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学び・仕事術

読点(、)の打ち方|意味が変わる例、打つ位置の基準、多すぎる文の直し方

読点に絶対の決まりがない理由と、それでも迷わず打てる基準を整理します。係り受けで意味が変わる例、長い修飾語と語順の考え方、主語や接続詞のあとに打つかどうか、打たないほうがよい位置、多すぎる文の直し方、メールや公用文など場面別の違いを例文で説明します。

白い紙の上の大きな墨の点と万年筆

「読点はどこに打てばいいのですか」と聞かれて、はっきり答えられる人はあまり多くありません。学校では「息つぎのところに打つ」と教わった人もいれば、「主語のあとに打つ」と覚えている人もいます。ところが、息つぎの位置は人によって違いますし、主語のあとに毎回打つと文章が細切れになります。

読点には、法律のような決まりはありません。それでも、文章を読みやすくする打ち方と、読み手を迷わせる打ち方の差ははっきりしています。この記事では、読点が果たしている役割を整理したうえで、意味を変えないための基準、位置ごとの考え方、多すぎる文の直し方、場面ごとの違いを、例文を使って順に説明します。

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読点に「正しいルール」はあるのか

文の終わりに打つ句点(。)は、位置で迷うことがほとんどありません。一方の読点(、)は、同じ文でも打つ人と打たない人がいます。これは書き手の知識不足というより、読点が文法で一つに決まるものではないからです。

公的な目安は「案」にとどまる

読点の扱いを示した古い資料に、文部省が1946年にまとめた「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」があります。教科書や文書の表記をそろえるために作られたもので、1906年の句読法案をもとにしています。題名に「案」とあるとおり、守らなければならない法律ではありません。それでも半世紀以上、公用文や学校教育で参考にされてきました。

国の文書については、2022年に文化審議会が「公用文作成の考え方」を示しました。これも政府の文書を書くときの手引で、一般の人の文章を縛るものではありません。

基準が割れる理由

文章術の本を読み比べると、説明の仕方はかなり違います。よく知られている本多勝一の『日本語の作文技術』は、読点を文の構造に基づいて打つ立場を取り、それ以外の読点はできるだけ打たないように説いています。一方で、読みやすさや呼吸、文章のリズムを重く見る立場もあります。小説や随筆では、書き手の個性として読点が多かったり少なかったりします。

このように立場は分かれますが、読み手が意味を取り違える位置には打つという一点では、ほとんどの基準が一致します。ですから、まずはそこを押さえ、残りは文章全体でそろえると考えると整理しやすくなります。

読点が果たす三つの役割

読点の働きは、大きく三つに分けられます。どの働きのために打とうとしているのかがわかると、要らない読点も見分けられます。

読点の三つの役割(意味を決める、区切りを示す、調子を整える)
必要度が高いのは上から順。

意味を決める読点は、打つ位置によって文の意味が変わるものです。これを落とすと誤解が起きるので、最も優先します。

区切りを示す読点は、意味は変わらないものの、なくすと読むのに時間がかかる読点です。長い修飾語の切れ目や、「〜ので、」のような節の切れ目がこれにあたります。

調子を整える読点は、声に出したときの間や、文章の印象のために打つものです。文学的な文章では大切ですが、仕事の文書ではほとんどの場合、なくても困りません。

読点を打つか迷ったら、その読点がどの働きをしているかを考えます。三つのどれにも当てはまらなければ、消してかまいません。

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打つ位置で意味が変わる例

読点の力がいちばんはっきりするのは、言葉のかかり先が二通りに読める文です。

動作をしているのは誰か

次の文を読んでみてください。

田中さんは急いで駅に向かう佐藤さんに声をかけた。

急いでいるのは田中さんでしょうか、佐藤さんでしょうか。この文だけでは決まりません。読点を打つと、それぞれ次のように定まります。

  • 田中さんが急いでいる: 田中さんは急いで、駅に向かう佐藤さんに声をかけた。
  • 佐藤さんが急いでいる: 田中さんは、急いで駅に向かう佐藤さんに声をかけた。

読点には、前の言葉を、すぐ次の言葉へはかからせず、もっと先へ送るという働きがあります。「急いで、」と打つと、「急いで」は直後の「駅に向かう」を飛び越えて「声をかけた」にかかります。「田中さんは、」と打つと、「田中さんは」が先の述語へ飛び、「急いで駅に向かう」はひとまとまりで「佐藤さん」にかかります。

いつの出来事か

時を表す言葉も、かかり先が迷いやすい語です。

部長は昨日届いた見積書を確認した。

  • 確認したのが昨日: 部長は昨日、届いた見積書を確認した。
  • 届いたのが昨日: 部長は、昨日届いた見積書を確認した。

報告書や議事録では、この違いが実務に関わります。日付と行動が結びつく文は、読点が足りているかを特に確かめてください。議事録の書き方のように、後から事実を確かめる文書では、なおさらです。

ひらがなが続いて切れ目がわからない

かかり先ではなく、語の切れ目がわからない場合もあります。「ここではきものをぬいでください」は、昔から例に挙げられてきた文です。「ここで、はきものを」と「ここでは、きものを」では、読点の位置ひとつで脱ぐものが変わります。

実際の文章では、漢字に直すことで解決する場合がほとんどです。読点で解決しようとする前に、漢字にできる語が平仮名のままになっていないかを見ます。逆に、漢字が続くときにも切れ目は見えにくくなります。「本日東京本社で」より「本日、東京本社で」のほうが、語の切れ目がすぐ見えます。

読点だけでは解決しない文

読点で必ず直せるとは限りません。

来週の会議で配る資料と議事録を確認してください。

会議で配るのは資料だけなのか、資料と議事録の両方なのかがあいまいです。「資料と、議事録を」と打つ方法もありますが、読点の見落としで誤解が残ります。こういうときは語順を変えます。

  • 配るのは資料だけ: 議事録と、来週の会議で配る資料を確認してください。
  • 配るのは両方: 来週の会議で配る資料と議事録の両方を確認してください。

読点は誤解を防ぐ道具の一つにすぎません。誤解が起きかねない文は、語順を変える、言葉を足す、文を分けるといった方法も一緒に考えます。

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  2. 資料を手に落ち着いて話し合う二人
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