潮の満ち引きのしくみ|1日2回の満潮と大潮・小潮の理由、潮見表の読み方
海の水位が1日に2回上下する理由を、月と太陽の引力と地球の回転から説明し、満潮が毎日少しずつ遅れるわけ、大潮・小潮・長潮・若潮の違い、潮見表の時刻と潮位の読み方、地域や季節、気圧による差、磯遊びや海辺の散歩で潮を確かめるときの安全な考え方までをまとめました。

海辺に出かけて、朝は岩場まで歩いて行けたのに、昼過ぎには波が足もとまで寄せていた、という経験をしたことはないでしょうか。港の岸壁を見ると、壁の途中に海藻や貝がついた線があり、海の水位が上がったり下がったりしていることが分かります。これが**潮の満ち引き(潮汐、ちょうせき)**です。
潮の満ち引きは、月や太陽の引力と、地球の回転が組み合わさって起こる現象です。しくみを知ると、満潮がなぜ1日に2回あるのか、なぜ毎日時刻がずれていくのか、なぜ時期によって潮の引き方が違うのかが、順を追って理解できます。この記事では、潮汐のしくみから、大潮・小潮などの呼び名、潮見表の読み方、地域や季節による違い、海辺で潮を確かめるときの安全な考え方までを紹介します。
潮の満ち引きとは:海面が上下する現象
潮の満ち引きは、海面の高さがゆっくりと上がったり下がったりをくり返す現象です。海面がいちばん高くなった状態を満潮(まんちょう)、いちばん低くなった状態を**干潮(かんちょう)**といいます。多くの場所では、満潮と干潮がおよそ1日に2回ずつ、交互にやってきます。
満潮と干潮の間の、海面が上がっていく途中を上げ潮(満ち潮)、下がっていく途中を**下げ潮(引き潮)**と呼びます。海辺で潮の動きを考えるときは、「今は満潮か干潮か」だけでなく、「今は上げ潮か下げ潮か」を知ることが大切になります。
波とは別の、ゆっくりした動き
浜辺に寄せては返す波は、主に風が海面を押すことで生まれ、数秒から十数秒ほどの周期でくり返します。一方、潮の満ち引きは、満潮から次の満潮まで約12時間半という、とてもゆっくりした周期の動きです。波のように目で見て分かる動きではなく、しばらく同じ場所にいると、水際の位置が少しずつ変わっていくことで気づきます。
潮位と干満差
ある時点の海面の高さを**潮位(ちょうい)といい、満潮と干潮の潮位の差を干満差(かんまんさ)**といいます。干満差は場所や時期によって大きく違い、数十センチほどしか変わらない海もあれば、数メートル変わる海もあります。日本の近くでも、太平洋側と日本海側、湾の奥と外海とで、干満差には大きな違いがあります。
満潮が1日2回ある理由:月の引力と二つのふくらみ
潮の満ち引きの主な原因は、月の引力です。月は地球を引っ張っていますが、その力は、地球のどこでも同じ強さではありません。引力は距離が近いほど強く、遠いほど弱くなるので、月に近い側の地表は強く、反対側の地表は弱く引かれます。
引かれ方の「差」が海を動かす
地球全体は、月の引力によって月の方向へ引かれながら、月と地球の共通の重心のまわりを回っています。このとき、地球の各場所にかかる力を、地球全体を平均した引かれ方と比べると、次のような違いが生まれます。
- 月に近い側: 地球の平均より強く月に引かれるので、海水が月の方向へ寄って盛り上がります。
- 月と反対側: 地球の平均より弱く引かれるので、海水が取り残されるように、月と反対の方向へ盛り上がります。
- その間の場所: 海水が両側へ寄るぶん、海面が低くなります。
このように、引力そのものではなく、場所による引かれ方の差が潮の満ち引きを生みます。この差の力を**起潮力(きちょうりょく)**といいます。結果として、地球の海には、月の方向と、その反対方向の二か所に、ふくらみができるように考えられます。

地球が回るので、1日2回になる
地球は1日に1回自転しているので、地上のある場所は、1日のうちに月の側のふくらみと、反対側のふくらみの両方の下を通ります。ふくらみの下に来たときが満潮、その間が干潮です。そのため、満潮と干潮はおよそ1日に2回ずつやってきます。
実際の海では、陸地や海底の形があるため、ふくらみが地球のまわりをなめらかに回っているわけではありません。湾や海峡の形、海の深さによって、潮の波が伝わる速さや向きが変わり、場所ごとに満潮の時刻や干満差が違ってきます。月が真上に来た時刻に、その場所がちょうど満潮になるとは限らず、数時間遅れることも珍しくありません。
太陽の引力も関わっている
太陽も地球を引っ張っており、同じしくみで起潮力を生みます。太陽は月よりはるかに大きいものの、地球からの距離がずっと遠いため、潮を動かす力は月のおよそ半分ほどです。月と太陽の両方の起潮力が重なったり、打ち消し合ったりすることで、潮の大きさに時期による違いが生まれます。
満潮が毎日約50分遅れるわけ
潮見表を毎日見ていると、満潮や干潮の時刻が、1日ごとに少しずつ遅くなっていくことに気づきます。その遅れは平均でおよそ50分です。
これは、月が地球のまわりを回っているためです。地球が1回自転して元の向きに戻る間に、月も地球のまわりを同じ向きに少し進んでいます。そのため、地球から見て月が再び同じ方向に来るには、24時間より少し長い、平均でおよそ24時間50分かかります。月が空を一周して戻ってくる時間が毎日約50分ずつ長いので、満潮の時刻も同じだけ遅れていきます。
1回の満ち引きは約12時間25分
1日に満潮が2回あるので、満潮から次の満潮までは、24時間50分の半分の、およそ12時間25分です。満潮から干潮までは、さらにその半分の約6時間12分ほどになります。これはあくまで平均の目安で、実際の間隔は場所や日によってかなり変わります。
この目安を覚えておくと、「今日の干潮が昼の12時ごろなら、明日は12時50分ごろ、夕方の6時ごろには満潮に近づく」というように、潮見表を見る前におおよその見当をつけられます。
1日の2回の満潮は同じ高さとは限らない
1日に2回ある満潮でも、朝の満潮と夜の満潮とで、高さが大きく違う日があります。干潮も同じです。これを**日潮不等(にっちょうふとう)**といいます。
月は、地球の赤道の真上をいつも通っているわけではなく、北や南に寄った位置を通る時期があります。月が赤道から外れると、二つのふくらみも赤道からずれた位置にできるので、地球が回ったときに、ある場所が通るふくらみの高さが1回目と2回目で違ってきます。日によっては、満潮や干潮が1日1回しかないように見える場所もあります。










