パッチワークの始め方|ピースの裁ち方と縫い代、手縫いで小さな作品を仕上げるまで
パッチワークを手縫いで始める人に向けて、キルティングとの違い、綿布の選び方と水通し、型紙と縫い代の考え方を紹介します。ナインパッチの寸法、ぐし縫い、縫い代の倒し方、三層の重ね方から小さなマットの仕上げまで、具体的な手順をまとめました。角のずれや布の伸びを防ぐ確認方法も分かります。

気に入って残しておいた端切れも、一枚ずつでは使い道に迷うことがあります。小さな正方形に切って並べると、同じ布でも隣の色によって柄の見え方が変わり、日常で使える一枚にまとめられます。最初の作品なら、曲線や複雑な模様より、直線だけの小さなマットが取り組みやすいでしょう。
手縫いのパッチワークでは、針を速く動かすことより、出来上がりの線をそろえ、一区切りごとに布を平らに整えることが大切です。ここでは綿布の準備から、正方形を九枚つなぐナインパッチ、キルト綿を入れた仕立てまでを説明します。寸法を確かめる場所を決めておくと、途中でずれに気づいても直す範囲を小さくできます。
パッチワークとキルティング、三層の役割を知る
布をつなぐ工程と重ねて留める工程
パッチワークは、複数の布を縫い合わせて一枚の布にする手仕事です。小さな布片を「ピース」、ピースをつなぐ作業を「ピーシング」と呼びます。出来上がった表側の布が「トップ」です。トップを作ったあと、何に仕立てるかによって、綿を入れるか、裏を付けるかを選びます。
キルトにする場合は、トップ、キルト綿、裏布の三層を重ねます。三層を一緒に縫って、使ったり洗ったりしたときにずれにくくする工程がキルティングです。キルティングの縫い目は、布をつなぐ縫い目とは役割が違います。表に見える線の模様にもなるため、縫う前に全体の配置を考えます。
一枚布をトップにしてキルティングすることもできますし、パッチワークした布を綿なしで巾着にすることもできます。両方を必ず行う必要はありません。ただ、最初に小さな三層の作品を一枚作ると、布をつなぐところから仕上げるところまでの違いを確かめられます。

小さい作品にも仕立ての工程がある
布をつないだ時点では、外周に裁ち切りの布端が残っています。そのままではほつれやすいので、裏布と中表に縫って返すか、別の布で周囲を包む必要があります。後者はバインディングと呼ばれる方法で、細い布を一定の幅に折って四辺を始末します。
最初は中表に縫って返す方法なら、別の縁取り布を用意せずに済みます。トップの寸法を測り、裏布と綿を合わせ、返し口から表へ出して閉じる流れです。ここで紹介するマットもこの方法を使います。縁取りを覚えるのは、同じ大きさのトップをもう一枚作るときでも遅くありません。
完成の基準は、縫い目の細かさだけではありません。机の上に平らに置けること、外周の縫い目が開いていないこと、針やしつけ糸が残っていないことも確認します。小さなずれを直し続けて布を傷めるより、一枚仕上げて次に変えたい点を記録する方が、作業全体を覚えやすくなります。
布は厚みと伸び方をそろえ、色の濃淡で選ぶ
最初は綿の平織りを中心にする
初心者には、厚すぎず、織り目が極端に粗くない綿の平織りが扱いやすい素材です。布の表面が滑りすぎず、折り目も付きやすいため、印を付けて手縫いする作業に向いています。同じ綿でも厚みや硬さは違うので、二枚を重ね、針が無理なく通るか確かめます。

伸縮するニット、厚いデニム、毛足の長い布、薄く滑る布は、最初の一枚では混ぜない方が進めやすくなります。一方だけが伸びたり、重なった角だけが厚くなったりすると、線を合わせても縫ったあとに形が変わります。古着を使いたい場合も、傷みやすい部分や伸びた部分を避け、布の性質をそろえます。
裏布も、トップと厚みの近い綿布にすると洗濯やアイロンの条件をそろえやすくなります。キルト綿には素材や厚み、洗えるかどうかの違いがあります。小さなマットなら薄手で針が通りやすい物を選び、推奨されるキルティング間隔も包装で確認します。厚い綿ほどよいという選び方はしません。
柄の数より明暗の差を見る
布合わせは、好きな柄を三種類集めるだけでも始められます。ただ、同じくらいの濃さの柄を並べると、縫い合わせた正方形の境目が見えにくくなることがあります。まず明るい布と暗い布を選び、そのあとに色や柄の大きさを考えると、模様を整理しやすくなります。
| 布の組み合わせ | 見え方の特徴 | 最初の作品での使い方 |
|---|---|---|
| 小柄と無地 | ピースの境目が分かりやすい | 二種類を交互に配置する |
| 大柄と小柄 | 大柄が目を引きやすい | 大柄は中心など一部に使う |
| 明るい色と暗い色 | 格子の形がはっきりする | ナインパッチの交互配置に使う |
| 同じ濃さの多色 | 全体がなじみやすい | 境目を目立たせない作品で試す |
大柄は、完成したピースの中にどの部分が入るかを型紙で確かめます。裁ったときには花が見えていても、縫い代に隠れると印象が変わります。透明な板でなくても、紙に出来上がり寸法の窓を開ければ、使う部分を見ながら位置を選べます。
迷ったら二種類だけで九枚を並べ、スマホで一度撮って見直します。白黒表示にすると濃淡を比べやすい場合もあります。ここでは明るい布をA、暗い布をBとして、上段と下段を「A・B・A」、中央を「B・A・B」にします。Aが五枚、Bが四枚という単純な配分です。
水通し・地直しと道具の準備を済ませる
洗う予定がある作品は布の表示から確認する
水通しは、裁つ前に布を水に通し、縮みや色落ちの様子を確かめる下準備です。地直しは、布の織り目のゆがみを整える作業です。水通しをすればすべての縮みや色落ちを防げるわけではありませんが、洗う作品では、未処理の布を混ぜたときの変化を減らす助けになります。
まず布の洗濯表示と販売元の説明を読みます。水洗いできる綿布なら、最初は色ごとに分けて扱い、強くもんだりねじったりせずに水を通します。濃い色は端切れで色移りの様子も確認し、色が出続ける布は淡い裏布と組み合わせない方が無難です。乾燥やアイロンの条件も素材の指定に従います。
乾かすときは布の重さで斜めに伸ばさず、形を整えます。アイロンでは織り目が直角になるよう見て、布を押し広げるのではなく、少しずつ押さえて整えます。耳の近くは硬かったりつれたりするので、ピースには使わない方がそろえやすいでしょう。市販のセット済みカットクロスなどは、独自の扱いが指定されていることもあります。
専用道具は必要な物から増やす
手縫い用の針、布に合う縫い糸、布切りばさみ、定規、型紙用の厚紙、印つけ道具、待ち針、アイロンが基本です。針は布を無理なく通る物を選び、短い針が持ちにくければ少し長い物でも構いません。細かい針目を目指して、持てない道具を我慢して使う必要はありません。
糸は手縫いに使える縫い糸を選び、三層を縫う糸は綿の厚みや針との相性も見ます。刺繍糸を束のまま使うと縫い代が厚くなりやすいため、布をつなぐ工程には通常の縫い糸が扱いやすいでしょう。刺繍で表に模様を足したい場合は、刺繍の始め方|25番糸の扱い方と最初に覚えたい基本ステッチで糸と針の選び方を確認できます。
印つけ道具は、端切れに書いて消し方まで試します。水で消す物、熱で変化する物、削って使う物は、同じ扱いができません。消える予定の線に先にアイロンを当ててよいかも説明を読み、表に残る線は必要最小限にします。作業後は針の本数を数えられるよう、針山かふた付きのケースを一つ用意します。









