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自然・サイエンス

水が凍るしくみと過冷却|表面から張る氷、0度でも凍らない水と家庭での実験

水は0度になれば必ずすぐ凍るわけではありません。水分子の並び、氷の核、潜熱を手がかりに、池が表面から凍る理由と過冷却のしくみを説明します。冷凍庫とペットボトルを使う安全な観察手順、うまくいかない原因、透明な氷と白い氷の違い、凍結防止剤や水道管とのつながりまでまとめました。

薄い氷が張った冬の朝の池とヨシ

冬の池に張った薄い氷と、冷凍庫の製氷皿にできる氷は、どちらも液体の水が固体に変わったものです。それでも、池では表面に氷ができ、家庭の氷には白い部分が残り、ときには氷点下まで冷やした水が液体のままでいることもあります。「水は0度で凍る」という説明だけでは、その違いが少し分かりにくいかもしれません。

凍るしくみは、水分子の並び、氷が育つきっかけ、外へ逃げる熱の三つから考えると整理できます。ここでは通常の大気圧にある水を中心に、池の凍り方と過冷却を説明し、冷凍庫で変化を観察する手順へ進みます。雪や霜の結晶そのものの形よりも、液体の水がいつ、どこから、どれだけ凍るのかに目を向けてみます。

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水分子の並びと凝固点

水と氷で変わること

水を細かく見ていくと、水分子という小さな粒の集まりとして考えられます。液体では分子が動き、隣り合う相手や位置を入れ替えています。氷では分子が規則的な並びを作り、液体のように自由に位置を入れ替えにくくなります。このように規則のある構造を持つ固体を、結晶といいます。

水が凍っても、水分子が別の物質に変わるわけではありません。水素と酸素に分解したり、分子自体が大きく膨らんだりする変化でもありません。日常の氷では、分子同士が水素結合という引き合う働きでつながり、液体より隙間の多い構造を作ります。同じ量の水から氷を作ると体積が増えるのは、この並び方と関係しています。

「凍ると分子が止まる」と覚えるのも、正確には少し違います。氷の中でも分子は決まった位置の周りで振動しています。固体と液体を分けるときは、動きの有無だけでなく、分子がどのように並び、位置を保っているかを見る必要があります。

0度は水と氷が釣り合う温度

液体が固体へ変わることを凝固、その基準となる温度を凝固点と呼びます。反対に固体が液体へ変わることは融解で、その温度が融点です。通常の大気圧で純粋な水を考えると、凝固点と氷の融点は約0度になります。この記事では、読みやすさのため摂氏の温度を「度」と表します。

0度は、水と氷が一緒に存在して釣り合える温度でもあります。すでに水と氷があるところで熱を外へ逃がすと、氷が増える方へ変化します。逆に熱が入れば氷が溶けます。温度計の表示が0度になった瞬間に、容器全体が自動的に固体へ切り替わる、という意味ではありません。

実際の水には、空気やミネラルなどが含まれています。塩などが溶けると凝固点も変わるため、「すべての液体は0度で凍る」とは扱えません。まずは真水に近い水の話と、食塩水や飲み物の話を分けて考えると、後で過冷却との違いも理解しやすくなります。

水が氷になるまで(1. 熱が逃げる、2. 核ができる、3. 氷が育つ、4. 熱を放出する)
冷えることと、結晶が育つことを分けて見ます。
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池が表面から凍る理由

4度付近で密度が最大になる

水が「重い」「軽い」というときは、比べる量をそろえます。同じ体積で比べたときの質量を表すのが密度です。同じコップ一杯でも、密度の大きい水の方が質量は大きくなります。水を冷やしても水そのものの質量が増えるのではなく、温度によって体積が少し変わると考えてください。

淡水は4度付近で密度が最大になります。温かい水をそこまで冷やす間は密度が増えますが、4度付近からさらに冷やして0度へ近づけると、密度は小さくなります。冷やせば際限なく重くなる物質とは違う、この性質が池の中の水の動きを変えます。米国地質調査所の水の密度の解説でも、4度付近の密度と氷の浮きやすさが説明されています。

秋から冬へ向かい、表面の水が4度より高い温度から冷やされる間は、冷えた水が沈み、下の水と入れ替わります。このような水の動きを対流といいます。風による混合も加わり、水の深いところへも冷却の影響が伝わります。

ところが、表面が4度より低くなると、その冷たい水は4度付近の水より密度が小さく、上に残りやすくなります。さらに冷却が進むと表面付近が凝固点へ近づき、氷が張ります。冷たい外気に熱を奪われる場所が上側であることに、水の密度の変化が重なった結果です。

浮いた氷が下の水を覆う

氷は液体の水より密度が小さいため、水に浮きます。表面にできた氷が次々に底へ沈むことはなく、上に残って水を覆います。氷の層を通して熱は逃げ続けますが、水面が直接冷たい空気に触れているときより、下の水は冷えにくくなります。積もった雪も熱の逃げ方に影響します。

そのため、十分な深さがある淡水の湖などでは、表面が凍っても下に液体の水が残ります。氷が厚くなるには、氷の下の水が凍る際に出る熱を、上の氷などを通してさらに外へ運ばなければなりません。表面が凍った後も同じ速さで底まで固まるわけではないのです。

表面に氷が残る三つの理由(密度の変化、氷の浮力、熱の逃げ方)
淡水の性質と、熱が逃げる場所を合わせて考えます。

ただし、「湖の底は必ず4度」「どんな池も底まで凍らない」とは言えません。水深、風、水の出入り、塩分、寒さが続く期間によって状況は変わり、浅い水たまりなどは全体が凍ることもあります。海水は淡水と性質が異なるため、同じ説明をそのまま当てはめません。氷の見た目から厚さや安全性を判断して、水面へ乗ることも避けてください。

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氷の核と過冷却

氷が育ち始めるきっかけ

水が冷えても、最初の氷が育ち始めるにはきっかけが要ります。水分子が氷の並びを作り始めた小さな集まりは、十分に育つ前に崩れることがあります。成長を続けられる氷の核ができると、そこへ周囲の分子が加わり、結晶が大きくなります。「核」はここでは氷の種という意味で、原子核の話ではありません。

容器の表面や水に混ざった微粒子などは、核ができる足場になる場合があります。また、すでにある氷の小片は、新しく氷を成長させるきっかけとして働きます。どの粒子でも同じように働くわけではなく、表面の性質や温度によっても違いがあります。

凝固点を下回っても成長できる核が現れず、液体のまま残る状態が過冷却です。日本冷凍空調学会の過冷却水の解説では、核のでき方、水以外の粒子や容器の壁が果たす役割、氷を利用した凍結の開始が整理されています。家庭での成否も、水の種類だけで決まるわけではありません。

過冷却は「本来の凝固点が変わった」という意味ではありません。氷へ変わる方が安定な温度まで冷えているのに、変化の始まりが遅れている状態です。容器を動かしたり氷の小片を触れさせたりすると、その状態が崩れ、氷が急に広がって見えることがあります。

食塩水が凍りにくい現象との違い

食塩を溶かした水も0度より低い温度で液体のままですが、過冷却とは分けて考えます。食塩水は水と成分が違い、凝固点そのものが低くなっています。さらにその食塩水を自身の凝固点より低く冷やしても凍らない場合に、過冷却と呼びます。

比べる点 過冷却した真水 凝固点が下がった食塩水
液体でいる理由 氷の成長が始まっていない その温度では液体でいられる
凝固点の扱い 真水の凝固点を下回っている 真水より凝固点が低い
氷の小片を入れた場合 条件が合えば氷が広がる 液温と濃度によっては溶ける

透明な水を見ただけでは、過冷却かどうかは分かりません。冷凍庫に長く置いて液体だったとしても、水温がまだ0度より高い可能性があります。観察では「液体だった」「氷の小片を入れると周囲に氷が広がった」という事実を記録し、温度を測っていない場合は具体的な水温まで断定しないようにします。

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