家庭の水の備蓄と断水時の使い分け|飲み水と生活用水の量の目安、くみ置きの保存期間、給水袋での運び方
給水所から水を運ぶ
断水が長引くと、自治体などが給水車や給水所で水を配ることがあります。受け取ること自体は難しくありませんが、意外に大変なのが、水を家まで運ぶことです。

水の重さを知っておく
水は1リットルでおよそ1キログラムあります。10リットルのポリタンクを満杯にすれば、容器を含めて10キログラムを超えます。両手に一つずつ持てば20キログラム以上になり、家までの距離や階段によっては、とても運べない重さになります。
とくに集合住宅の上の階に住んでいる場合、停電でエレベーターが止まっていると、階段で水を運び上げることになります。一度に運ぶ量を欲張らず、何回かに分けるほうが体への負担は小さくなります。
運ぶための道具
水を運ぶときに役立つ道具には、次のようなものがあります。
- 折りたためる給水袋。使わないときは小さくしまえます。リュックのように背負えるものもあります。
- ふた付きのポリタンク。しっかりしていて、家に持ち帰ったあともそのまま置いておけます。
- キャリーカートや台車。重い容器を転がして運べます。
- リュック。給水袋をリュックに入れて背負うと、両手が空いて歩きやすくなります。
運ぶときのこつ
水を安全に運ぶために、次のことを心がけましょう。
- 容器は満杯にせず、自分が無理なく運べる重さにとどめる。
- 手に提げるより、背負うか台車に乗せて、体への負担を減らす。
- 袋状の容器は、中の水が揺れて重心が動くので、口をしっかり閉めて持つ。
- 階段では、足元が見えるように持ち、手すりをつかめる側の手を空けておく。
- 一人で抱え込まず、家族や近所の人と分担する。
高齢の人や体の不自由な人が一人で水を運ぶのは大変です。近所で声をかけ合い、まとめて受け取ったり運んだりする助け合いも、断水のときには大きな力になります。

少ない水で暮らす工夫
断水が続くと、限られた水をどう使うかが大切になります。少しの工夫で、使う水の量を大きく減らすことができます。
食事と洗い物の工夫
洗い物に使う水は、思った以上に多いものです。断水中は、できるだけ洗い物を出さない食事の仕方を考えます。
- 皿にラップをかけたり、ポリ袋をかぶせたりして使い、食べ終わったら外して捨てる。
- 紙皿や紙コップを使う。
- 鍋で湯を沸かすだけで食べられるものや、そのまま食べられるものを選ぶ。
- 食べ残しの汚れは、拭き取ってから洗う。
ポリ袋に食材を入れて湯せんで加熱する調理法なら、鍋の湯は汚れないので、同じ湯を何回か使えます。耐熱性のある袋を使い、袋が鍋の底に直接触れないよう皿を敷くなど、袋の表示に従って行いましょう。
体を清潔に保つ工夫
お風呂やシャワーが使えないときは、ぬらしたタオルや体ふきのシートで体を拭くだけでも、さっぱりします。歯磨きは、コップ一杯の水で口をすすぐなど、少ない水で済ませます。
手洗いは、感染症を防ぐうえでとても大切です。少ない水しかないときは、容器に入れた水を少しずつ流しながら、石けんで洗います。手指の消毒剤は、手が目に見えて汚れていないときの補助として使い、食事の前やトイレのあとは、できるだけ水と石けんで洗うようにしましょう。
使った水をもう一度使う
一度使った水も、用途を変えればもう一度使えます。たとえば、野菜を洗った水や、食器をすすいだ水は、トイレを流す水に回せます。使い終わった水を、すぐに捨てずに、次に使える場面がないか考える習慣をつけると、限られた水を長くもたせることができます。

家族の事情に合わせて考える
1人1日3リットルという目安は、あくまで大人を想定した平均的な考え方です。家族の中に赤ちゃんや高齢の人、持病のある人、ペットがいる場合は、それぞれに合わせて量や種類を考えておく必要があります。
赤ちゃんのミルクと離乳食
粉ミルクを使う家庭では、ミルクを作るための水と、哺乳びんを洗ったり消毒したりするための水が必要になります。ミルクに使う水の種類や作り方は、粉ミルクの説明書きや、かかりつけの医師、自治体の保健の窓口の案内に従ってください。迷うときは、そのまま飲ませられる液体ミルクを少し備えておくと、水や湯が用意できないときの助けになります。
哺乳びんを洗う水が足りないときに備えて、使い捨ての哺乳びんや、消毒用の用品もあわせて確かめておくと安心です。
高齢の家族と持病のある人
高齢になると、のどの渇きを感じにくくなることがあります。断水中は、トイレに行く回数を減らそうとして水を飲むのを控えてしまう人もいますが、水分が足りないと体調を崩すおそれがあります。家族が声をかけて、こまめに水分をとるよう気を配りましょう。
持病があって薬を飲んでいる人は、薬を飲むための水を、ほかの水とは別に確保しておくと安心です。水分のとり方に医師から指示がある場合は、その指示を優先し、災害時の過ごし方についても、ふだんから相談しておきましょう。
ペットの水
犬や猫などのペットにも、飲み水が必要です。体の大きさや種類、季節によって飲む量は違うので、ふだんどれくらい飲んでいるかを知っておき、その数日分を人の水とは別に備えておきます。ペットの体調で気になることがあるときは、かかりつけの動物病院に相談してください。
| 家族の事情 | 追加で考えたい水 | 一緒に備えたいもの |
|---|---|---|
| 赤ちゃん | ミルク用・哺乳びんを洗う水 | 液体ミルク、使い捨て哺乳びん |
| 高齢の家族 | こまめに飲む分 | 飲みやすい小さめのボトル |
| 薬を飲む人 | 薬を飲むための水 | 薬と一緒にまとめておく |
| ペット | ふだん飲む量の数日分 | 食器、ペット用の水入れ |
備えを点検して入れ替える
水の備えは、そろえて終わりではありません。いざというときに使えるよう、定期的に点検することが大切です。
点検の時期を決める
点検は、季節の変わり目や、防災の日など、毎年決まった時期に行うと忘れにくくなります。冬の前に一度、暑くなる前に一度、というように年に2回ほど確かめられると安心です。冬の断水は停電と重なることも多く、そのときの寒さへの備えは、冬の停電の寒さ対策の記事でまとめています。
点検では、次のことを確かめます。
- 飲み水の本数が、家族の人数と日数に足りているか。
- 賞味期限が近いものはないか。近いものは日常で使い、新しいものを買い足す。
- ペットボトルの容器がへこんだり、傷んだりしていないか。
- くみ置き用の容器やポリタンクが清潔か。ふたは傷んでいないか。
- 携帯トイレやラップ、紙皿など、水を節約するための用品はそろっているか。
よくある備えの失敗
水を備えていたつもりでも、いざというときに困ることがあります。よくあるのは、次のような例です。
- 飲み水はあったが、トイレを流す水がなく、困った。
- ペットボトルをまとめて押し入れの奥にしまい、暗い中で取り出せなかった。
- 賞味期限を気にせず置いていたら、何年も前の期限が切れていた。
- 給水所で水をもらったが、容器が重すぎて家まで運べなかった。
- くみ置きの水の日付が分からず、飲んでよいか判断できなかった。
どれも、飲み水と生活用水を分けて考え、置き場所と日付を決めておけば防げることです。
家族で使い方を共有する
水の備えがどこに、どれくらいあるかを、家族みんなが知っておくことも大切です。自分がいないときでも、家族が水を取り出して使えるように、置き場所や使い方、浴槽の水は飲まないことなどを話し合っておきましょう。夜に断水や停電が重なったときに備えて、明かりの準備もあわせて確かめておくと安心です。明かりの選び方は、停電に備える明かりの準備の記事で紹介しています。
まとめ
断水への備えは、飲み水と生活用水を分けて考えると、準備がぐっと具体的になります。飲み水は1人1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば1週間分を、ローリングストックで入れ替えながら備えます。水道水をくみ置きするなら、浄水器を通さずに、ふた付きの容器へ口元までいっぱいに入れ、日付を書いて保存します。トイレや洗い物に使う生活用水は、浴槽の水や携帯トイレ、洗い物を減らす工夫と組み合わせて、必要な量を減らすことが大切です。
最初の一歩として、今日、家にある飲み水の本数を数えてみてください。家族の人数×3リットル×3日の量に足りているかを確かめ、足りなければ次の買い物で2リットルのボトルを数本足します。あわせて、浴槽の水をすぐに捨てない習慣を始めるだけでも、断水への備えは大きく前に進みます。
よくある質問
飲み水はどれくらい備えればよいですか?
飲む水と調理に使う水を合わせて、1人1日3リットルがよく示される目安です。最低でも3日分、できれば1週間分を家族の人数分そろえておくと安心です。暑い時期や、体の大きさ、持病の有無によって必要な量は変わるので、多めに考えておきましょう。
水道水をくみ置きした水は何日もちますか?
清潔なふた付きの容器に口元までいっぱいに入れた場合、常温でおよそ3日、冷蔵庫ではおよそ10日が目安として案内されることが多いです。浄水器を通した水や一度沸かした水は、消毒のための塩素が抜けているため、もっと早く傷みます。詳しくは住んでいる地域の水道局の案内を確認してください。
お風呂の残り湯は飲めますか?
飲み水や調理には使わないでください。浴槽の水は、トイレを流す、床や道具を洗うなどの生活用水として使います。小さな子どもがいる家庭では、浴槽に水を張ったままにすると転落の危険があるので、ふたをし、浴室に入れないようにしておきましょう。
断水中にトイレを流すにはどうすればよいですか?
地震のあとなどは、排水管や下水道が傷んでいることがあるので、まず流してよいか、自治体や建物の管理者の案内を確認します。流せる場合は、バケツの水を便器に一気に注いで流します。流せないときや確認できないときは、携帯トイレや簡易トイレを使います。
給水所で水を受け取るときに何を持っていけばよいですか?
ふた付きのポリタンクや折りたためる給水袋、それを運ぶためのリュックや台車があると便利です。水は1リットルでおよそ1キログラムあるので、一度に運べる量を考え、容器は満杯にせず運べる重さにしておきます。










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