録すると、年による色づきの違いが見えてきます。その年の秋の天気と照らし合わせると、「冷え込みが早かった年は色づきも早かった」といった関係を、自分の記録から考えられるようになります。
まとめ
秋の葉の色づきは、落葉樹が葉を手放す前に、葉緑素を分解して養分を回収する過程で現れる変化です。黄色は夏から葉にあったカロテノイドが見えてきた色、赤は秋に糖と光から新しくつくられるアントシアニンの色、茶色はタンニンのなかまが変化した色です。昼の晴れと夜の冷え込みがそろうと赤が鮮やかになりやすく、日なたと日陰で色が違うのも、赤い色素が光を受けてつくられるためです。
最初の一歩として、通勤や散歩の途中で見られる木を一本決め、今週と来週に同じ場所から写真を撮ってみてください。日なた側と日陰側の色の違いを一枚ずつ撮っておけば、紅葉のしくみを自分の目で確かめる観察が始まります。
よくある質問
紅葉と黄葉は何が違うのですか?
黄葉は、葉にもともと含まれていた黄色の色素が、緑の色素が分解されることで見えてくるものです。紅葉の赤は、秋になってから葉の中で新しくつくられる色素によるものです。同じ「色づく」でも、しくみが少し違います。
暖かい年は紅葉がきれいにならないのですか?
一般に、昼は晴れて暖かく、夜はよく冷えるという寒暖差のある日が続くと、赤い色が鮮やかになりやすいといわれます。秋が暖かいと色づきが遅れたり、くすんだ色になったりすることがあります。ただし色づきには日照や雨、木の状態なども関わるため、気温だけでは決まりません。
同じ木なのに、赤い葉と黄色い葉が混じるのはなぜですか?
赤い色素は光を受けてつくられやすいため、日がよく当たる外側の葉は赤く、内側や北側の日陰の葉は黄色っぽくなることがよくあります。一枚の葉の中でも、ほかの葉が重なっていた部分だけ色が違うことがあります。
落ち葉の色を長く残す方法はありますか?
新聞紙や吸水性のある紙にはさんで重しをのせ、乾かす押し葉にすると形を残せます。ただし赤い色素は時間とともに褪せやすく、完全に元の色を保つのは難しいものです。写真と合わせて記録しておくと、色の記録としても役立ちます。
常緑樹は紅葉しないのですか?
常緑樹は秋にいっせいに色づいて葉を落とすことはありませんが、古い葉が少しずつ入れ替わります。木によっては、落ちる前の古い葉が赤や黄色に変わる姿を見ることができます。











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