灯台めぐりの楽しみ方|塔の形と塗り分け、レンズ、光り方の見方と訪ねるときの心得
光り方(灯質)の読み方
夜の海から見ると、どの灯台も同じような光の点に見えてしまいそうです。そこで灯台は、光の色と、点滅の仕方と、その間隔を灯台ごとに変えて、見分けられるようにしています。この光り方の特徴を灯質と呼びます。
灯質には、いくつかの基本の型があります。ずっと同じ明るさで光り続ける光、短く一瞬だけ光って長く暗くなる光、反対に長く光って短く消える光、光っている時間と消えている時間が同じ光、色の違う光が交互に出る光などです。これに、何回ずつまとまって光るか、何秒ごとに繰り返すか、という条件が組み合わさります。
| 灯質の名前 | 光り方の特徴 | 海図での略記の例 |
|---|---|---|
| 不動光 | 消えずに光り続ける | F |
| 閃光 | 短く光り、長く暗い | Fl |
| 群閃光 | 数回まとまって光る | Fl(2) |
| 明暗光 | 長く光り、短く消える | Oc |
| 等明暗光 | 明るい時間と暗い時間が同じ | Iso |
| 互光 | 違う色の光が交互に出る | Al |
海図や灯台の資料では、灯質が「Fl W 10s」のような短い記号で書かれています。これは、白い光(W)の閃光(Fl)が10秒ごとに繰り返される、という意味です。「Fl(2) R 6s」なら、赤い光(R)が2回ずつまとまって光る群閃光で、その組が6秒ごとに繰り返される、という読み方になります。
現地で光り方を確かめるのは、灯台めぐりならではの楽しみです。暗くなってから灯台の光が見える場所に立ち、光ってから次に同じ光り方が始まるまでの時間を、腕時計やスマートフォンのストップウォッチで数えてみてください。何回か測って平均をとると、資料に書かれた秒数とほぼ合うはずです。灯台ごとの灯質は、海上保安庁が公開している情報などで調べられます。

光の届く距離も、灯台ごとに違います。光の強さに加えて、灯火が海面からどれくらいの高さにあるかが大きく関わります。地球は丸いので、低い位置の光は遠くの海から見ると水平線の下に隠れてしまいます。崖の上に建つ灯台や塔の高い灯台が遠くまで光を届けられるのは、この高さのおかげです。
夕暮れの点灯を見に行く
灯台めぐりでぜひ一度体験したいのが、夕暮れどきの点灯です。多くの灯台は、周りの明るさを感じて、日が暮れて暗くなると自動で光り始めます。空がまだ少し明るいうちに灯台の近くで待っていると、灯室の中にふっと光がともり、やがてレンズが回って光の束が海の上をなでていく様子が見られます。

点灯の時刻は、日の入りの時刻や天気によって毎日変わります。おおよその見当をつけるには、その日の日の入り時刻を調べて、少し前から現地で待つのが確実です。曇りの日は早めに暗くなるので、点灯も早まることがあります。

点灯の前後は、空の色が刻々と変わる時間帯でもあります。夕焼けの空を背にした灯台のシルエット、群青色に沈んでいく空に浮かぶ白い塔、光の束が届く先の海の色など、同じ場所にいても数十分で景色がまったく変わります。写真を撮るなら、三脚を立てる場所が通路をふさがないか、立ち入ってよい場所かを必ず確かめましょう。旅先で写真を撮るときの心配りは観光地での写真撮影マナー|撮影前の確認から人への配慮、SNS投稿までも参考になります。
灯台は人里から離れた岬にあることが多く、日が落ちると帰り道は真っ暗になります。懐中電灯やヘッドライトを持ち、帰りのバスの最終便の時刻や、車を止めた場所までの道のりを、明るいうちに確かめておいてください。
塔のまわりに残る歴史の手がかり
灯台めぐりに慣れてきたら、塔だけでなく、その周りにも目を向けてみてください。古い灯台の周りには、灯台が人の手で守られていた時代の名残が残っていることがあります。
かつての灯台には、灯台守と呼ばれる職員が家族とともに住み込み、毎晩灯火を守っていました。灯火に油や石油を使っていた時代には、燃料の補充や、すすで曇ったレンズの手入れ、光を回す機械の巻き上げなど、夜通しの仕事が欠かせなかったといわれます。灯台の近くに残る石造りやれんが造りの小さな建物は、そうした職員の住まいや、燃料や資材をしまっておいた倉庫だった場合があります。現在は資料館として公開され、古いレンズや道具、当時の暮らしを伝える展示が置かれていることもあります。
灯台への道そのものにも歴史が残っています。人里から離れた岬へ資材や燃料を運ぶために整えられた石段や小道、海から荷物を揚げるための船着き場の跡などです。今は遊歩道として整備されていることも多く、灯台までの道のりを歩きながら、かつてここを行き来した人の姿を想像するのも楽しいものです。
現地の説明板には、建てられた年、設計にかかわった人、戦争や災害で受けた被害と復旧の経緯などが書かれていることがあります。同じ年代に建てられた別の灯台と見比べると、形や材料の共通点が見つかることもあります。設計者や建てられた時代を手がかりに灯台を選んで訪ねる、というのも、灯台めぐりの一つの楽しみ方です。
塔の根元の扉の上や壁に、建てられた年を示す銘板がはめ込まれていることもあります。字や数字が刻まれた銘板は、写真に残しておくと、あとで調べるときの手がかりになります。ただし、立入禁止の敷地に入らないと見えない場所にある場合は、外から眺めるだけにしておきましょう。










