冬の車の立ち往生に備える|車内に積むもの、燃料の目安、一酸化炭素を防ぐ待ち方
大雪で車が動けなくなったときに備える記事です。立ち往生が起きるしくみ、出発前の判断、積んでおく物の優先順位、燃料の目安、マフラーの除雪と一酸化炭素中毒の防ぎ方、車を離れるかどうかの判断、救助の呼び方までを順に整理します。

冬の高速道路や国道では、大雪によって車の列が止まり、一晩どころか丸一日以上動けなくなることがあります。2020年12月の関越自動車道では、多くの車が長時間にわたって動けなくなり、自衛隊が災害派遣されて食料や燃料を届ける事態になりました。雪国の人だけの話ではなく、帰省、スキー、仕事の移動で雪の区間を通る人なら、誰でも巻き込まれる可能性があります。
立ち往生で最も怖いのは、寒さだけではありません。暖を取ろうとしてかけたエンジンの排気ガスが、雪に行き場をふさがれて車内に入り込み、気づかないうちに一酸化炭素中毒を起こすことです。この記事では、そもそも巻き込まれないための判断、積んでおく物の優先順位、動けなくなったときの過ごし方と救助の呼び方を、順に整理します。
立ち往生はなぜ起きるのか
1台が止まると、後ろがすべて止まる
雪の道路で車の列が動かなくなるきっかけは、多くの場合、ごく少数の車です。上り坂で大型車のタイヤが空転する、夏タイヤの車が交差点で動けなくなる、といったことが起きると、片側1車線の道路や、中央分離帯のある高速道路では後続の車が追い越せません。
止まった車の列の上にも雪は降り続きます。車の周りに雪がたまると、もともと動けた車まで発進しにくくなり、除雪車も車の列に阻まれて入れなくなります。動けない車が増えるほど除雪が遅れ、除雪が遅れるほどさらに動けなくなるという悪循環が、長時間の滞留を生みます。
短い時間に降る雪が危ない
雪の量そのものより、短時間に集中して降ることが問題になります。日本海側では、冬型の気圧配置が強まると、帯状の雪雲が同じ場所にかかり続けることがあります。除雪の能力を超える速さで雪が積もると、ふだん雪に慣れている地域でも道路が止まります。雪雲の成り立ちは冬型の気圧配置と日本海側の雪で詳しく説明しています。
一方、太平洋側の都市部で怖いのは、少ない雪です。冬用タイヤを持たない車が多く、数センチの積雪でも坂道で動けなくなる車が続出して、都市高速や幹線道路が止まることがあります。
動けなくなりやすい場所
次のような場所は、雪の日に車が止まりやすい場所です。
- 上り坂、とくに長い上り坂やカーブが続く峠道
- 高速道路のインターチェンジ付近、トンネルの出入り口
- 橋の上や高架。下からも冷えて路面が凍りやすい
- 信号のある交差点の手前の上り勾配
- 山間部で、迂回できる道がない国道

出発前に「行かない」を選ぶ判断
立ち往生への最大の備えは、巻き込まれないことです。国土交通省や気象庁は、大雪が予想されるときに不要不急の外出を控えるよう呼びかけています。予定を変える判断は、前日から当日の朝にしておくのが現実的です。
確認する情報
- 気象庁の大雪に関する情報や、警報・注意報を確かめる
- 道路管理者が出す、通行止めの予告や「予防的通行止め」の情報を確かめる
- 高速道路会社や国道事務所のライブカメラで、現地の路面を見る
- 走る区間の規制が「冬用タイヤ規制」か「チェーン規制」かを確かめる
大雪のときは、大規模な立ち往生を防ぐために、雪が本格的に積もる前に高速道路と周辺の国道を同時に通行止めにして、集中的に除雪することがあります。「まだ降っていないから大丈夫」と思っていても、予定の道路が閉じることがあるので、前もって確かめておく必要があります。
冬用タイヤ規制とチェーン規制の違い
名前が似ていますが、求められる装備が違います。
| 規制の呼び方 | 通れる車 | スタッドレスタイヤだけの車 |
|---|---|---|
| 冬用タイヤ規制 | 冬用タイヤ、またはチェーンなどを付けた車 | 通れる |
| チェーン規制 | チェーンなどの滑り止めを付けた車 | 通れない |
チェーン規制は、大雪のときに、過去に大きな立ち往生が起きた区間などで出されます。スタッドレスタイヤを履いていても、チェーンなどを付けなければ通行できません。対象の区間や認められる装置は見直されることがあるので、最新の情報は国土交通省や各道路管理者の公式サイトで確かめてください。
迷ったときの判断基準
行くかどうかを、次の順で考えると決めやすくなります。
- 今日でなければならない用事か。一日ずらせるなら、ずらす
- 公共交通に替えられないか。鉄道も止まることはあるが、運転の負担は減る
- 途中に引き返せる場所や泊まれる場所があるか
- 冬用タイヤの溝は十分か。チェーンを自分で付けた経験はあるか
- 同乗者に、乳幼児、高齢の方、持病のある方がいないか
一つでも不安があれば、無理に出ないほうがよいでしょう。とくに、長時間の滞留はトイレや薬の問題に直結します。同乗者に体力の心配があるときは、判断を一段階厳しくします。











