暖房器具の火災を防ぐ|ストーブと燃えやすい物の距離、就寝時と外出時、たこ足配線の確認
就寝時と外出時の決まり
暖房の火災で被害が大きくなりやすいのは、気づくのが遅れる場面です。眠っている間と、留守の間がそれに当たります。ここは「少しだけなら」と例外を作らず、消してから離れると決めておくほうが続きます。
寝る前の手順
- ストーブやヒーターの電源を切る
- 電気器具はプラグも抜く
- 石油ストーブは火が消えたのを目で確かめる
- 周りに落ちている布や紙を片づける
- 寝室を暖めたいときは、寝る前に部屋を暖めて、寝るときに切る
電気ストーブを枕元や布団のすぐそばに置く使い方は、特に避けてください。寒い部屋で布団から出たくないときほど、器具を近くへ引き寄せてしまいます。寝室はエアコンをタイマーで使う、寝具や寝間着を暖かいものにする、といった別の手段で補います。夜中にトイレへ起きる人は、足元を照らす小さな明かりを用意しておくと、暗い中でストーブに触れたり、コードに足を取られたりするのを防げます。
外出の前に見ること
外出時の確認は、玄関で思い出すことが多いので、手順に組み込みます。玄関のドアの内側に確認の札をかけておく、家を出る前に部屋をひと回りする、といった方法があります。短い買い物でも消します。
スマートプラグや遠隔操作で、外からストーブをつけたいと考える人もいるかもしれません。遠隔での操作に対応していない電気ストーブやヒーターは、周りに物が落ちていても気づけないので、この使い方は避けてください。帰宅前に部屋を暖めたいなら、遠隔操作に対応したエアコンを使います。
地震や停電のあと
見落としやすいのが、停電からの復旧です。電気ストーブのスイッチが入ったまま停電し、電気が戻った瞬間に動き始めることがあります。地震のあとなら、倒れた家具や落ちた物が器具の上に乗っているかもしれません。これが「通電火災」と呼ばれるものです。
停電したら暖房器具のスイッチを切り、プラグを抜きます。避難で家を離れるときは、可能であれば分電盤のブレーカーを落とします。揺れを感じると自動で電気を切る感震ブレーカーという機器もあります。停電中の暖の取り方は冬の停電の寒さ対策を見てください。
場面別の考え方
| 場面 | 向いている考え方 | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 寝室 | 寝る前に暖め、就寝時は消す | 枕元での電気ストーブ |
| 子ども部屋 | 触れても熱くなりにくい器具を選ぶ | 目が届かない場所で使う |
| 脱衣所 | 説明書で使用が認められた場所か確認 | 濡れた手での操作、タオルの近く |
| 高齢の家族の部屋 | 消し忘れ防止機能のある器具 | 石油器具の給油を任せきりにする |
| ペットがいる家 | 柵を置き、コードを保護する | 留守中の通電 |
小さな子どもは、ストーブのつまみやボタンを遊びで触ります。チャイルドロックのある器具ではロックをかけ、器具の周りをストーブガードで囲むと、子どもが近づきすぎるのも、物が触れるのも防げます。猫は暖かい場所に乗りたがり、器具の上に飛び乗ったり、しっぽが近づいたりします。ペットだけで留守番させる日は、燃焼式や発熱部が露出した器具を使わず、エアコンなどで室温を保つ方法を考えてください。
離れて暮らす親の家では、冬の前に一度、寝室の様子を見ておくとよいでしょう。電気ストーブが布団の横に置かれていないか、コードが家具の下を通っていないか。東京消防庁の集計でも、ストーブ火災で亡くなった人の多くは65歳以上でした。本人を責めるのではなく、置き場所を一緒に動かすくらいの話し方が受け入れられやすいです。
石油ストーブの給油と灯油の扱い
石油器具でいちばん注意したいのは給油の場面です。消火を確かめずにタンクを戻したとき、ふたが完全に閉まっておらず、灯油がこぼれて引火した事例が、NITE(製品評価技術基盤機構)の資料などで紹介されています。

消火したあとも、燃焼部はしばらく高温です。給油はあわてず、火から離れた場所で行います。
カートリッジタンクのふたは、閉めたつもりで半端に止まっていることがあります。古い製品の中には、ふたの締まりを確かめにくいものや、長く使って口が変形したものもあり、点検や修理の対象になった例があります。2009年に国の安全基準が変わる前の製品は、消し忘れや給油の安全装置の面で差があることもあります。長く使っている機種は、メーカーの案内を確認してください。
ガソリンとの取り違え
灯油のつもりでガソリンを入れると、異常燃焼を起こして大変危険です。絶対に同じ場所や似た容器で保管しないでください。ガソリンを家庭のポリタンクに入れるのはそもそも禁じられています。灯油は灯油用の容器に入れ、いつも決まった場所から給油します。
もし入れてしまったと気づいたら、点火せず、そのまま販売店やメーカーに相談します。すでについている場合は、消防に連絡してください。
灯油の保管と持ち越し
灯油は、日光や高い温度、空気で変質します。前のシーズンの残りを翌冬に使うと、点火しにくい、火が安定しない、においが強いといった不調の原因になることがあります。
- 直射日光と雨の当たらない場所に置く
- 容器のふたをしっかり閉める
- ストーブや火の気から離す
- 買う量はひと冬で使い切れる範囲にする
- 残った灯油は販売店や自治体に処分を相談する
下水や地面に流すのは危険で、環境にも害があります。
換気と一酸化炭素
石油やガスの暖房は、室内の酸素を使って燃え、排気を部屋の中に出します(煙突や排気筒のある器具を除く)。換気が足りないまま使い続けると、不完全燃焼が起こり、一酸化炭素が発生するおそれがあります。
一酸化炭素は色もにおいもありません。吸い込むと血液が酸素を運べなくなり、頭痛、吐き気、だるさから始まって、重くなると意識を失います。眠気のように感じることもあるので、「少し具合が悪いだけ」と思いがちです。

換気の回数は、取扱説明書の指示に従います。1時間に1〜2回、数分間の窓開けを求める説明書が多くあります。窓を二か所開けると、空気が通りやすくなります。部屋の空気の入れ替え方は部屋の換気のコツで詳しく説明しています。
車内や閉め切ったテント、狭い脱衣所などで、燃焼式の暖房器具を使うのは危険です。屋外用と書かれた器具や、炭、練炭を室内で使うこともやめてください。心配な場合は、一酸化炭素を検知する警報器を置く方法もあります。ただし、警報器があっても換気は省けません。
一酸化炭素中毒が疑われるときは、器具を止めて窓を開け、すぐに新鮮な空気の場所へ移動してください。意識がもうろうとしている、症状が強いといった場合は、ためらわず119番に連絡します。症状の判断は自分でせず、医療機関の指示に従ってください。










