棒針編みのゲージの取り方|試し編みの大きさ、測り方、目数と段数の調整
棒針編みのゲージを初めて測る人に向けて、試し編みの大きさと編み方、洗って整える理由、端を避けて目数と段数を数える方法を紹介します。針の号数を変える判断、幅と丈の比例計算、糸の太さの表示、模様編みや輪編みでの注意点まで、具体例を使ってまとめました。作品の寸法を確かめるための手順が分かります。

編み図と同じ目数で編んだのに、帽子が小さい、身頃が予定より広い。そんなときに確かめたいのがゲージです。糸と針が同じでも、糸を送る加減や編み方によって一目の大きさは変わり、その差が作品全体の寸法に表れます。
ゲージを取る作業では、小さな試し編みを作り、仕上げた編み地の一定の範囲に何目、何段あるかを数えます。数字を合わせるだけでなく、その糸で欲しい厚さや柔らかさになるかも確認できます。初めてなら、幅を計算しやすい四角い小物を思い浮かべながら進めると、測った値の使い道が分かりやすくなります。
ゲージは10cmに入る目数と段数を表す
横は目数、縦は段数として読む
編み図に「メリヤス編み、10cm平方で20目28段」とあれば、横10cmに20目、縦10cmに28段が入る編み地を想定しています。横に並ぶ輪の数が目数、下から上へ積み重なった回数が段数です。20目を編めば必ず10cmになるという指定ではなく、その密度で編めたときに図の寸法になる、という意味です。
目数が多いゲージは、同じ長さに小さい目がたくさん入る状態です。目数が少ないゲージは、一目が大きい状態になります。この関係を先に押さえておくと、針を変える方向を取り違えにくくなります。段数についても、10cmに多くの段が入るほど一段の高さは低くなります。
たとえば指定が20目で、自分の編み地が22目だったとします。指定では100目が50cmになるのに、自分の編み地では「100÷22×10」で約45.5cmです。10cmで2目の差でも、幅が広がると数cmの違いになります。小さな差だから無視できるかは、作品の大きさと用途によって変わります。
作品寸法と体の寸法は分けて考える
セーターの仕上がり胸囲には、体の寸法に加えて、着心地やデザインのためのゆとりが含まれています。ゲージは編み図が意図する作品寸法を再現するための値です。体に合わせたいからと単純に目数を減らすと、もともとのゆとりまで失う場合があります。まず自分が選んだサイズの仕上がり寸法を確認します。
一方、敷物などの四角い小物では、数cmの差を許容できることもあります。それでも、袋の口に部品を付ける、同じ大きさのパーツをつなぐ、といった条件があれば寸法合わせが必要です。「身につけない物ならゲージは不要」と一括りにせず、何と大きさを合わせるかで考えます。

編み図に複数のゲージが載っている場合は、使う模様と測定範囲を対応させて読みます。
糸の表示と道具をそろえて試す条件を決める
太さの名前だけで糸を置き換えない
糸の帯には、素材、重さと長さ、推奨される針、参考ゲージ、手入れ方法などが書かれています。中細、合太、並太といった呼び方は、糸選びの手がかりになりますが、同じ区分なら全く同じ太さや編み地になるとは限りません。よりの強さ、毛羽、糸の構造でも見え方は変わります。
別の糸へ替える場合は、太さの区分に加え、同じ重さ当たりのおおよその長さも比べます。ただし、繊維の種類や空気の含み方で重さと太さの関係は変わるため、長さが近いことだけで代用できるとは判断しません。最終的には試し編みで密度と風合いを確かめます。
海外の区分を使う糸では、英語名や数字が太さの目安になっていることがあります。Craft Yarn Councilの糸の太さの基準にも区分ごとの参考範囲が示されています。日本語の太さ名へ機械的に置き換えるより、帯の推奨針とゲージを合わせて読む方が確実です。
針は号数に加えて太さと素材を記録する
棒針は、同じ呼び番号に見えても国や表記方式が違えば太さが一致しない場合があります。編み図の「号」と、海外表記の番号を取り違えないよう、針に刻まれたmm表記や対応表も見ます。かぎ針の号数と棒針の号数も、同じ番号だから同じ太さとは考えません。
竹、木、金属などの素材は糸の滑り方に関わります。試し編みを木の針で編み、本番で同じ太さの金属針へ替えると、糸の送り方が変わる人もいます。輪針ならコードの長さや編みやすさも含め、なるべく本番と同じ道具で試します。
用意するのは、使う糸と針、目を休めるための道具、とじ針、伸びにくいものさし、記録用の紙です。柔らかいメジャーも使えますが、小さな編み地の上では曲がりやすいため、平らに置けるものさしが扱いやすいでしょう。目を区切る印もあると、途中で数え直す負担を減らせます。
手芸の道具をそろえるときの考え方は、刺繍の始め方|25番糸の扱い方と最初に覚えたい基本ステッチにも共通します。最初から道具を増やすより、今回使う材料と測る条件をはっきりさせる方が、試した結果を比べやすくなります。
糸を選ぶ段階では、作品に使う量に試し編みの分も見込みます。使い切る予定の糸で試し編みを省くと、完成後に寸法が違って編み直す方が負担になることがあります。複数の針で比較するなら、最初の一枚をほどく前に記録を取り、できれば並べて触れられる状態で残します。洗った糸を再利用するときは、巻き癖や縮れが残ったままの状態を、新しい糸で編んだ結果と混同しないようにします。
試し編みは中央に10cmを確保できる大きさにする
15cm角程度を出発点に余白を足す
10cm角ぴったりの試し編みでは、端のゆるみや作り目の締まりまで測る範囲に入ってしまいます。まずは15cm角程度を目安に、中央に安定した10cmの範囲が残るようにします。太い糸で一目が大きい場合や、模様の繰り返しが広い場合は、さらに大きくする方が測りやすくなります。
参考ゲージが20目28段なら、幅15cmは計算上30目、縦15cmは42段です。これは大きさを見積もるための数字なので、30目42段を守ることより、実際に中央を測れる大きさになっているかを優先します。端に別の編み方を加える場合は、その分も見込んで作り目を増やします。
メリヤス編みは端が丸まりやすいため、周囲を数目、数段のガーター編みなどで囲む方法があります。ただし、縁が中央を引っ張るほどきついと測定に影響します。縁を入れても丸まりが強いなら、無理に押し広げず、中央の余白を増やして編み直す方が比較しやすくなります。
本番と同じ編み方で落ち着いて編む
試し編みだからと一目ずつ強く締めたり、速く終えようと糸を引っ張ったりすると、普段の編み地と違ってしまいます。糸玉から糸を無理なく引き出せる状態にし、本番で続けられる姿勢と手加減で編みます。編み始めの数段で手が落ち着かない場合は、測る場所をその上へずらせる高さまで編みます。
- 帯と編み図を確認し、使う糸、針、模様を紙に書きます。
- 中央の測定範囲と縁の余白を見込んで作り目をします。
- 本番と同じ模様を、中央に10cm以上の高さができるまで編みます。
- 編み地を締めつけない伏せ止めなど、指定に合う方法で針から外します。
- 洗う前の寸法を測り、糸の帯と一緒に記録します。
針に掛かったまま測ると、針やコードが編み地を広げたり縮めたりすることがあります。測定用の一枚は針から外しておくと扱いやすくなります。複数の針を比較するなら、それぞれに札を付けます。編み地の見た目だけで号数を思い出そうとすると、洗って乾かした後に取り違えが起こりがちです。
試し編みを大きめに作って中央を測る方法は、Craft Yarn Councilの編み物指導用資料でも紹介されています。余白は飾りではなく、作品の中ほどに近い状態を調べるための部分です。









