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学び・仕事術

文章の推敲のしかた|時間の置き方、直す順番、ねじれた文と重複表現の見つけ方

自分の文章の誤りはなぜ見えにくいのかを踏まえ、推敲の手順を整理します。校正や校閲との違い、時間の置き方、全体から語句へ直す順番、主語と述語のねじれや重複表現の直し方、音読や印刷の使い方、メールや報告書など場面別にかける時間の目安を例文で説明します。

印刷した原稿に鉛筆で手を入れる手元

文章を書き終えて送信ボタンを押したあと、誤字に気づいたことはないでしょうか。何度も読み返したはずなのに、相手から指摘されて初めて分かる。読み手には一目で分かる誤りが、書いた本人にはなかなか見えません。

推敲は、才能や語彙の問題というより、自分の文章を他人の目で見るための手順の問題です。この記事では、なぜ自分の文章は読み返しにくいのかを押さえたうえで、時間の置き方、直す順番、文と語句の直し方、見え方を変える工夫、場面ごとにかける時間の目安まで、例文を使って順に説明します。

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推敲・校正・校閲はどう違うのか

文章を見直す作業には、よく似た言葉がいくつかあります。区別しておくと、今どの作業をしているのかが分かり、手順を組みやすくなります。

推敲という言葉の由来

「推敲」は中国の故事に由来する言葉です。唐の詩人の賈島(かとう)が「僧は推す月下の門」という句を作り、「推す」を「敲く(たたく)」に変えるかどうか迷いながら驢馬に乗っていて、高官の韓愈の行列にぶつかりました。わけを話すと、韓愈は「敲く」がよいと勧めたと伝えられています。この話は宋代の書物などに記されたもので、史実かどうかははっきりしませんが、一文字のためにそこまで考え込む姿が、言葉の意味として残りました。

この故事から分かるように、推敲はもともと誤りを探す作業ではありません。どちらも間違いではない二つの表現から、よりよいほうを選ぶ作業です。

三つの作業の範囲

作業 見るもの 主に行う人 例
推敲 内容、構成、言い回し 書き手 順序を入れ替える、段落を削る
校正 誤字脱字、表記、体裁 書き手または校正者 「以外」と「意外」の誤変換を直す
校閲 事実関係、矛盾、差別表現など 校閲者、上司など 日付や数字が資料と合うか確かめる

出版の現場ではこれらを別の人が担当しますが、ふだんの文章では一人で全部を引き受けることになります。問題は、これを一度に行おうとすることです。一回の読み返しで内容も誤字も事実も見ようとすると、どれも中途半端になります。作業を分けて、一度に一つだけ見るようにします。

書く時間と直す時間を分ける

作業を分けるという考え方は、書く段階にも当てはまります。書きながら一文ずつ直していると、なかなか先に進まず、全体を書き終える前に疲れてしまいます。

最初の下書きでは、多少粗くても最後まで書き切ることを優先します。言葉が出てこないところは「(あとで調べる)」と書いて先へ進み、印をつけた箇所は推敲の段階で埋めます。書く頭と直す頭は働きが違うので、同時に動かそうとしないほうが、結果として早く仕上がります。

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なぜ自分の文章の誤りは見えないのか

読み返しても誤りが見つからないのは、注意力が足りないからではありません。書き手には、読み手にない情報があるからです。

文章を読むとき、人は一文字ずつ確かめているわけではなく、次に来る言葉を予測しながら読んでいます。書いた本人は内容を知っているので、この予測がとてもよく当たります。その結果、紙の上の文字を見ているつもりで、頭の中にある文章を読んでしまいます。「ありがとうござます」と書かれていても、「ありがとうございます」と読めてしまうのはこのためです。

もう一つの問題が、説明の抜けです。書き手は背景を知っているので、省いた部分を頭の中で自動的に補います。「例の件は来週で大丈夫です」は、書いた人には明確な文でも、受け取った人には「どの件か」「来週の何か」が分からないことがあります。誤字と違って、説明の抜けは文章として正しいので、校正ツールでも見つけられません。

読み返しを妨げる三つの理由(予測、補完、愛着)
意志の力では防ぎにくいものです。

三つ目の愛着も見落とされがちです。時間をかけて書いた段落ほど、内容に関係なくても消しにくくなります。「せっかく調べたから」という理由で残された段落は、読み手にとっては寄り道になります。

推敲の工夫のほとんどは、書き手の立場から離れて、この三つを弱めるためのものです。読み手が誰なのかを具体的に一人思い浮かべるだけでも、補完にはある程度の歯止めがかかります。「この説明で、隣の部署のあの人に通じるだろうか」と考えると、省いていた前提に気づきやすくなります。

書いた直後には直さない

最も手軽で効果が大きいのが、時間を置くことです。書き終えた直後は、内容が頭に残っているので、予測や補完が強く働きます。時間が経つとそれらが薄れ、自分の文章を少し他人の文章のように読めるようになります。

文章の長さごとに、次のくらいが目安になります。

文章の種類 置く時間の目安 時間がないときの代わり
短いメールやチャット 数十秒 宛名と本文の最初だけ読み返す
社内の報告やまとめ 15分〜1時間 別の作業を挟んで、立ち上がってから読む
提案書、応募書類 一晩 印刷するか、別の端末で読む
ブログや長い記事 一晩〜数日 冒頭と結論だけ先に読み直す

一晩置くには、締め切りの前日までに一度書き上げておく必要があります。逆に言えば、推敲の時間は書く前に確保しておくものです。「仕上げは締め切りの前日、当日は直すだけ」という予定を立てておくと、文章の質がかなり安定します。

待つ間は、同じ文章のことを考えないようにします。別の種類の作業をしたり、散歩に出たりするのが向いています。戻ってきたときに、一番初めに違和感があった場所に印をつけておきましょう。慣れると見えなくなる違和感は、最初の一読にだけ現れることがあるからです。

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  1. 秋の戸口に並ぶかぼちゃの明かりとかぶ、麦束
  2. 資料を手に落ち着いて話し合う二人
  3. ノートパソコンと資料、外付け記憶装置がある机
  4. 冬の木で越冬する卵のうやミノムシ、テントウムシ
  5. 青い折り鶴と三角に折った紙、無地の折り紙