手のこぎりの種類と使い分け|縦挽きと横挽き、胴付きのこ、まっすぐ切るコツ
木工で使う手のこぎりの選び方と使い方をまとめました。日本ののこぎりが引いて切る理由、縦挽きと横挽きの刃の違い、両刃・胴付き・畦挽き・回し挽きなどの種類、あさりの役割、墨線に沿ってまっすぐ切る手順、よくある失敗の直し方、刃の手入れと安全な扱い方までを、初めての人向けに順に紹介します。

ホームセンターの工具売り場には、形も歯の大きさも違うのこぎりが何種類も並んでいます。木を切るだけならどれでも同じに見えますが、実は木の繊維に沿って切るのか、断ち切るのか、薄い板か太い角材か、仕上げの切断か荒切りかによって、向いているのこぎりは変わります。
合わないのこぎりで切ると、刃が詰まって進まなかったり、切り口が毛羽立ったり、線から外れて斜めになったりします。ここでは、日本ののこぎりの仕組みから、刃の種類と選び方、まっすぐ切るための手順、よくある失敗の直し方、手入れと安全な扱い方までを順に整理します。
日本ののこぎりは「引いて切る」
日本で一般的なのこぎりは、手前に引くときに木が削れる「引き切り」です。一方、欧米ののこぎりの多くは、押すときに切れる「押し切り」が基本です。
引き切りの利点
のこぎりを押して切ると、刃に押す方向の力がかかり、刃が曲がらないように厚くて丈夫に作る必要があります。引き切りでは、刃が引っ張られる力を受けるので、薄い刃でもたわみにくくなります。刃が薄いと、切り落とされて粉になる木の量が少なく、少ない力で切り進められ、切り口も細くきれいに仕上がります。
その反面、薄い刃は横からの力に弱く、こじったり、無理にひねったりすると曲がったり、歯が欠けたりします。日本ののこぎりは「力を入れずに、まっすぐ引く」使い方が前提の道具だと覚えておきましょう。
歯の大きさと切れ方
のこぎりの歯の大きさは、切る速さと切り口の仕上がりを決めます。歯が大きく粗いと、一度に多く削れるので速く切れますが、切り口は荒くなります。歯が細かいと、ゆっくりしか進みませんが、切り口がなめらかで、薄い板や仕上げの切断に向いています。
太い角材を短時間で切りたいなら粗い歯、薄い板や見える部分を切るなら細かい歯、と考えると選びやすくなります。
縦挽きと横挽きの違い
のこぎりの歯の形は、木の繊維に対してどの向きに切るかによって、二種類に分かれます。
木の繊維と切る向き
木は、根から幹の上に向かって、細長い繊維が束になったものです。板や角材では、長い方向に木目が走っていて、その方向に繊維が並んでいます。
- 縦挽き: 木目(繊維)に沿って切ること。長い板を細く割くように切る場合です。
- 横挽き: 木目(繊維)を横切って断ち切ること。長い材を短く切る場合で、日曜大工ではこちらが圧倒的に多くなります。
刃の形の違い
縦挽きの歯は、先がのみのようにまっすぐで、繊維を少しずつ削り取るように切ります。繊維に沿って切るので、削り取るだけで切り進められるからです。
横挽きの歯は、一枚ずつの歯の先が斜めに研がれ、刃先が小刀のように尖っています。繊維を横から断ち切るには、まず繊維の両側に切れ目を入れてから、間を取り除く必要があり、この尖った刃先がその役目を果たします。
縦挽きの刃で横に切ると、繊維がちぎれて切り口がささくれます。横挽きの刃で縦に切ると、削る力が弱く、なかなか進みません。それぞれの向きに合った刃を使うのが、きれいに速く切るための基本です。

斜めに切るときや合板の場合
木目に対して斜めに切る場合は、角度が浅ければ横挽き、木目に近い向きなら縦挽き寄り、と考えます。どちらか迷ったら横挽きを使い、進みが悪ければ縦挽きを試す、という順番で問題ありません。
合板は、薄い板を木目の向きを交互に重ねて貼り合わせたものなので、どの向きに切っても木目を断ち切る層があります。そのため、合板は基本的に横挽きの刃か、合板用などとして売られている細かい歯ののこぎりで切ります。
両方に使える刃もある
最近の替刃式ののこぎりには、縦にも横にも斜めにも使えるように歯の形を工夫したものも多く見られます。日曜大工の範囲であれば、こうした刃一本で多くの作業がこなせます。どちらの向きでも同じ刃で切れるため、初めての一本として選ばれることもよくあります。
あさりの役割
のこぎりの刃を真上から見ると、歯が一枚ずつ左右交互にわずかに開いているのが分かります。この開きを「あさり」と呼びます。
あさりが必要な理由
あさりがあると、切り溝の幅が刃の厚みより少し広くなります。こうすることで、刃が切り溝の中で木に挟まれにくくなり、のこぎりが軽く動きます。また、削った木の粉(おが屑)が溝から外へ出やすくなります。
あさりが少ないと、刃が木に挟まれて重くなり、途中で動かなくなることがあります。逆に、あさりが大きすぎると、切り溝が広くなって切り口が荒れ、まっすぐ切るのも難しくなります。
あさりのない「あさりなし」の刃
木の表面から飛び出したダボ(木の栓)を面と平らに切り落とすときなどには、あさりのないのこぎりを使います。あさりがあると、のこぎりを面に当てたときに歯が板の表面を傷つけてしまうからです。こうした用途ののこぎりは、刃が薄くしなやかで、面に沿わせて切ることを前提にしています。
| のこぎりの部分 | 役割 | 状態が悪いと |
|---|---|---|
| 歯先 | 木を削る、断ち切る | 切れが鈍り、力が要る |
| あさり | 刃が挟まれないよう溝を広げる | 刃が詰まって動かない |
| 刃の厚み | 切り溝の幅を決める | 厚いと切るのに力が要る |
| 背金(胴付き) | 薄い刃をまっすぐ保つ | 刃がたわみ、切り口が曲がる |
| 柄 | 手の力を刃に伝える | 握りにくいと線から外れやすい |










