防災ラジオの選び方と聞き方|AM・FM・ワイドFMの違い、電源の種類と受信のコツ
停電や通信障害のときにも情報を得られるラジオを、防災用にどう選び、どう聞くかをまとめました。AMとFMの電波の性質の違い、ワイドFMやコミュニティFM、乾電池・手回し・ソーラーなど電源の比べ方、受信感度を上げる置き方、周波数の控え方、電池を長持ちさせる聞き方と点検のしかたまで紹介します。

大きな地震や台風で停電が起き、スマートフォンもつながりにくくなったとき、頼りになるのがラジオです。電池さえあれば、広い範囲に向けて流れる放送を受け取ることができ、地域の被害の状況や避難の情報、交通の情報などを聞けます。ただ、ふだんラジオを聞かない人にとっては、AMとFMの違いや、「ワイドFM」という言葉、電源の種類など、選ぶときに迷うことが少なくありません。
この記事では、災害時にラジオが役立つ理由、AMとFMの電波の性質の違い、ワイドFMやコミュニティFMの役割、電源の種類の比べ方、防災用に選ぶときの優先順位、受信感度を上げる置き方、周波数の控え方、災害時の聞き方、保管と点検のしかたまでを順に紹介します。防災グッズ全体のそろえ方は防災グッズの揃え方もあわせて読んでください。なお、放送の周波数や放送局の体制は変わることがあるので、最新の情報は各放送局の公式サイトで確認してください。
災害時にラジオが役立つ理由
災害のときに情報を得る手段はいくつもありますが、ラジオには他の手段にはない強みがあります。
一度に多くの人へ届く
ラジオの放送は、放送局から送られた電波を、受信機さえあれば誰でも受け取れる仕組みです。電話やインターネットのように、一人ひとりが回線をつないで情報を取りに行くのではないため、多くの人が同時に聞いても混み合って聞こえなくなることがありません。災害の直後、安否確認や情報検索で通信が集中しても、ラジオは影響を受けにくいのです。
停電しても聞ける
乾電池や内蔵の充電池で動くラジオは、停電していても聞けます。テレビは電源が必要で、スマートフォンも電池が切れれば使えなくなります。ラジオは消費電力が比較的小さく、乾電池で長く聞けるものが多いのも、停電が長引いたときに心強い点です。
手がふさがっていても聞ける
ラジオは音で情報を伝えるので、片付けや避難の準備をしながらでも聞けます。画面を見続ける必要がなく、目の不自由な人や、暗い中でも情報を得られます。

スマートフォンのラジオアプリとの違い
スマートフォンのラジオアプリは、ふだんは便利ですが、多くはインターネット回線を通じて放送を聞く仕組みです。基地局が停電や被害で止まったり、回線が混み合ったりすると、聞けなくなることがあります。また、スマートフォンの電池は、連絡や明かりなど他の用途にも使いたいものです。ラジオを別に用意しておくと、スマートフォンの電池を温存できます。スマートフォンの電池を長持ちさせる工夫はスマホのバッテリーを長持ちさせる使い方でも紹介しています。
AMとFMの電波の違い
ラジオの放送には、大きく分けてAM放送とFM放送があります。どちらも電波で音声を届けますが、使っている電波の性質が違い、それぞれに得意なことと苦手なことがあります。
AM放送の特徴
AM放送は、中波と呼ばれる、波長の長い電波を使います。波長が長い電波は、山やビルの陰にも回り込みやすく、広い範囲まで届きやすいのが特徴です。特に夜は、上空の電離層という層で電波がはね返されやすくなるため、遠くの放送局の電波まで聞こえるようになります。
一方で、AMの電波は雑音を拾いやすく、家電製品や照明、充電器などから出る電気的な雑音で、ザーという音が混ざることがあります。鉄筋コンクリートの建物の中では電波が弱くなり、聞きにくくなることもあります。
FM放送の特徴
FM放送は、超短波と呼ばれる、AMより波長の短い電波を使います。音質がよく、雑音が入りにくいのが特徴で、音楽を聞くのにも向いています。ただし、届く範囲はAMより狭く、山やビルなどの障害物があると届きにくくなります。電波は見通しのよいところほど届きやすく、高い場所や窓際のほうが聞きやすい傾向があります。

両方聞けるものを選ぶ
災害時には、どちらの放送が聞きやすいかは、住んでいる場所や建物、被害の状況によって変わります。AMが雑音で聞きにくい建物の中でもFMならはっきり聞こえる、山あいでFMが届かなくてもAMなら聞こえる、ということがあります。防災用には、AMとFMの両方を聞けるラジオを選ぶのが基本です。
ワイドFMとコミュニティFM、臨時災害放送局
ラジオを選ぶうえで知っておきたいのが、ワイドFM、コミュニティFM、臨時災害放送局という三つの言葉です。
ワイドFMとは
ワイドFM(FM補完放送)は、AM放送の番組を、FMの電波でも同時に放送する仕組みです。AM放送が聞きにくい都市部のビルの中や、AMの送信所が被害を受けたときにも番組を届けられるよう、全国で整えられてきました。ワイドFMでは、従来のFM放送より高い90MHzから95MHzほどの周波数が使われています。
古いラジオの中には、FMの受信範囲が90MHzまでで、ワイドFMの周波数を受信できないものがあります。防災用にラジオを選ぶときは、FMの受信範囲が95MHz前後まであるか、「ワイドFM対応」と書かれているかを確かめましょう。
民放のAM放送局の中には、AM放送を休止したりFM放送へ移行したりする計画を進めているところがあります。住んでいる地域で、今後どの周波数で放送が聞けるのかは、各放送局の公式サイトなどで確認してください。
コミュニティFMとは
コミュニティFMは、市区町村などの限られた地域に向けて放送するFM局です。ふだんは地域の話題やイベント、お店の情報などを伝えていますが、災害時には、避難所の開設や給水の場所、ごみの収集、道路の状況など、その地域ならではの細かな情報を伝える役割を担います。自治体と協定を結び、災害時に情報を伝える体制をとっている局もあります。
広い範囲に向けた放送では、市町村単位の細かな情報まで伝えきれないことがあります。住んでいる地域にコミュニティFMがあれば、その周波数を控えておくと心強いでしょう。
臨時災害放送局とは
大きな災害が起きたとき、被災した自治体などが、被災者に必要な情報を伝えるために、臨時に開設するFM局を臨時災害放送局と呼びます。過去の大きな災害でも、被災地で開設され、生活の情報を伝えてきました。開設されたかどうかや周波数は、自治体のお知らせや他の放送で伝えられます。
| 放送の種類 | 主に伝える範囲 | 災害時に役立つ情報 |
|---|---|---|
| AM放送 | 広い地域 | 被害の全体像、交通、気象の情報 |
| FM放送 | 都道府県などの地域 | 地域の被害、交通、生活の情報 |
| ワイドFM | AM局と同じ地域 | AM局の番組をFMの電波で |
| コミュニティFM | 市区町村などの限られた地域 | 避難所、給水、生活の細かな情報 |
| 臨時災害放送局 | 被災した地域 | 被災者向けの生活の情報 |










