TRPGの始め方|ゲームマスターとプレイヤーの役割、初セッションまでの準備
キャラクターを作る手順
キャラクター作成は、好きな人物像とゲーム上の数値を結び付ける作業です。最初に長い経歴を書くより、「遺跡の文字を読みたい旅人」「人の頼みを断りにくい見習い」のような短い人物像を置きます。今回のシナリオへ参加する理由があると、導入で何をしたらよいか迷いにくくなります。
- GMが示した舞台と作成条件を読み、使える選択肢を確認します。
- 得意なことと今回の目的を一つずつ決めます。
- ルールに沿って能力、技能、装備などを記入します。
- よく使う判定の場所と計算方法を確認します。
- ほかのPCとの関係を相談し、GMにシートを見てもらいます。
能力値は身体や知識などの大まかな性質、技能は特定の行動の得意さを示すことがあります。ただし、名称も意味もゲームごとに違います。「知識が高いからすべての謎が自動で分かる」とは考えず、どんな行動で数値を使うかを確認します。数値を選べる場合も、今回出番があるかをGMへ尋ねると選びやすくなります。
初回は動かしやすさを優先する
作成済みのPCが用意されているなら、それを選ぶのもよい方法です。名前や口調など、変更してよい部分を確認して少し整えるだけでも、自分の人物として扱えます。複雑な能力を詰め込むより、よく使う行動を二つほど説明できる方が、セッション中に考える余裕が生まれます。
ほかのPCと得意分野が重なっても、必ず作り直す必要はありません。片方が調査、もう片方が交渉にも取り組めるようにするなど、協力の仕方を相談します。誰かに不得意な役を押し付けて穴を埋めるより、全員が選んだ人物でシナリオを遊べるかGMと確かめる方が自然です。
人物の弱点は行動のきっかけになりますが、「他人を絶対に信じない」「依頼をすべて断る」といった設定は初回を進めにくくする場合があります。警戒心はあっても仲間とは目的を共有するなど、一緒に動ける理由を作ります。性格を守ることと、ほかの参加者の出番を奪うことを混同しないようにします。
最後に、自分のPCが持つ情報と、PLが知っている情報を分けます。たとえば別のPCだけが聞いた話は、物語の中で共有されるまで自分のPCは知りません。メモ欄を「共有済み」「自分だけが知ること」に分けると整理しやすくなります。情報の扱いが特殊なゲームでは、その卓の説明を先に聞いてください。
セッションゼロで遊び方を合わせる
セッションゼロは、本編を始める前に参加者の希望と条件を話し合う時間です。別日に集まっても、初回の冒頭で行っても構いません。物語の秘密を明かすための会ではなく、全員がどんな遊びに参加するのかを確かめる場と考えると、相談する内容がはっきりします。
まず、会話と戦いの比重、軽い雰囲気か緊張感のある雰囲気か、PC同士の対立を扱うかを話します。大きなけがやPCの退場が起きる可能性も、ゲームの特徴として先に伝えます。すべてを細かく予告できなくても、「仲間同士で協力する短編」のような前提がそろうと人物を作りやすくなります。
苦手な表現は理由を求めず確認する
暴力、身体の損傷、虫、差別、恋愛など、避けたい話題や詳しく描写してほしくない内容を尋ねます。「一切出さない」と「存在は触れても詳しく描かない」は異なるため、範囲も確認します。個人的な経験を説明させたり、その程度なら大丈夫だと説得したりしないことが大切です。
全員の前で言いにくい場合に備え、GMや進行の担当者へ個別に連絡できる方法も用意します。共有するのは必要な配慮の内容で、誰が申し出たかまで伝える必要はありません。事前の確認で何も挙がらなくても、遊んでみて初めて苦手と気付くことはあります。後から変更できる約束にしておきます。

止める合図は、短い言葉やチャットの記号など、誰でも使えるものを一つ決めます。合図が出たら進行を止め、詳しい説明を求めずに場面を飛ばす、描写を変える、休憩する方法を相談します。声を出すことが難しい人もいるため、通話中でも文字で伝えられる経路を残すと使いやすくなります。
苦手な場面を我慢することを、TRPGに慣れる条件にしないでください。参加者は後から希望を変えられ、休憩や退出も選べます。約束が守られない卓では、続けることより自分が離れられることを優先します。
録音、撮影、配信、感想の公開も別々に確認します。遊ぶことへの同意は、声や個人名を公開することへの同意とは同じではありません。記録を残すなら目的、見られる人、保存方法を伝え、誰かが断っても参加しづらくならない形を考えます。シナリオの秘密が写る画面にも気を配ります。
短いシナリオと時間の配分
初回は、一度で一区切りになる短いシナリオが扱いやすくなります。単にページ数が少ないだけでなく、目標が分かる、主な場所が少ない、使うルールが絞られているかを見ます。「村の保管庫から消えた荷物を探す」のように、何を確かめれば前へ進めるか見えやすい題材なら、質問もしやすくなります。
GMはシナリオを一度通して読み、導入、手がかり、重要な判定、終わりの条件を確認します。そのうえで、基本判定を試す練習場面を作っておくと説明が具体的になります。すべての分岐に長いせりふを書くより、登場人物が知る情報と、PCに何を頼みたいかを短く整理する方が参照しやすいでしょう。
時間は「本編の目安」と「集まっている時間」を分けます。初回には自己紹介、道具の説明、接続確認、休憩、終了後の片付けが加わります。短編でも数時間の枠を考え、募集の所要時間にどこまで含まれるかを尋ねます。以下は四時間の枠を取れた場合の仮の配分で、標準時間を示すものではありません。
| 時間の使い道 | 配分の一例 | 先に決めること |
|---|---|---|
| 確認と自己紹介 | 三十分ほど | 本編前の約束と基本判定 |
| 本編の前半 | 一時間ほど | 最初の目的と手がかり |
| 休憩 | 十分から十五分ほど | 再開時刻と離席の連絡 |
| 本編の後半 | 一時間半ほど | 終了条件と時間調整 |
| 感想と片付け | 残りの時間 | 記録と次回の相談 |
キャラクターを一から作るなら、その時間は別に確保するか、本編をさらに短くします。予定より説明が長引いても、休憩や帰る時刻を削って取り返す計画にはしません。GMは省ける寄り道と残したい場面を考えておき、難しければ途中で区切ることを参加者へ早めに伝えます。
初心者向けでも、PCがそれぞれ別行動を続けるシナリオは、待つ時間が長くなりやすいものです。最初は一緒に相談できる構成を選ぶと、ほかの人の宣言も学べます。個別の秘密が中心の形式や複雑な対立は、やってみたい気持ちと、事前説明を理解できる余裕がそろってから選んでも遅くありません。
全員が初めてのときは、ルールを調べる時間も予定に含めます。すぐに見つからない処理は、ゲームの指示に沿って一時的な扱いを相談し、後で確認する箇所をメモします。ただし、PCの退場など大きな結果につながる処理は、急いで押し切らず、確認や合意の時間を取ってください。
GMの手元には、最初の場所、頼み事をする人物、必ず共有する情報を短くまとめます。PCが予想外の方法を選んだときは、準備したせりふへ戻すことを急がず、その方法で何が分かるかをルールと状況から考えます。答えを思い付かないなら、短い相談や休憩の時間をもらって構いません。
終了時刻が近付いたら、残り時間を参加者へ伝えます。予定の結末へ急がせるより、いまの場面で区切れるかを確認する方が、選択を保ちやすくなります。続きが必要なら、全員が次回も参加できると決め付けず、日程と参加の希望を改めて聞きます。










