テンカラ釣りの始め方|竿・ライン・毛鉤のしくみと、渓流での振り込みと流し方
出かける前に知っておきたいルールとマナー
渓流釣りには、川ごとに決まりがあります。道具をそろえる前に、行きたい川のルールを確認しておきましょう。
遊漁券と漁協の決まり
多くの川では、地域の漁業協同組合(漁協)が魚の放流や川の管理を行っています。こうした川で釣りをするには、遊漁券を購入する必要があります。遊漁券には一日券と年券などがあり、取り扱い場所は川の近くの店や、ウェブでの販売などさまざまです。
漁協の決まりには、釣ってよい魚の種類、釣りができる期間、持ち帰ってよい魚の大きさや数、釣りをしてはいけない区間などが含まれます。キャッチアンドリリース(釣った魚を逃がすこと)が求められる区間や、毛鉤やルアーだけが認められている区間を設けている川もあります。決まりは川ごとに違い、年によって変わることもあるため、必ず管理する漁協の案内で最新の情報を確認してください。
禁漁期間がある
渓流魚の多くには、産卵を守るための禁漁期間があります。地域によって違いはありますが、秋の終わりから春先にかけて釣りができない川が多く見られます。シーズンの始まりは「解禁」と呼ばれ、春の楽しみにしている釣り人も少なくありません。
禁漁期間は、何もできない時期ではありません。ラインを作ったり、毛鉤を巻いたり、後で紹介する振り込みの練習をしたりと、次のシーズンに向けた準備ができます。
先行者と地元の人への配慮
渓流釣りでは、川を上流へ向かって釣り上がるのが一般的です。すでに釣っている人がいたら、その人の上流へ割り込まないのが基本のマナーです。どうしても先へ進みたいときは、声をかけて、川から離れた場所を通って十分に間を空けてから入ります。
川に下りる道は、地元の人の畑や私有地を通っていることがあります。駐車場所や通り道に迷ったら、無理に入らず、決められた場所を使いましょう。ごみや切れた糸は必ず持ち帰ります。
遊漁券の料金や販売場所、禁漁期間、持ち帰りの決まりは、川や年によって異なります。出かける前に、その川を管理する漁協の公式サイトや案内で最新の情報を確認してください。
振り込みの手順
テンカラの振り込み(キャスト)は、竿をむやみに大きく振るものではありません。竿の後ろへの動きと前への動きを、決まった位置で止めることがいちばんのコツです。
時計の針で考える
自分の体を横から見た時計に見立てて、真上を十二時とします。振り込みは、竿を前の十時ごろの位置から構え、後ろへ振り上げて十二時から一時の間で止め、ラインが後ろへ伸びきるのを待ってから、前へ振って十時ごろで止める、という流れで行います。

具体的な手順
- 竿は、親指を上に乗せ、人差し指を添えて軽く握ります。強く握りしめると、手首が固まって止める動きが鈍くなります。
- 竿先を前に向け、ラインが水面か地面にまっすぐ伸びた状態から始めます。ラインがたるんでいると、竿の力が伝わりません。
- 肘を支点に、竿を後ろへすばやく振り上げ、十二時から一時の間でぴたりと止めます。手首を大きく後ろへ倒さないのがコツです。
- ラインが後ろへ伸びきる一瞬を待ちます。早すぎるとラインが前に絡み、遅すぎるとラインが落ちて地面や枝に引っかかります。
- 前へ振り、十時ごろでぴたりと止めます。止めた瞬間に、ラインが前へ伸びていきます。
- ラインが伸びきる直前に竿先をわずかに下げると、毛鉤が先に水面へ落ち、ラインは水面から浮いた状態になります。
よくある失敗と直し方
- ラインが前に飛ばずに足元へ落ちる: 後ろへの振りが弱いか、後ろで止めずに竿を倒しすぎていることが多いです。後ろの止める位置を少し早めにしてみます。
- ラインがぐしゃっとまとまって落ちる: 前への振りが止まらず、竿を最後まで振り下ろしていると起こります。十時で止めることを意識します。
- 毛鉤が鞭のような音を立てて飛ぶ: 後ろでラインが伸びきる前に前へ振っています。後ろでの「待ち」を半拍長くします。
- 毛鉤が後ろの草や枝に引っかかる: 後ろに竿を倒しすぎているか、後ろの空間が足りません。振る前に後ろを確認し、空間が狭いときは横から振るか、ラインを短くします。
川へ行く前の練習
振り込みは、川に行く前に練習しておくと安心です。広い公園などで、周りに人がいないことを確かめ、毛鉤の代わりに鉤のない毛糸の切れ端を結んで練習します。鉤を付けたまま練習するのは危ないのでやめましょう。地面に置いた輪や紙皿を的にして、そこに毛糸を落とす練習を続けると、距離感がつかめてきます。練習場所が利用のルールで禁止していないかも確認しておきます。
流れの読み方と、魚がいる場所
渓流魚は、川のどこにでもいるわけではありません。流れてくるエサを待ち受けやすく、しかも体力を使わずに済む場所に多くいます。
渓流の基本の地形
渓流には、いくつかの典型的な地形があります。
- 瀬: 水深が浅く、流れが速い場所。水面が波立っています。
- 淵: 水深が深く、流れがゆるやかな場所。
- 落ち込み: 段差から水が落ちて、白い泡が立っている場所。その下は深くえぐれていることが多いです。
- ヒラキ: 淵や落ち込みの終わりで、川底が浅くなって流れが広がる場所。
- 巻き返し: 岩の陰などで、流れが逆向きに渦を巻いている場所。
流れの「すじ」と「境目」を探す
魚がつきやすいのは、速い流れとゆるい流れの境目です。魚はゆるい流れの側に身を置き、速い流れに乗って運ばれてくるエサを待っています。水面の泡が線になって流れている場所は、流れが集まる「流れのすじ」で、エサもそこに集まりやすくなります。
岩の前後や、落ち込みの白泡が消えるあたり、流れがぶつかる岸際なども有望です。特にイワナは、岩陰や流れのゆるい岸際に潜んでいることが多く、ヤマメやアマゴは、もう少し流れのある場所で見られることが多いといわれます。
| 場所 | 魚がつきやすい理由 | ねらい方 |
|---|---|---|
| 落ち込みの白泡の脇 | 泡で上から見えにくく、エサが流れてくる | 泡が消えるあたりに毛鉤を落とす |
| 流れの境目 | ゆるい側で待ち、速い側のエサを取る | 境目に沿って流す |
| 岩の前後 | 岩の前後に流れのゆるい場所ができる | 岩の手前の流れに乗せる |
| ヒラキ | 浅く広がり、エサを見つけやすい | 魚に気づかれないよう遠くから探る |
| 岸際の深み | 身を隠しやすい | 岸に沿って毛鉤を流す |
下流側から近づく
渓流魚は上流を向いて泳いでいます。そのため、釣り人は下流側から近づき、上流へ向かって釣り上がるのが基本です。魚の後ろから近づく形になるので、気づかれにくくなります。
魚は、足音や水面に映る人影にとても敏感です。ポイントに近づくときは、姿勢を低くし、川原の石を鳴らさないように歩きます。水に入る前に、まず岸から近いポイントを探ってから、少しずつ奥へ進むと、魚を散らさずに済みます。










