テスター(マルチメーター)の基本|乾電池で覚える電圧・導通・抵抗の測り方
乾電池で直流電圧を測る
手順
最初の練習には、単三形などの乾電池がちょうどよい対象です。電圧が低く、プラスとマイナスがはっきりしているため、手順を落ち着いて確かめられます。


- 黒いテスト棒を COM、赤いテスト棒を V・Ω の端子に差します。
- ダイヤルを直流電圧に合わせます。マニュアルレンジなら、電池の電圧より大きいレンジ(たとえば 20V など)を選びます。
- 電池を机に置き、赤い棒の先を電池のプラス極、黒い棒の先をマイナス極に当てます。
- 表示が落ち着いたら数字を読みます。
プラスとマイナスを逆に当てると、デジタル式では数字の前に「-」が付きます。壊れるわけではないので、慌てずに当て直してください。
表示された数字の読み方
新しいアルカリ乾電池は、公称の 1.5V より少し高めの値を示すことがよくあります。使うにつれて電圧は少しずつ下がっていきます。ただし、テスターで測っているのは、電流をほとんど流していない状態の電圧です。電池が消耗していると、機器をつないで電流が流れた瞬間に電圧が大きく下がることがあります。そのため、テスターで十分な電圧が出ていても、モーターなど電流を多く使う機器では動かないことがあります。
電池の残りを判断するときは、同じ種類の新しい電池と比べてみるのが分かりやすい方法です。何本かの電池を並べて測り、値を記録しておくと、どれから交換すればよいか判断しやすくなります。
回路の中の電圧を測る
慣れてきたら、電池をつないだ回路の各点の電圧を測ってみます。電圧は「二点の間の差」なので、黒い棒を回路のマイナス側(GND と書かれることが多い)に当てたまま、赤い棒で調べたい点に触れます。電源の電圧が出ているのに、ある部品の手前で電圧がなくなっていれば、その間の配線や接点が怪しい、と見当がつきます。
このとき注意したいのは、テスト棒の先で隣どうしの端子を同時に触れてしまうことです。細かい部品の足の間で棒が滑ると、端子間を短絡させてしまいます。先端の細いテスト棒やワニ口クリップを使い、黒い側をクリップで固定しておくと、片手が空いて落ち着いて測れます。
導通チェックで配線の切れやつながりすぎを探す
導通とは
導通とは、二点の間が電気的につながっている状態のことです。テスターの導通チェックは、二点の間の抵抗がとても小さいときにブザーを鳴らして知らせてくれます。数字を読まなくても音で分かるため、配線を一本ずつ確かめる作業に向いています。
手順と、最初に必ずやること
- 回路から電池や電源を外します。導通チェックは、電気が流れていない状態で行うのが前提です。
- テスト棒を電圧と同じ端子に差し、ダイヤルを導通(ブザー)の記号に合わせます。
- 最初に、赤と黒のテスト棒の先どうしを当てて、音が鳴ることを確かめます。
- 調べたい二点にテスト棒を当て、音が鳴るかどうかを見ます。
手順3を省くと、テスターの電池切れやテスト棒の差し込み不足に気づかないまま、「配線が切れている」と思い込んでしまうことがあります。毎回の最初に先端どうしを当てるだけで、こうした取り違えを防げます。
使いどころ
導通チェックは、次のような場面で特に役立ちます。
- ジャンパーワイヤーやケーブルの中で断線していないか
- スイッチを押したときに、本当に接点がつながるか
- はんだ付けした端子と、その先の配線がつながっているか
- 隣り合う端子どうしが、はんだで誤ってつながっていないか
最後の項目は、「鳴ってはいけないところで鳴らないこと」を確かめる使い方です。はんだ付けの後、隣どうしの端子に棒を当てて音が鳴れば、はんだのブリッジや部品の取り付け間違いを疑います。ただし、回路によってはもともとつながっている点もあるため、回路図と見比べて判断してください。
音が鳴っても安心しきらない
導通チェックのブザーは、ある程度小さい抵抗であれば鳴ります。そのため、接触が不安定でも、テスト棒を強く押し当てているときだけ鳴る、ということがあります。配線を軽く動かしながら音が途切れないかを確かめると、接触不良を見つけやすくなります。
抵抗を測る
手順
抵抗の測定も、電源を外した状態で行います。テスターは自分の電池から小さな電流を流し、そのときの電圧から抵抗を計算しているからです。回路に電気が流れたままだと、正しい値が出ないうえ、テスターを傷めるおそれがあります。
- 測る部品を回路から外すか、少なくとも電源を外します。
- ダイヤルを Ω に合わせます。マニュアルレンジなら、予想される値より大きいレンジを選びます。
- 先に赤と黒のテスト棒の先どうしを当て、ゼロに近い値になることを確かめます。
- 部品の両端にテスト棒を当て、表示が落ち着いたら読みます。
抵抗器の値はカラーコードで表されています。読み方は抵抗のカラーコードとコンデンサーの表記で詳しく紹介しています。カラーコードを読んだ値と、テスターで測った値を比べると、読み間違いの確認にもなります。
値がずれる理由
抵抗を測ると、カラーコードの値と完全には一致しないことがよくあります。抵抗器には許容差(誤差の範囲)があり、その範囲に入っていれば正常です。また、次のようなことでも値は変わります。
- 両手の指で部品の両端とテスト棒をつまんでいる(体の抵抗が並列に入る)
- 部品の足やテスト棒の先が汚れている、酸化している
- 回路に取り付けたまま測り、ほかの部品の影響を受けている
特に一つ目はよくある失敗です。大きな値の抵抗ほど、指の影響を受けやすくなります。部品をブレッドボードに差すか、片側だけをつまむようにして測ると、値が安定します。
「OL」や「1」と出たとき
抵抗が測定できる範囲より大きいとき、多くのデジタルテスターは「OL」(オーバーロード)や左端に「1」だけを表示します。マニュアルレンジならレンジを大きくし直します。それでも同じ表示なら、部品が断線しているか、テスト棒が当たっていない可能性があります。テスト棒の先どうしを当てたときにゼロ付近になるかを、もう一度確かめてください。










