棒針編みのゲージの取り方|試し編みの大きさ、測り方、目数と段数の調整
洗って整え、完全に乾かしてから基準を測る
編みたての寸法と仕上げ後の寸法を分ける
編みたての糸には、編む間に引っ張られた状態や糸玉の巻き癖が残っています。手入れをすると編み目が落ち着き、ふくらむ、伸びる、縮むなどの変化が出ることがあります。変化の方向と大きさは糸ごとに違うため、「洗うと必ず大きくなる」とは考えません。

作品を洗った後に使うなら、試し編みもその作品と同じ手入れをして比べます。編み図が仕上げ後のゲージを指定しているときは、その条件が優先です。反対に編みたての値が明記されている場合は、指定を読み替えず、仕上げ後の変化も別に記録します。
水通しは、水に触れさせて編み地を落ち着かせる作業です。洗剤を使う洗濯と全く同じ意味ではありません。どこまで手入れするかは糸の表示に従います。洗えない糸や装飾のある糸を、ゲージのために無理に水へ入れる必要はありません。仕上げ方法が不明なら、材料の販売元に確認してから進めます。
伸ばして数字を合わせない
洗える糸なら、指定された水温や方法に従い、強くこすったりねじったりせずに手入れします。水分を取るときは編み地の重さで伸ばさないよう支え、必要に応じてタオルで挟みます。乾かす場所では自然な形に置き、端の丸まりだけを軽く整えます。
ブロッキングとは、仕上げで形を整えることです。模様によっては指定寸法まで広げて固定しますが、普通のメリヤス編みを目標の数字にするためだけに引っ張るのは避けます。ピンを外せば戻るような状態では、使うときの寸法を予測できません。伸ばす仕上げが指定された模様では、本番と同程度の整え方にそろえます。

手入れ前と後の記録があれば、本番の途中で編みたてを測ったときにも比較できます。洗い方や乾かし方を整理したい場合は、洗濯表示の見方|洗う・乾かす前に確認したい記号と衣類の扱い方も参考になります。糸の帯は作品が完成しても残しておくと、次の手入れで迷いません。
ものさしを中央に置いて目数と段数を数える
一目のV字を一つとして追う
完全に乾いた試し編みを、平らで色の違いが見やすい台へ置きます。メリヤス編みの表側では、小さなV字が横に並んでいます。このV字一つが一目です。左右の斜めの線を別々に数えると倍の数になるため、初めに一つのV字を指で確認してから数えます。
ものさしの0を、端から離れた一目の境目に合わせ、横10cmに入る目を追います。ものさしで強く押さえたり、編み地を両側から引いたりしないようにします。10cmの位置が目の途中なら、半目など読み取れる範囲で記録します。目盛りに合うよう目を動かして整数へそろえる必要はありません。
段数は、一つの縦の列を選んでV字を下から上へ数えます。作り目や伏せ止めの端、別の模様を入れた縁は避けます。途中でどの列を追っているか分からなくなる場合は、測定範囲の始めと終わりの外側に印を置き、数段ごとに目で区切ると追いやすくなります。
測る位置を変えて偏りも確かめる
中央の一か所を測ったら、少し離れた場所でも同じように測ります。場所によって20目と22目のように差が大きければ、平均だけを取って終える前に、手加減や模様の取り違えを見ます。編み始めだけがきつい、途中から裏目がゆるい、といった変化が分かることがあります。
毛羽のある糸で10cmの境目が読みにくい場合は、数えられる目数分の幅を測る方法も使えます。たとえば中央の24目が12cmなら、「24÷12×10」で20目が10cmのゲージです。段数も同じ考え方で換算できます。短い2cmだけを測って5倍するより、できるだけ長い範囲で測る方が読み取りのずれを小さくできます。
記録には「20目」だけでなく、「中央の24目が12cm」「洗って平干しした後」のように元の測り方も残します。後で計算を見直せるためです。ものさしを置いた写真も補助になりますが、斜めから撮ると目盛りが読み違いやすいので、数値はその場で紙へ書きます。
半目の差も、広い作品では寸法に表れます。20目と20.5目を比べると、100目の幅はそれぞれ50cmと約48.8cmです。常に半目まで正確に読まなければならないという意味ではなく、着用する物で差が気になるときほど、短い範囲を急いで測らない方がよいということです。境目が曖昧なら、位置を変えて数え直し、読み取れた範囲の値を残します。
| 記録する項目 | 記入例 | 後で確認できること |
|---|---|---|
| 糸と編み方 | 同じ糸を一本、メリヤス編み | 本数や模様の取り違え |
| 針 | 棒針の号数、mm、素材 | 道具を替えた影響 |
| 手入れ | 帯の指定で洗い、平らに乾燥 | 仕上げ条件の違い |
| 目数ゲージ | 中央10cmで22目 | 幅の計算の基準 |
| 段数ゲージ | 中央10cmで30段 | 丈と増減目間隔の基準 |
| 風合い | 少し厚い、模様は明瞭 | 数字以外の選択理由 |
合わないときは針を一段階ずつ変えて比べる
目数が多ければ太い針、少なければ細い針を試す
指定が20目で実測が22目なら、まず一段階太い針で編み直します。一目が大きくなれば、10cmに入る目数は減る方向です。指定20目に対して実測18目なら、一段階細い針で試します。ただし、号数を一つ変えると必ず何目変わる、という一定の対応はありません。
針を替えたら、同じ大きさの試し編みを作り、同じ手入れをして乾かしてから比較します。前の試し編みは洗った後、新しい試し編みは編みたて、という比べ方では針の違いが分かりません。大きく号数を飛ばすより、一段階ずつ比べた方が欲しい風合いを見つけやすくなります。

数字が合っても編み地が好みかを見る
目数を合わせるために太い針を使い、編み地がすき間だらけになったなら、その糸と作品の相性を見直します。細い針で硬くなり、衣服の動きにくさが気になる場合も同様です。指定ゲージが合ったことと、欲しい布に仕上がったことは別の確認になります。
手加減を変えて合わせようとする方法は、短い試し編みではできても、長い時間そのまま保つのが難しいことがあります。普段より強く締めることを自分に課すより、自然に編める針を選ぶ方が続けやすいでしょう。針の素材を変えるときも、一度に糸まで変えず、何が影響したか分かる順序で試します。
横の目数が合っても、縦の段数が合うとは限りません。どちらを優先できるかは作品の構造によります。直線の身頃は丈を実寸で調整できる場合がありますが、袖山や斜めの線、連続模様のある作品では段数の差が形に関わります。編み図の指定を確かめてから、計算で変えられる範囲を判断します。
洗う前後で測ること、針を変えて比較することは、Knitting & Crochet Guildの試し編みの手引きでも説明されています。針を何度変えても欲しい状態に近づかない場合は、糸を替えるか、今の編み地に向く別の作品を選ぶ方法もあります。









