日の入りがいちばん早い日はいつ?|冬至より前になる理由と、均時差のしくみ
12月に太陽が遅れていく二つの理由
均時差の原因は二つあり、それぞれ1年の中で独立に増減します。12月は、この二つがそろって同じ向きに働く時期です。

地球が1回まわっても、太陽は同じ場所に戻りません
二つの原因の説明に入る前に、1日の長さの前提を確認します。地球が恒星に対して1回自転する時間は、約23時間56分です。ところが、その間に地球は太陽のまわりの軌道を少し進んでいるので、太陽を同じ方向に見るには、もう少しだけ余計に回る必要があります。この「余分の回転」が約4分あり、合わせて約24時間が1太陽日になります。
ここで大事なのは、自転の速さはほぼ一定でも、「余分の回転」の量が季節によって変わるということです。太陽が空の中を東へ多く動いた日は、余分の回転が増えて、1太陽日が長くなります。
原因1 地球の軌道が楕円であること
地球の公転軌道は、円に近いもののわずかに楕円です。太陽に最も近づく近日点を1月初めごろに通り、このころは公転の速さが最も速くなります。逆に、7月初めごろの遠日点では最も遅くなります。
公転が速いと、地球から見た太陽は、星の間を東へ速く動きます。すると余分の回転が増えます。12月から1月にかけては地球が速く動いているので、1太陽日は平均より長くなり、この効果だけで1日あたり8秒ほど長くなります。時計は平均の長さで進むので、太陽はその分だけ毎日遅れていきます。
原因2 地軸が傾いていること
もう一つの原因は、地軸の傾きです。太陽は1年かけて黄道と呼ばれる道をたどりますが、黄道は地球の赤道に対して約23.4度傾いています。時刻を決めるのは太陽の位置のうち東西方向の成分だけなので、同じ距離を動いても、斜めに動く時期と東西にまっすぐ動く時期では、時計の上での進み方が違います。
- 春分・秋分のころ: 太陽は赤道を斜めに横切ります。東西方向の成分が小さいので、1太陽日は短くなります。
- 夏至・冬至のころ: 太陽は赤道と平行に動きます。動きがすべて東西方向になり、しかも赤道から離れた場所を通るので、同じ距離で動く経度の幅が広くなります。1太陽日は長くなります。
地球儀を想像すると、赤道より緯度の高いところでは経線の間隔が狭くなります。冬至の太陽はこの狭い部分を東へ動くので、短い移動で多くの経線をまたぐわけです。この効果は冬至のころに最大で、1日あたり約20秒です。
冬至前後に二つが重なります
二つの効果を足すと、冬至のころには1日あたり28秒ほどになり、計算で見た約30秒に近い値になります。表で見た「南中が毎日約30秒遅れる」は、この足し算の結果です。もし南中時刻が一年中変わらなければ、日の出の最遅日、日の入りの最早日、昼の最短日はすべて冬至に重なります。
二つの周期が違うので、均時差のグラフは単純な波にならず、大きな山と谷、小さな山と谷が交互に並びます。上の表で2月と11月の差が大きく、5月と7月の差が小さいのは、この重なり方の違いによるものです。
地域によって日付はどう違うか
緯度が違うと、綱引きの釣り合う日が変わります。同じ計算を日本の各地で行うと次のようになります。
| 都市 | 日の入りの最早日 | そのときの時刻 | 日の出の最遅日 | 冬至の昼の長さ |
|---|---|---|---|---|
| 札幌 | 12月9日ごろ | 16時00分ごろ | 1月4日ごろ | 約9時間00分 |
| 東京 | 12月6日ごろ | 16時28分ごろ | 1月7日ごろ | 約9時間44分 |
| 大阪 | 12月5日ごろ | 16時47分ごろ | 1月8日ごろ | 約9時間50分 |
| 福岡 | 12月5日ごろ | 17時10分ごろ | 1月8日ごろ | 約9時間55分 |
| 那覇 | 11月30日ごろ | 17時37分ごろ | 1月13日ごろ | 約10時間30分 |
南へ行くほど、最早日と最遅日が冬至から離れていきます。理由は単純で、南ほど昼の長さの季節変化が小さいからです。昼の縮み方が小さいと、綱引きで南中の遅れが勝つのが早くなり、釣り合う日が冬至から遠ざかります。北では逆に昼の変化が大きいので、最早日が冬至に近づきます。北極圏に近づくと、そもそも太陽が昇らない時期もあるので、この話は当てはまらなくなります。
時刻そのものの違いには、経度も大きく関わります。那覇の日の入りが札幌より1時間半ほど遅いのは、南にあって昼が長いことに加えて、那覇が基準の東経135度よりかなり西にあり、太陽の動きが全体に遅いからです。
なお、最早日の日付は計算上の値で、分単位の時刻で表すと同じ値が1週間から2週間ほど続きます。東京でも16時28分という表示は11月末から12月半ばまで続くので、最早日にあまり細かくこだわっても意味はありません。「12月の前半が最も夕方の早い時期」くらいに覚えておくと、実際の感覚とも合います。
朝は1月まで暗く、夕方は先に延び始める
暮らしの中で気づきやすいのは、冬至が過ぎたあとの朝と夕方の違いです。東京の数字で見ると、次のようになります。

1月15日の日の入りは16時51分で、いちばん早いころより23分も遅くなっています。一方、この日の日の出は6時51分で、いちばん遅いころからほとんど動いていません。年が明けて「日が延びてきた」と感じるのに、朝の暗さが一向に変わらないのは気のせいではなく、数字のとおりです。
通勤や通学の時間が決まっている人にとって、この差は小さくありません。自転車のライトを早めに点ける、夕方の散歩の時間を決める、写真を撮る人が夕景の時刻を見積もるといった場面で、「12月初めが最も早く、1月になると夕方は先に戻る」と知っていると予定が立てやすくなります。また、日の入りの後も30分弱はほのかに明るさが残るので、夕方の外出の見通しは日の入りの時刻に少し足して考えるとよいでしょう。
冬の時刻についてのよくある誤解
時刻のずれを知ると、次のような思い込みにも気づきます。
- 「冬至を過ぎれば朝も明るくなる」: 東京では、日の出は冬至からさらに2週間以上遅くなります。朝の明るさが戻り始めるのは1月半ば以降です。
- 「日の入りが遅くなり始めたら、昼も長くなっている」: 12月上旬から冬至までは、日の入りは遅くなっているのに昼はまだ短くなり続けています。その間、日の出がもっと大きく遅れているためです。
- 「最早日は毎年決まった日付」: うるう年の調整などで、暦の日付は1日ほど前後します。そもそも分単位では差が見えないので、日付を厳密に覚える意味はあまりありません。










