LEDに付ける抵抗の計算|オームの法則と順方向電圧、抵抗値の選び方とワット数の確かめ方
LEDに付ける電流制限抵抗は、電源電圧・順方向電圧・流したい電流の三つが分かれば計算できます。抵抗が必要な理由、色ごとの順方向電圧の目安、計算の手順と単位の直し方、E系列からの選び方、抵抗のワット数の確かめ方、複数のLEDのつなぎ方、電源ごとの注意、テスターでの確かめ方までまとめました。

LEDを光らせる回路を作ろうとすると、ほとんどの作例で「LEDには抵抗をつなぐ」と書かれています。しかし、作例と違う色のLEDや違う電源を使いたくなったとき、何Ωの抵抗を選べばよいのか分からず、手元にある抵抗を適当に挿してしまう、ということもよくあります。
LEDに付ける抵抗は「電流制限抵抗」と呼ばれ、その値は、電源の電圧、LEDの順方向電圧、流したい電流の三つが分かれば、オームの法則で計算できます。この記事では、なぜLEDに抵抗が必要なのかという仕組みから、順方向電圧の目安、計算の手順、売られている抵抗からの選び方、抵抗のワット数の確かめ方、LEDを複数つなぐときの考え方、電源ごとの注意、テスターでの確かめ方までを順に見ていきます。扱うのは、乾電池やUSB、マイコンボードなど、低い電圧の直流で光らせる小さなLEDです。
LEDに抵抗が必要な理由
LEDは「電圧で電流が決まる部品」ではない
電球や抵抗器は、掛ける電圧を少し上げると、それに比例するように電流も少し増えます。ところがLEDは、電流の流れ方がまったく違います。LEDは「ダイオード」という部品の仲間で、一定の電圧に届くまではほとんど電流が流れず、その電圧を超えたとたんに、わずかな電圧の差で電流が急に増える性質があります。
この「流れ始める電圧」の目安が、順方向電圧(Vf)です。赤いLEDなら2V前後、白いLEDなら3V前後というように、LEDの種類によって決まった値の近くになります。
電圧だけで電流を合わせるのは難しい
LEDの電流は、順方向電圧のあたりで、ほんの0.1V程度の差でも大きく変わります。しかも順方向電圧には個体差があり、温度が上がると少し下がる性質もあります。電源の電圧をLEDの順方向電圧にぴったり合わせて光らせようとしても、ちょっとした違いで電流が大きく変わってしまい、安定しません。
さらに、電流が増えるとLEDが温まり、温まると順方向電圧が下がって、さらに電流が増える、という悪循環が起きることもあります。こうして電流が増え続けると、LEDは熱で傷み、明るさが落ちたり、光らなくなったりします。
抵抗が電流の「受け皿」になる
そこで、LEDと直列に抵抗をつなぎます。抵抗は、流れる電流に比例して電圧を受け持つ部品です。電源の電圧のうち、LEDの順方向電圧を引いた残りを抵抗が受け持つことで、電流がおおよそ決まった値に落ち着きます。
LEDの順方向電圧が少しずれても、抵抗が受け持つ電圧の割合が大きければ、電流の変化は小さく済みます。抵抗は単に電流を減らす部品ではなく、LEDの性質の不安定さを吸収して、電流を安定させる役割を持っているのです。

計算に使う三つの数字
抵抗値の計算に必要なのは、次の三つの数字です。計算そのものは割り算一回ですが、それぞれの数字の意味を取り違えると、計算が正しくても結果がずれてしまいます。
電源電圧(Vs)
LEDと抵抗の組に掛かる電圧です。USBから取るなら5V、3.3Vで動くマイコンのピンから光らせるなら3.3Vというように、回路のどこから電気を取るかで決まります。乾電池の場合は、使っているうちに電圧が下がっていくので、後の章で触れるように少し注意が必要です。
マイコンのピンから光らせる場合、ピンの出力電圧は、電流を流すと電源電圧より少し下がることがあります。計算の段階では電源電圧の値を使い、実際の電流は組み立てたあとに確かめる、という順番で考えると扱いやすくなります。
順方向電圧(Vf)
LEDが光っているときに、LEDの両端に掛かる電圧です。部品のデータシート(仕様書)に、「ある電流を流したときの代表的な値」として載っています。値は流す電流によっても少し変わるので、データシートでは「順方向電流20mAのとき2.0V」のように、条件とセットで書かれています。
データシートが手元にない場合は、色ごとの目安を使いますが、これはあくまで見当をつけるための値です。
流したい電流(If)
LEDに流す電流で、明るさに関わります。データシートには、連続して流せる上限の電流(定格)が載っています。実際に流す電流は、この上限よりかなり小さい値にするのが基本です。
表示灯として光らせるだけなら、数mAから10mA程度でも十分に明るく見えることが多いです。最近の明るいタイプのLEDでは、1〜2mAでもはっきり光るものがあります。電流を小さくすると、LEDの寿命が延び、電源やピンの負担も軽くなります。

順方向電圧の目安と色による違い
LEDの順方向電圧は、主に光る半導体の材料で決まり、その材料が光の色を決めています。そのため、色ごとにおおよその見当をつけることができます。

色ごとのおおよその値
一般的な砲弾型や小型のLEDでは、赤・橙・黄色は2V前後、緑は種類によって2V前後のものと3V前後のものがあり、青や白は3V前後になることが多いです。白いLEDの多くは、青く光る素子に、光を黄色に変える蛍光体を重ねて白く見せているため、順方向電圧は青と同じくらいになります。
| 色 | 順方向電圧の目安 | 計算で仮に使う値 |
|---|---|---|
| 赤 | 1.8〜2.2V前後 | 2.0V |
| 橙・黄 | 1.9〜2.3V前後 | 2.0V |
| 黄緑・緑(従来型) | 2V前後 | 2.1V |
| 緑(明るい純緑) | 3V前後 | 3.0V |
| 青・白 | 2.8〜3.4V前後 | 3.1V |
この表の値は、よく見られる範囲を示した目安です。同じ色でも製品によって違い、データシートに書かれた値がいちばん確かです。
目安で計算するときの考え方
データシートが分からないLEDで計算するときは、順方向電圧を目安の範囲のなかで「低め」に見積もると、計算上の電流が大きめに出て、実際の電流はそれより小さくなります。電流が小さくなる側にずれれば、LEDが暗くなるだけで、傷める心配は少なくなります。
もう一つの方法は、組み立てたあとにLEDの両端の電圧をテスターで測ることです。実際の順方向電圧が分かれば、それを使って計算し直せます。この方法は、後の「実際の電流を測って確かめる」の章で紹介します。
逆向きの電圧には弱い
LEDには向きがあり、足の長いほうがアノード(+側)、短いほうがカソード(-側)です。逆向きにつなぐと、多くの場合は光らないだけですが、LEDは逆向きの電圧に耐える力が小さい製品が多く、データシートの逆方向電圧の上限を超えると壊れることがあります。抵抗の計算とは別に、向きは毎回確かめます。










