災害用トイレの備え|流してよいかの判断、必要な枚数、携帯トイレの使い方と保管
発災後の時間ごとの動き
備えの量を考えるときは、時間の流れの中で何が起きるかを想像しておくと、必要なものが見えてきます。
直後から半日
揺れが収まって身の安全を確かめたら、数時間のうちに誰かがトイレに行きたくなります。この時点では排水が無事かどうか分からないので、最初の1回から携帯トイレを使います。便器に大きな袋をかぶせる作業は、家族の誰かが一度済ませておけば、その後は上の袋を替えるだけで済みます。夜なら、明かりを先に確保します。
1日目から3日目
家族の間で使い方を決める時期です。使った袋を置く容器、手を清潔にする道具、紙の置き場所を一か所にまとめます。自治体や管理組合から、排水設備についての情報が出始めるので、確認を続けます。
4日目から1週間
袋の保管量が増え、においが気になり始めます。ごみの収集の情報を確かめ、保管の容器を増やすか、置き場所を見直します。下水道が使えないままの地域では、仮設トイレや避難所のトイレを使える場合もあるので、場所と距離を確かめておきます。
復旧したあと
流せるようになったら、敷いていた大きな袋を外し、便器と周囲を掃除します。使わなかった携帯トイレの数と、足りなかったものを記録しておくと、次の備えに役立ちます。
手洗いと明かりも一緒に備える
トイレの備えは、袋だけでは足りません。使ったあとの手の衛生と、暗い中での動きやすさが一緒に必要です。
手を清潔に保つ
水が貴重なときは、手洗いの水も節約したくなります。感染性の胃腸炎などが避難生活で広がりやすいのは、この部分が崩れやすいからです。
- ウェットティッシュを多めに用意する(体をふく用途と分ける)
- 手指消毒用の品を、トイレの近くに置く
- 使い捨ての手袋を使い、外した手も清潔にする
- 食事の前に、少量でも水で流す手段を残す
水が少しでも使えるなら、ペットボトルのふたに小さな穴をあけると、少量の水で手を洗えます。
トイレットペーパーも多めに用意します。ふだん使いながら買い足す形で、1パックほど余分に置いておくと、自然に備蓄が保てます。
夜のトイレは暗い
停電の夜、窓のないトイレは真っ暗です。両手を使うので、手に持つ懐中電灯より、頭に付けるライトや、吊り下げられるランタンが向いています。個室の中に、一つ専用の明かりを置いておくと、家族が迷いません。明かりの選び方は停電に備える明かりの選び方で説明しています。
冬の夜は寒さも負担になります。トイレが寒いと、夜に行くのをためらいがちです。上着をトイレの近くに置いておくだけでも、ためらいを減らせます。寒さへの備えは冬の停電の寒さ対策も参考にしてください。
家族の事情に合わせる備え
同じ1回分でも、家族の状況によって必要なものが変わります。
小さな子どもがいる家庭
おむつを使う子どもの分は、紙おむつとおしりふきを多めに備えます。トイレトレーニング中の子どもは、環境が変わると失敗が増えることもあります。補助便座を使っているなら、携帯トイレと組み合わせられるか確かめておきます。暗い個室を怖がる場合は、小さなランタンを置くと助けになります。
高齢の家族がいる家庭
足腰が弱い人には、和式やしゃがむ姿勢の仮設トイレが大きな負担になります。自宅で過ごせるようなら、ポータブルトイレを使える場所を決めておきます。介護用の紙おむつやパッドを使っている人は、数日分を余分に用意します。排せつの介助が必要な場合は、備えの内容をケアマネジャーなどの担当者に相談しておくと安心です。
女性がいる家庭
生理用品やおりものシートは、災害時に手に入りにくいものの一つです。水が使えないと体を清潔に保ちにくくなるので、ウェットシートと合わせて備えます。避難所のトイレは、夜に一人で行くのが不安な場所になることもあります。一緒に行く人を決める、防犯ブザーや明かりを持つといった工夫も考えておきます。
持ち運ぶ分も用意する
家に置く分とは別に、持ち出し用に数回分を袋に入れておきます。避難所のトイレは混み合うことがあり、断水している場合は仮設トイレが届くまで使えないこともあります。自分の携帯トイレがあると、選択肢が増えます。
車の中で立ち往生したときも同じです。車に積むものは冬の車の立ち往生に備えるで触れています。
買うときと点検の確認
買うときは、値段と枚数だけで比べず、次の項目を確かめます。

保管場所は、トイレの中や近くがいちばんです。トイレの棚に入る分だけでも置いておくと、いざというとき探さずに済みます。残りは押し入れなどに分けて、一か所が取り出せなくても困らないようにします。
年に一度の点検
携帯トイレは、ふだん使いながら入れ替える形が取りにくい備えです。そのため、防災の日など、毎年決まった日に確認すると忘れません。
- 数が足りているか。家族が増えていないか
- 凝固剤やシートの期限が切れていないか
- 袋が破れていないか、箱がぬれていないか
- 明かりの電池が切れていないか
- 手順を家族が覚えているか
足りなくなったときの代用
専用品が尽きたときは、ポリ袋を二重にし、細かく裂いた新聞紙やペットシート、紙おむつなどを入れて、水分を吸わせる方法があります。あくまで一時的な方法で、固まり方は市販品より弱く、においも漏れやすくなります。代用品で何日も過ごす前提にはしないでください。
まとめ
災害用トイレの備えで覚えておきたいのは、次の三点です。水が出ていても、排水が無事と分かるまでは流さないこと。1人1日5回を目安に、最低3日分、できれば7日分の携帯トイレを用意すること。袋だけでなく、手の衛生と明かり、使用後の保管先まで合わせて考えることです。
最初の一歩として、今日のうちに、家族の人数に5と3を掛けて、3日分が何回分になるかを計算してみてください。自宅の防災用品の中にある携帯トイレの数と比べれば、足りない分がすぐに分かります。そのあと、トイレの棚に1箱置いて、大きなポリ袋を1枚添えておけば、備えの最初の形はできあがります。水や食料の備え全体を見直すときは、防災グッズの揃え方もあわせて確認してください。災害時の下水道の利用制限やごみの出し方は地域で異なるので、最新の情報はお住まいの自治体の案内で確認してください。
よくある質問
断水してもバケツの水で流せばトイレは使えますか?
排水管や下水道が無事だと確認できた場合に限ります。地震のあとは見た目で判断できないので、確認が取れるまでは流さず、携帯トイレを使います。マンションでは下の階で汚水があふれるおそれがあります。
携帯トイレは何枚用意すればよいですか?
1人1日5回を目安に、家族の人数と日数を掛けて計算します。自治体の案内では最低3日分、できれば7日分とするものが多く、4人家族の7日分は140回分です。回数には個人差があるので、自宅の人数に合わせて調整します。
使用済みの携帯トイレはどう捨てますか?
多くの自治体では災害時の出し方を別に案内するので、その指示に従います。収集が再開するまでは、袋の口をしっかり縛り、ふた付きの容器に入れて、雨と直射日光を避けた場所に置きます。集合住宅の共用部には置きません。
ポリ袋と新聞紙で代用できますか?
短い間のしのぎとしては使えます。ただし水分を固める力は市販の凝固剤や吸水シートより弱く、袋の破れや液漏れも起きやすいです。代用品に頼るのは足りなくなったときだけと考え、数日分は専用品を用意しておくと安心です。
トイレに行く回数を減らすため、水分を控えてもよいですか?
控えないでください。水分を減らすと脱水や血栓の危険が高まることが、内閣府の指針などでも指摘されています。回数を気にせず飲めるよう、トイレの準備を先に整えておきます。体調に異常を感じたら、医療機関や救護所に相談します。










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