SDS法とDESC法の使い方|PREP法との違いと、説明・お願いの場面別の例文
DESC法は事実・気持ち・提案・選択を分けて考える
自分と相手の考えを尊重する
アサーションは、自分の考えや気持ちを率直に伝えながら、相手の考えや気持ちも尊重するコミュニケーションの考え方です。相手に従い続けることでも、自分の希望を通し切ることでもありません。DESCは、その考え方を会話へ移すための方法として知られています。
ここではDをDescribe、EをExpress、SをSpecify、CをChooseとして使います。公的機関のメンタルヘルスの資料などでも、この四つの手順が紹介されています。資料や研修によってSをSuggest、CをConsequencesと表す例もあり、名称の違いだけで別の話法だと決める必要はありません。
Dは、相手も確認できる状況です。「いつもいい加減です」ではなく、「昨日の会議資料に、依頼した集計表がありませんでした」と言います。回数や日時を言うときは、確認した範囲を超えないようにします。記憶が曖昧なら、まず状況を確認する会話から始めます。
Eは、その状況に対する自分の気持ちや懸念です。「あなたは無責任だと思います」は評価であり、気持ちの表現にはなりません。「会議で数字を確認できず、説明が止まることを心配しています」のように、何が困るのかを示すと提案につながります。
Specifyは実行できる一つの行動にする
Sでは、「きちんとして」「もう少し配慮して」のような抽象語を、観察できる行動へ直します。「会議前日の午後までに、集計表を共有フォルダーへ置いてもらえますか」なら、何を、どこへ、いつまでに行うかが分かります。期限は自分の都合だけで決めず、必要な理由も説明します。
Cでは、提案に応じられる場合と、難しい場合の対応を考えます。「間に合えば資料へ反映します。難しければ、今回は確認済みの範囲で報告し、残りの共有日を相談したいです」という形です。相手に不利益をちらつかせるための段階にはしません。

Cは、二つの選択肢を必ず連続して読み上げるという意味ではありません。相手が了承したら実行の条件を確認し、難しいと答えたら別の方法を相談します。返答にかかわらず同じ台本を続けると、相手の事情を聞く余地がなくなります。
頼みごとは作業の範囲と期限を具体的にする
同僚に確認作業を頼む例
確認を依頼する場合のDは「明日の打ち合わせ用資料ができ、数値の照合が残っています」です。Eは「一人で確認すると見落としがないか心配なので、別の目でも確かめたいです」とします。相手の能力を持ち上げる言葉を重ねるより、協力を頼む理由を具体的に述べます。

Sは「今日の十五時までに、二ページ目の売上表と元データを照合してもらえますか」です。Cは「対応できるなら、今からファイルを共有します。時間が取れなければ、確認できる時間帯を教えてください。提出時刻を含めて担当者に相談します」と用意できます。
この時刻とページ数は例です。実際には作業量、相手の予定、資料の扱いに合わせて直します。「少しだけ見て」では、誤字確認なのか、計算の再実行なのか分かりません。確認してほしい範囲と、求める結果を先にそろえる方が、お互いの負担を見積もりやすくなります。
頼む側が提出日を変える権限を持たないなら、Cで「延ばします」と約束しないようにします。「責任者に相談します」と、自分ができる対応を述べます。相手が断りにくい立場なら、難しい場合に誰が調整するかまで示しておくと、無理な引き受けを防ぎやすくなります。
家族に家事の分担を相談する例
家庭では、仕事のように期限と成果物を細かく決めると不自然なこともあります。例えばDを「夕食後の片付けが残り、寝る準備が遅くなっています」、Eを「私一人では終わらず、少し負担を感じています」とします。「手伝う気がない」といった相手の意図の推測は入れません。
Sは「今夜は食器を洗うところをお願いできますか」、Cは「今できるなら私は明日の準備をします。難しければ、どの作業なら分けられるか一緒に決めたいです」と続けられます。一度の会話で生活全体を変えようとせず、まずその日に調整する範囲を決めます。
分担を継続するなら、「やると言ったのに」で終わらせず、時間帯や量が現実的だったかを後で確認します。相手の事情を聞くことと、自分の負担を言わずに引き受け直すことは別です。合意できなかった点は、そのまま残っていることを共有します。
依頼文を作る順番
- 相手にしてほしい作業を一つ書く。
- その作業が必要になった事実を確認する。
- 自分が困っている影響を短く書く。
- 必要な期限と、渡す材料をそろえる。
- 難しいと言われた場合に相談できる範囲を決める。
文章はDから始めても、考える順番まで固定する必要はありません。先にSを書いた方が、何を頼みたいのかがはっきりする場合もあります。DやEを長く説明しても依頼が出てこない文章は、Sを先に下書きすると整理しやすくなります。
断るときは引き受けられない範囲を曖昧にしない
追加の仕事をその日には受けられない例
Dは「今日は先に依頼された月次資料の確認があり、夕方まで作業を予定しています」です。Eは「今から別の資料も作ると、どちらも確認が不十分になることを心配しています」とします。相手の依頼を迷惑だと評価せず、引き受けた場合の具体的な問題を伝えます。
Sは「今日中に完成させる条件では、追加の資料作成は引き受けられません」です。断りの場面では、Sが依頼というより、自分の対応範囲の明示になることもあります。「厳しいかもしれません」「考えておきます」だけで終えると、了承したと受け取られる場合があります。
Cは「明日の午前から着手する案か、責任者に優先順位を決めてもらう案なら相談できます」とします。ただし、明日の予定が確定していないなら、空いていると約束しません。「代わりに別の人がやります」と、本人に確認していない担当変更を出すことも避けます。
相手が「短時間でできるはず」と答えたら、難しさを繰り返すだけでなく、必要な作業と残る確認を説明します。そのうえで、どの仕事を後へ回すかを決めてもらいます。仕事量の調整が必要な場面を、自分の話し方だけの問題として抱え込まないことも大切です。
誘いを断る場合は説明を増やしすぎない
私的な誘いなら、「誘ってくれてありがとう。今回は予定があるので参加できません。また都合が合う日に声を掛けてもらえたらうれしいです」と短く伝えられます。すべての場面で、感情、提案、選択肢を四段落に分ける必要はありません。
理由を詳しく話したくない場合は、個人的な事情まで説明しなくても構いません。断りを納得させようとして理由を増やすと、その理由を解決すれば参加できるという交渉になりやすくなります。今回は参加しないという結論と、今後の希望があればその範囲を伝えます。
代案を出せない断りもあります。「今回はお引き受けできません」と伝えたうえで、必要なら決まっている連絡手順を案内します。Cの欄を埋めるために、自分ができない支援や次回の参加を約束しないようにしてください。









