ディワリの由来と過ごし方|光の祭りの5日間、灯明とランゴーリー、地域ごとの物語
ディワリは、インドを中心に南アジアの各地や世界の移民の町で祝われる「光の祭り」です。新月で決まる日付の数え方、5日間それぞれの意味、ラーマ王子の帰還などの由来の物語、素焼きの灯明やランゴーリー、甘い菓子の贈り合いから、ネパールのティハールや海外での祝い方、日本で楽しむときのマナーまでまとめました。

秋が深まるころ、インドの町では家の窓辺や門口、屋上の縁にまで小さな灯りが並び、夜通し町全体が光で縁取られます。これがディワリ、ヒンドゥー教を中心に祝われる「光の祭り」です。インドでは一年でもっとも大きな祭りの一つで、日本の正月のように、家を掃除し、新しい服を着て、家族や親しい人とお菓子を贈り合う時期でもあります。
日本ではまだなじみの薄い行事ですが、インドやネパール、スリランカ、さらにシンガポールやイギリスなど、南アジアの人々が暮らす世界中の町で祝われています。ここでは、ディワリという名前の意味と日付の決まり方、5日間それぞれの行事、地域によって違う由来の物語、灯明やランゴーリーといった飾りの意味、食べ物と贈り物、各地での祝い方、日本で楽しむときや招かれたときの心得までを順に紹介します。宗教や地域によって習慣にはかなり幅があるため、ここに書くのは広く知られた形の一例として読んでください。
ディワリとはどんな祭りか
名前の意味は「灯りの列」
ディワリの元の名前は、サンスクリット語の「ディーパーヴァリー」です。「ディーパ」は灯り、「アーヴァリー」は列や並びを意味し、合わせて「灯りの列」となります。北インドではこれが縮まってディワリ(ディーワーリー)と呼ばれ、南インドや東南アジアのタミル系の人々のあいだではディーパーヴァリーという呼び方がよく使われます。名前のとおり、たくさんの小さな灯りを並べて家や町を照らすことが、祭りのいちばんの特徴です。
「闇に対する光」の祭り
ディワリには、地域ごとにいくつもの由来の物語が伝わっています。物語の中身は違っても、多くに共通しているのは「闇に光が勝つ」「悪に善が勝つ」という考え方です。暗い新月の夜に灯りをともすことは、無知や不運を追い払い、知恵や豊かさを迎え入れることの象徴とされています。
もう一つの大きな柱が、富と幸運の女神ラクシュミーです。ラクシュミーは、清められ、明るく照らされた家を訪れると信じられてきました。そのため、ディワリの前には家中を掃除し、壁を塗り直したり、古い物を片付けたりします。年の暮れに家を清めて年神様を迎える日本の大掃除と、考え方がよく似ています。日本の習慣についてはすす払いと大掃除の由来で紹介しています。
複数の宗教が同じ時期に祝う
ディワリはヒンドゥー教の祭りとして知られていますが、同じ時期にほかの宗教でも灯りをともして祝う日があります。
- ジャイナ教:開祖マハーヴィーラが解脱(ニルヴァーナ)に至った日として記念します。
- シク教:指導者グル・ハルゴービンドが囚われの身から解放されて戻ったことを記念する「バンディ・チョール・ディヴァス」と重なり、寺院や家を灯りで飾ります。
- 仏教:ネパールのネワール族の仏教徒など、一部の地域では仏教徒も祭りの行事に加わります。
それぞれの日に込められた意味は違いますが、灯りで闇を照らす祭りとして、宗教の違いを越えて町全体が祝う雰囲気になるのがディワリの特徴です。

日付の決まり方:新月と太陰太陽暦
毎年日付が変わる理由
ディワリの日付は、西暦では毎年変わります。ヒンドゥー教の行事の多くは、月の満ち欠けで月を数え、季節とのずれを閏月で調整する太陰太陽暦で決まっているためです。日本の旧暦も同じ種類の暦なので、旧暦の行事が毎年西暦の別の日に来るのと同じ理屈です。
ディワリの中心の日は、秋の新月の日です。どの月の新月かは、月の区切り方によって呼び名が変わります。新月で月が終わる数え方をする地域ではアーシュヴィナ月の終わり、満月で月が終わる数え方をする北インドなどではカールッティカ月の新月、と表現されますが、指している日は同じです。西暦では、10月半ばから11月半ばのあいだに来ることが多くなります。
新月の夜に灯りをともす意味
新月の夜は、一年のうちでも特に暗い夜の一つです。月明かりのない夜にあえて灯りを並べることで、光の美しさがいっそう際立ちます。月の満ち欠けのしくみは月の満ち欠けのしくみで紹介していますが、新月は月が太陽と同じ方向にあって、夜空に月が見えない状態です。
祝日の日付は地域で1日ずれることもある
新月がどの瞬間に来るかは天文学的に決まっていますが、「どの日を祭りの日とするか」は、日の出の時刻や暦の計算法の違いによって、地域で1日ずれることがあります。インド国内でも州によって祝日の日付が違う年があり、海外のコミュニティでは週末に合わせて行事を開くことも珍しくありません。その年の日付を知りたいときは、インド政府の祝日一覧や、各国のインド大使館・総領事館の案内、地元のコミュニティの告知で確かめるのが確実です。

5日間の流れ:それぞれの日の意味
中心の日を含めて5日間
ディワリは1日だけの祭りではありません。北インドを中心とした広く知られた形では、新月の日の2日前から2日後までの5日間にわたって、日ごとに違う行事があります。地域によって数え方や重視する日は違い、中心の1日だけを大きく祝う地域もありますが、まずはこの5日間の流れを知っておくと、各地の習慣の違いも理解しやすくなります。
| 日 | 呼び名の例 | 主な行事 |
|---|---|---|
| 1日目 | ダンテーラス | 金属の器や金・銀の品を買う。健康の神ダンヴァンタリをまつる |
| 2日目 | ナラカ・チャトゥルダシー(小ディワリ) | 魔王を倒した物語にちなむ。早朝の沐浴、家の前に灯りを置く |
| 3日目 | ラクシュミー・プージャー(ディワリ本番) | 新月の夜。女神ラクシュミーをまつり、家中に灯りをともす |
| 4日目 | ゴーヴァルダン・プージャー | クリシュナが山を持ち上げた物語にちなみ、料理を山のように供える |
| 5日目 | バーイー・ドゥージ | きょうだいの絆を祝う。姉妹が兄弟の額にしるしを付ける |
1日目:ダンテーラス
ダンテーラスの「ダン」は富を意味します。この日は新しい物を買うのに縁起がよいとされ、金や銀の装身具、硬貨、真鍮やステンレスの鍋や器などを買い求める人で市場がにぎわいます。家の中を新しい物で整えることが、新しい季節を迎える準備になっています。
2日目:ナラカ・チャトゥルダシー
2日目は、クリシュナ(あるいはその妃)が魔王ナラカースラを倒した物語にちなむ日です。南インドでは、この日の夜明け前に油を体に塗って沐浴し、新しい服を着る習慣があり、地域によってはこの日をディーパーヴァリー本番として祝います。北インドでは「小ディワリ」とも呼ばれ、翌日の本番に向けて灯りを置き始めます。
3日目:ラクシュミー・プージャー
新月の夜が祭りの中心です。夕方になると家族がそろい、ラクシュミー女神と、物事の始まりを守る神ガネーシャをまつる礼拝(プージャー)を行います。その後、家の内外に灯りをともし、お菓子を分け合い、近所や親戚の家を訪ね合います。商人の家では、この日に新しい帳簿を開いて商売の繁盛を祈る習慣が伝わる地域もあります。
4日目と5日目
4日目は、クリシュナが村人を嵐から守るためにゴーヴァルダン山を持ち上げた、という物語にちなむ日で、たくさんの料理を山のように盛って供える「アンナクート」が行われます。グジャラート州などでは、この日を新年として祝います。5日目のバーイー・ドゥージは、姉妹が兄弟の額にしるし(ティラク)を付けて長寿を願い、兄弟が贈り物で応える日です。祭りの締めくくりが家族の絆を確かめる日になっているところに、ディワリが家族の祭りであることがよく表れています。










