はんだ付けの失敗の直し方|はんだ吸い取り線と吸い取り器の使い分け、部品を外して付け直す手順
ランドを傷めないための熱の扱い方
ランドがはがれる理由
ランドは、基板の表面に薄い銅の層を貼り付けたものです。銅と基板の間は接着されていますが、この接着は熱に弱く、高い温度に長くさらされると弱くなります。修正の作業では、同じ場所を何度も温めることが多いため、はんだ付けよりもランドに負担がかかりやすくなります。
ランドがはがれる典型的な場面は、次のようなものです。一つは、こてを長く当て続けて接着が弱ったところに、力が加わったとき。もう一つは、はんだが固まった状態で、吸い取り線や部品を無理に引っ張ったときです。どちらも、「熱をかけすぎない」ことと「冷えた状態で力をかけない」ことで減らせます。
熱は「強く短く」を意識する
温度の低いこてで長く温めるより、適切な温度で短く温める方が、基板への負担は小さくなることが多いです。温度が低いと、はんだが溶けるまでに時間がかかり、その間に周りの基板全体が温まってしまうためです。かといって必要以上に温度を上げると、フラックスがすぐに焦げてはんだのなじみが悪くなります。はんだやこての説明にある温度の目安を基準にしてください。
こて先の形も、熱の伝わり方に影響します。先の細いこて先は細かい場所に向きますが、熱を伝える面が小さいため、大きなランドや太い足では温まるのに時間がかかります。修正の対象に合わせて、こて先を替えることも検討します。
冷ましながら進める
同じ場所に何度も熱をかけるときは、一度ごとに少し間を置き、基板を冷ましながら進めます。とくに、何度試してもうまくいかないときは、一度手を止めて原因を考え直す合図です。熱が足りないのか、フラックスが足りないのか、道具が合っていないのかを見直します。

ランドがはがれてしまったときの考え方
まず被害の範囲を確かめる
ランドが少し浮いただけで、配線とのつながりが切れていなければ、そのまま慎重に部品を付け直せることもあります。完全にはがれて取れてしまった場合は、そのランドが配線(パターン)とつながっていたかどうかを確かめます。何もつながっていないランドなら、回路の動作には影響しないこともあります。
どの配線とつながっていたかは、基板のパターンを目で追うか、回路図と照らし合わせて確かめます。テスターの導通測定で、はがれたランドの先の配線がどこまでつながっているかを確かめることもできます。
細い線でつなぐ補修
ランドの先に配線が残っている場合は、その配線の一部の被膜を慎重に削って銅を出し、細い線で部品の足とつなぐ補修方法があります。また、同じ配線につながっている別のランドや部品の足まで、細い線を渡してつなぐ方法もあります。
ただし、この補修は細かい作業が必要で、被膜を削る際に刃物を使うこともあります。刃物を使う場合は、刃の進む方向に手を置かない、力を入れすぎないといった基本を守ってください。また、電源回路や大きな電流が流れる部分では、細い線での補修は熱や断線の原因になりえます。そうした部分では安易に補修せず、基板を作り直すことも含めて考えます。
直すか、作り直すかの判断
ランドのはがれが一か所だけで、配線が分かりやすい練習用の基板なら、補修を試す価値があります。一方、複数のランドがはがれている、どこにつながっていたか分からない、電源に関わる部分である、といった場合は、無理をせずに基板を作り直す方が結果的に早く、安全です。
キットの基板であれば、交換用の基板が手に入る場合もあります。作り直しも、はんだ付けの練習になったと考えれば、むだにはなりません。迷うときは、詳しい人や電子工作の集まりで基板を見てもらうのも一つの方法です。
失敗を減らすための、修正の練習と道具の手入れ
練習用の基板で修正だけを練習する
修正の作業は、本番の基板で初めて行うと緊張し、熱を当てすぎがちです。使わなくなった基板や、穴の開いた練習用の基板(ユニバーサル基板)に部品を付け、わざと外してみる練習をしておくと、本番で落ち着いて作業できます。
練習のときは、一度に変える条件を一つに絞ります。たとえば、吸い取り線の幅だけを変える、吸い取り器のタイミングだけを意識する、といった具合です。何が結果を変えたのかが分かりやすくなり、自分に合ったやり方を見つけやすくなります。
よくある失敗と避け方
| よくある失敗 | 原因 | 避け方 |
|---|---|---|
| 吸い取り線がランドに張り付く | こてを先に離した | 線とこてを一緒に持ち上げる |
| 吸い取り器が反動で跳ねる | 構え方が不安定 | 手首を基板に添えて構える |
| 穴のはんだが抜けない | はんだが少なく溶けにくい | 少しはんだを足してから吸う |
| 部品をこじって穴を傷める | 一部の足が固定されたまま | すべての足が動くか確かめる |
| ランドが浮く | 長い加熱と力 | 短く温め、冷えたら引かない |
道具の手入れも修正の一部
こて先が汚れていると、熱がうまく伝わらず、修正のたびに長く温めることになります。こて先クリーナーで汚れを落とし、作業の終わりにははんだを薄く乗せて保護するなど、日ごろの手入れが修正のしやすさにも関わります。
吸い取り線は、湿気やほこりを避けて保管します。フラックスがしみ込ませてあるため、古くなると効きが落ちることがあります。吸い取り器は、中のはんだくずをためないよう、こまめに捨てます。道具の調子が整っていれば、修正の作業は短く、基板への負担も小さくなります。

作業台に残ったはんだくずや吸い取り線の切れ端は、思わぬところで部品に付着してショートの原因になります。作業の終わりには、作業台をきれいにしておくことも大切です。はんだくずの捨て方は、地域の分別のルールに従ってください。
まとめ
はんだ付けの失敗は、目的をはっきりさせ、道具を使い分ければ落ち着いて直せます。表面の余分なはんだやブリッジには吸い取り線、穴の奥のはんだを抜いて部品を外すときには吸い取り器、という使い分けが基本です。どちらの道具を使う場合も、熱は短く適切に、冷えた状態で力をかけない、という二つの点を守ると、ランドを傷めずに済みます。
最初の一歩として、使わなくなった基板か練習用の基板に抵抗を数本はんだ付けし、吸い取り線で一本の余分なはんだを取り、吸い取り器で一本の部品を外してみてください。外した後の穴が光にかざして抜けていることを確かめられたら、本番の基板でも同じ手順で作業できます。
よくある質問
吸い取り線と吸い取り器は、どちらを先に買えばよいですか?
初めは吸い取り線から始める人が多いです。少量の余分なはんだやブリッジに向き、ランドの表面を平らに整えやすいためです。スルーホールの部品を何度も外すようになったら、吸い取り器を足すと作業が楽になります。
吸い取り線がはんだを吸ってくれません。
多くは熱が足りないか、線にフラックスが足りないことが原因です。線の幅が対象に合っているか、こて先が線の上からしっかり当たっているかを確かめ、必要ならフラックスを少し足します。古い線や指でさわった部分は、切り落として新しい面を使います。
部品を外したら、穴がはんだでふさがってしまいました。
穴に少しはんだを足して全体を溶かしやすくしてから、吸い取り器で一気に吸うと抜けやすくなります。反対の面から吸うと抜けることもあります。針などで無理にこじると穴の内側の金属を傷めるため避けてください。
ランドがはがれてしまったら、もう使えませんか?
はがれたランドの先につながる配線が残っていれば、細い線で別の場所とつなぐ補修ができる場合があります。ただし基板や回路によって判断が変わり、電源回路などでは安易に補修しない方が安全です。迷う場合は基板ごと作り直すか、詳しい人に見てもらってください。
同じ場所を何度も温め直してもよいですか?
温め直すたびに、ランドの接着や部品に熱の負担がかかります。一度で直そうとして長く当て続けるより、手順を決めて短く当て、だめなら一度冷ましてからやり直す方が安全です。回数が増えてきたら、無理をせず方法を変えます。










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