日の入りがいちばん早い日はいつ?|冬至より前になる理由と、均時差のしくみ
日の入りが最も早い日は冬至ではなく12月上旬です。日の入りを南中時刻と昼の長さに分けて考え、太陽の南中が12月に毎日遅れていく理由を、地球の楕円軌道と地軸の傾きから説明します。地域ごとの日付の違い、夏の同じ現象、棒の影で確かめる方法もまとめました。

12月に入ると、夕方5時前には空が暗くなります。冬至に向かって日が短くなるのだから、いちばん暗くなるのが早いのは冬至の日だろう、と思いがちです。ところが暦を調べると、東京で日の入りが最も早いのは12月上旬で、冬至のころにはすでに夕方の日の入りが少し遅くなり始めています。朝のほうは逆で、日の出が最も遅いのは年が明けた1月です。
この現象は、暦の誤差でも、天気の話でもありません。太陽が空のてっぺんに来る時刻が、時計に対して季節ごとに前後していることから生まれます。この記事では、日の入りの時刻を二つの要素に分け、なぜ12月に太陽の動きが時計より遅れていくのかを説明し、地域による違いと、自分で確かめる方法までを順にたどります。
日の入りが最も早い日と冬至は別の日です
まず、数字を見てみましょう。下の表は、2026年12月から2027年1月にかけての東京の日の出、南中、日の入りの時刻を、標準的な天文計算の式で求めたものです。地形の影響は考えず、平らな地平線を基準にしています。国立天文台の発表値とは数十秒ほど違うことがあり、年によって日付も1日ほど前後します。
| 日付 | 日の出 | 南中 | 日の入り | 昼の長さ |
|---|---|---|---|---|
| 12月1日 | 6時32分 | 11時30分 | 16時28分 | 9時間56分 |
| 12月7日 | 6時37分 | 11時33分 | 16時28分 | 9時間50分 |
| 12月14日 | 6時43分 | 11時36分 | 16時29分 | 9時間46分 |
| 12月22日(冬至) | 6時47分 | 11時40分 | 16時32分 | 9時間44分 |
| 1月1日 | 6時51分 | 11時44分 | 16時38分 | 9時間47分 |
| 1月8日 | 6時52分 | 11時48分 | 16時44分 | 9時間52分 |
| 1月15日 | 6時51分 | 11時50分 | 16時51分 | 10時間00分 |
日の入りは12月初めに16時28分で底を打ち、冬至にはすでに4分ほど遅くなっています。日の出は1月上旬まで遅くなり続けます。一方、昼の長さが最も短いのは確かに冬至です。つまり、「昼が最も短い日」「日の入りが最も早い日」「日の出が最も遅い日」の三つは、すべて別の日です。国立天文台の暦Wikiでも、日の入りが最も早くなるのは冬至より前と説明されています。
「冬至が昼の長さの底」という知識自体は正しいので、誤解があるとすれば、「昼が短い日は夕方も朝も極端になっている」と考えてしまう点です。冬至の行事や過ごし方については冬至の由来と過ごし方で扱っているので、ここではこの時刻のずれのしくみに絞ります。
「日の入り」の定義と、実際の空との違い
暦の日の入りは、太陽の上の縁が地平線に重なって見えなくなる瞬間を指します。太陽の中心ではなく上の縁で判定し、さらに大気による光の屈折で太陽が少し浮いて見えることも計算に含めています。そのため、昼の長さは、春分や秋分の日でもちょうど12時間にはならず、少し長くなります。
また、暦の時刻は海面の高さの平らな地平線を基準にしています。西側に山やビルがある場所では、暦より何分も早く太陽が隠れます。盆地や谷の町で「冬は3時過ぎに日が陰る」というのはこのためで、この記事の時刻の話とは別の要因です。暦の日付の差を確かめるときは、毎年同じ場所で比べることが前提になります。
日の入りは南中時刻と昼の長さの足し算です
二つの要素に分けて考えます
太陽がいちばん高くなる瞬間を「南中」と呼びます。太陽の動きは南中を中心にほぼ左右対称なので、日の出と日の入りは次のように表せます。
- 日の入りの時刻 = 南中時刻 + 昼の長さの半分
- 日の出の時刻 = 南中時刻 - 昼の長さの半分
たとえば12月22日の東京なら、南中が11時40分、昼の長さが約9時間44分です。その半分の4時間52分を足すと16時32分、引くと6時48分で、表の値とほぼ一致します。
もし南中時刻が毎日同じなら、昼の長さが最短の冬至に、日の出は最も遅く、日の入りは最も早くなるはずです。現実にそうならないのは、南中時刻が毎日少しずつ動いているからです。

綱引きが釣り合う日が、最も早い日になります
12月の夕方は、二つの力の綱引きです。昼が短くなることは、日の入りを早めます。南中が遅れることは、日の入りを遅らせます。12月の初めは昼が縮む勢いがまだ強く、日の入りはわずかに早まります。冬至が近づくと昼の長さはほとんど変わらなくなりますが、南中の遅れは続いているので、綱引きはやがて逆転します。
この釣り合いの点が12月上旬に来る日で、東京の日の入りが最も早くなります。実際の変化を1日ごとに計算すると、次のようになります。
| 日付 | 南中の遅れ | 日の入りの変化 | 日の出の変化 |
|---|---|---|---|
| 12月1日 | 1日に約23秒 | 約8秒早まる | 約54秒遅くなる |
| 12月10日 | 1日に約27秒 | 約9秒遅くなる | 約46秒遅くなる |
| 12月22日 | 1日に約30秒 | 約31秒遅くなる | 約29秒遅くなる |
| 1月1日 | 1日に約28秒 | 約46秒遅くなる | 約11秒遅くなる |
冬至の行を見ると、日の出も日の入りもほぼ同じ約30秒ずつ遅れています。昼の長さがほぼ変わらない日なので、昼全体がそのまま時計の上で後ろへ滑っていくわけです。朝と夕方の差は、このときにいちばんはっきりします。
南中時刻は毎日同じではありません
時計の12時と太陽の12時は別のものです
太陽が南中してから次に南中するまでの時間を「1太陽日」と呼びます。日常では1日は24時間と決まっていますが、実際の1太陽日の長さは、季節によって数十秒ほど長くなったり短くなったりします。
昔の人にとって、これは問題ではありませんでした。日時計や太陽を見て時刻を決めていれば、毎日の南中が正午です。江戸時代の日本でも、一般の時刻は日の出前と日の入り後の明るさを基準にして、昼と夜をそれぞれ6つに分けていました。季節で一刻の長さが変わるので、南中のわずかなずれは気にする必要がなかったのです。
しかし、一定の速さで進む機械時計が普及すると、毎日長さの変わる1日を時計で刻むのは不都合になります。そこで、1年の1太陽日を平均して、その長さを24時間と定めました。これが平均太陽時で、現在の時計の考え方の土台です。太陽そのものではなく、一定の速さで動く架空の太陽を基準にしていると考えると分かりやすいでしょう。
この差を均時差と呼びます
本物の太陽の動きから求めた時刻と、時計の時刻の差を「均時差」といいます。太陽は時計より先に進むことも遅れることもあり、1年の中で次のように変化します。
| 時期 | 太陽と時計の関係 | 差の目安 |
|---|---|---|
| 2月中旬 | 太陽が遅れる | 約14分 |
| 4月中旬 | ほぼ一致 | 0分 |
| 5月中旬 | 太陽が進む | 約4分 |
| 6月中旬 | ほぼ一致 | 0分 |
| 7月下旬 | 太陽が遅れる | 約6分 |
| 9月初め | ほぼ一致 | 0分 |
| 11月初め | 太陽が進む | 約16分 |
| 12月下旬 | ほぼ一致 | 0分 |
11月初めの太陽は時計より16分ほど先を走っていますが、12月下旬には差がなくなり、2月にかけては逆に遅れていきます。つまり11月から2月まで、太陽は時計に対して毎日遅れる一方です。12月はその変化が最も急な時期に当たり、ここまで見てきた南中の遅れの正体がこれです。
なお、東京の南中が12月初めに11時30分ごろなのは、均時差だけが理由ではありません。日本の標準時は東経135度を基準にしていて、東京はそれより約4.7度東にあるため、もともと太陽が19分ほど早く南中します。東西の経度による差は季節で変わらないので、一年を通じて南中時刻を一定の幅だけずらすだけです。時差の計算方法の考え方で言えば、時間帯の内側でも東西で実際の太陽の位置は違っている、ということになります。










