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自然・サイエンス

鍾乳洞のでき方|鍾乳石と石筍が育つしくみ、カルスト地形と見学の準備

鍾乳石・石筍・石柱は、天井と床のつながりを見る

名前より先に、どこから伸びているかを確かめます

洞窟の中で、溶けて運ばれた成分が沈殿してできたものを、洞窟生成物、二次生成物などと呼びます。見学案内では、それらを広く「鍾乳石」とまとめることもあります。一方、石筍などと区別して使う狭い意味の鍾乳石は、天井から下へ垂れ下がるものです。

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鍾乳石の先から石筍へ落ちる一滴の水
滴が天井と床の両方に形を残す

鍾乳石では、天井にできた滴の縁などに炭酸カルシウムが付着していきます。初期には中空の細い管になることがあり、その管の中や外を水が流れることで形が変わります。ストローのような細いものと太い円すい状のものが、全く別の材料とは限らないという点も面白いところです。

床に落ちた滴から成分が積もり、上へ育つものが石筍です。「筍」はたけのこのことで、床から出る形に重ねた名前です。滴が広がる範囲や落ちる位置で先端や胴の形が変わるため、先がとがったものだけが石筍というわけではありません。丸い先端や、いくつかの盛り上がりが連なる姿もあります。

名称 主に見る場所 形を作る水の動き 見分ける手がかり
鍾乳石 天井から下 滴が天井から離れる 上側が天井につながる
石筍 床から上 落ちた滴が床で広がる 下側が床につながる
石柱 天井と床の間 上下の成長がつながる 天井から床まで続く
リムストーン・畦石 床の水たまりの縁 水が縁を越えて流れる 小さな堤が水面を囲む
カーテン状の生成物 傾いた天井や壁 薄い水の流れが筋を通る 布のひだのように垂れる

石柱は、上から育つ鍾乳石と下から育つ石筍がつながったものなどです。柱の途中にくびれがあれば、上下から近づいた様子を考える手がかりになります。ただし、表面がさらに沈殿物で覆われると、つながった位置が分からなくなることもあります。見えていない境目を無理に探す必要はありません。

真下に相手が見つからなくても不思議ではありません

鍾乳石の真下には必ず石筍がある、という対応にはなりません。滴の成分量、落ちる床の状態、下を流れる水などによっては、石筍が育ちにくい場合があります。滴の落ちる位置が移れば、上下が少しずれて見えることもあります。

観光通路からは、床が陰になって見えなかったり、遠近感で重なって見えたりします。一本の長い石に見えるときも、まず天井から床まで実際につながっているかを、見える範囲で確かめます。別の観賞位置へ移る際も順路を守り、石の裏側を見るために柵の外へ出ないでください。

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畦石とカーテン状の形には、水の流れ方が残る

リムストーンは、水をせき止める小さな縁です

リムストーンは畦石とも呼ばれ、浅い水たまりの縁にできる堤のような生成物です。斜面を流れる水が小さな段差を越える場所では、二酸化炭素が抜けるなどして炭酸カルシウムが沈殿し、その縁が高くなっていきます。堤が水をため、そこからまた水があふれることで、段状の形が育つ場合があります。

見学では、水たまりそのものと、それを囲む石の縁を分けて眺めてみます。水田のように見えるのは、水がためられる面と、その下へ流す縁が繰り返し続くためです。

今は水が少なくても、縁の形は残ります。逆に、水が張っているだけでその場の成長が速いと判断することもできません。水量は季節や降雨によって変わるため、訪れた一日の水面と、長い時間でできた石の形を区別して観察すると、見た目から言える範囲がはっきりします。

流れ石は面に、カーテン状のものは筋に沿って育ちます

水が壁や斜面を薄く覆って流れ、炭酸カルシウムを重ねると、流れ石と呼ばれる面状の生成物になります。滝が固まったような姿は、滴が一点ずつ積む形と違い、広い表面を水が通った跡です。つやの見え方は水膜や照明でも変わるので、光沢だけで成長中と決めることはできません。

傾いた天井などで、水が決まった筋を伝ってから滴り落ちると、その筋に沿って薄い板状の沈殿物が下がり、カーテンのような形になります。案内では流れ石の仲間として紹介されることもありますが、広い面を覆う形と、細い経路に沿って垂れ下がる形を見分けると、水の通り方を想像しやすくなります。

点で落ちる水と、面を伝う水(滴として落ちると表面を流れるの比較)
材料が似ていても、水が触れる場所によって形が変わります。

薄いカーテンに見えるものを、指でたたいて音を確かめたり、光を透かすために裏へ手を入れたりしてはいけません。細い先端や薄い縁は、厚い岩の壁と違って壊れやすい部分です。触れなくても、照明が当たる側と影になる側を見ることで、ひだの重なりを観察できます。

一歩進んだ見方として、一つの場所で水の道をたどります。天井に細い筋があり、その下に鍾乳石、床に石筍、さらに低い方へ流れ石が続いていれば、それぞれを別の展示物として見るだけでなく、成分を運ぶ水の経路として考えられます。ただし見える形だけで、現在も同じ経路を水が流れていると断定はできません。

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成長の速さは、水の量と成分、洞内の空気で変わる

一定の速さで伸び続けるわけではありません

鍾乳石の成長は、ふつうの見学で日々の変化を追うのが難しいほど緩やかです。ただし、どこでも「何年で何センチ」と決まっているわけではありません。滴が届く頻度、水に溶けたカルシウムなどの量、水から二酸化炭素が抜けやすいか、沈殿した結晶がどこに積もるかによって変わります。

水が多いほど必ず長く伸びる、とも言えません。水が運ぶ成分が少なければ、量が多くても沈殿は限られますし、滴の間隔と二酸化炭素の抜け方も関係します。地上の雨量だけを見て、翌日の洞内で目に見えて成長すると考えることはできません。

長さが伸びることと、胴が太くなることも別です。同じ成分量が加わっても、狭い先端に付く場合と、広い外側に薄く付く場合では、見える寸法の変化が違います。鍾乳石の「成長速度」という説明に出会ったら、どの部分を、どの期間測った値なのかを確認すると読み違えにくくなります。

長さから年齢が分からない理由(水の供給、溶けた成分、洞内の空気、積もる場所)
水の供給も、積もり方も、長い時間の中で変わります。

大きさから年齢を逆算しないようにします

成長には休止もあります。水の通り道が変われば乾くことがあり、条件が変わると表面が再び溶ける場合もあります。太い石柱が細い鍾乳石より必ず古いとは限らず、隣同士でも同じ時期に育ち始めたとは言えません。

そのため、観光地の説明にある成長の目安を、別の洞窟の石へ当てはめるのは避けます。たとえ一定期間の測定値が分かっても、その速さが数千年前から続いたとは確認できないからです。長い石の長さを一つの数字で割り、できた年を求める計算には無理があります。

研究では、生成物の層や成分、年代を調べ、過去の環境を読み取ることがあります。層の違いが水や土壌の状態などを反映するためですが、見えているしまを数えれば樹木の年輪のように年齢が分かる、とは限りません。しまの間隔や色には複数の原因があり、調査に基づく解釈が必要です。

色についても、白さだけで新旧や清潔さを決めないようにします。鉄を含む成分や土壌に由来する物質などで色が付き、さらに照明の色も見え方を変えます。茶色い生成物を「汚れた古い石」、白いものを「できたて」と扱わず、説明板やガイドの解説と照らし合わせてください。

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