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歴史・文化

地名の由来の調べ方|漢字にだまされない読み方と、地名辞典・古い地図・小字のたどり方

地形や暮らしに由来する地名の傾向

地名の言葉には、土地の地形や、そこでの暮らしを表したものが多いと考えられています。ただし、ここで挙げるのはあくまで「そうした意味で使われることが多い」という傾向で、個別の地名に当てはまるかどうかは、資料と現地で確かめる必要があります。

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水と川に関係する言葉

川や水辺に関係するとされる言葉には、「川・河」のほか、「沢(さわ)」「瀬(せ)」「淵(ふち)」「津(つ)」「浦(うら)」「洲・州(す)」などがあります。「沢」は山あいの小さな流れ、「津」は船着き場や港、「浦」は海や湖の入り江を指すことが多いとされます。「洲」は川や海の中にできた砂地で、川の合流点や河口近くの地名に見られることがあります。

低い土地・高い土地を表す言葉

周りより低くくぼんだ土地には「窪・久保(くぼ)」、谷筋には「谷(たに・や・やつ・やと)」が使われることがあります。関東地方では、台地に刻まれた小さな谷を「谷戸(やと)」「谷津(やつ)」と呼ぶことがあり、地名にも多く残っています。反対に、少し高い土地や平らな高台には「台」「岡・丘」「原」などが使われます。崖や急な斜面には「崖」「岸」、岬や突き出た土地には「崎・埼(さき)」が使われることがあります。

暮らしや仕事に関係する言葉

地名には、土地での仕事や施設が名前になったものもあります。市が立った場所に「市場」、宿場があった場所に「宿」、田畑を新しく開いた場所に「新田」「開」、城や館があった場所に「城」「館(たて・たち)」「根小屋」などが付く例が知られています。街道沿いには、追分(道が分かれる所)のように、交通に関係する地名もあります。

町の中の「〇〇町」

城下町では、同じ職人や商人が集まって住んだ町に、その職業の名前が付けられることがよくありました。鍛冶町、紺屋町、大工町、呉服町などが代表的で、今も町名や通りの名前、バス停などに残っていることがあります。こうした地名は由来が比較的分かりやすく、城下町の歩き方とあわせて楽しめます。城そのものの見方は城の見どころの基本でも紹介しています。

地形に由来することが多い言葉の例(水辺・低地と高い土地の比較)
あくまで傾向。個別の地名は資料で確認します。

傾向は「入り口」であって「答え」ではない

こうした言葉の傾向は、由来を考える入り口としてとても役立ちます。ただし、同じ字でも別の意味で使われていることや、もとの音に偶然その字が当てられただけのこともあります。「窪が付くから昔は沼だった」と言い切るのではなく、「くぼんだ土地を表すことがある言葉なので、古い地図や地形で確かめてみよう」と考えると、調べ方の筋道が見えてきます。

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調べ始める前に集めておく情報

いきなり資料を探す前に、手元で整理しておくと調べものが進めやすくなります。地名は、同じ名前でも範囲や表記が時代によって違うため、どの地名を、どの範囲で調べるのかをはっきりさせておくことが大切です。

  1. 今の正式な表記と読み: 住所表示や駅名、バス停で使われている漢字と読みを確かめます。駅名と町名で読みが違うこともあります。
  2. 地名の範囲: 市町村名なのか、町名なのか、それより小さい集落や小字の名前なのかを区別します。
  3. 周りの地名: 隣接する地名や、川・山・坂・橋の名前もメモします。同じ言葉が周りに繰り返し出てくると、手がかりになります。
  4. 古い名前があるか: 合併前の村名や、住居表示の前の町名が分かれば書き出します。家の古い書類や、地元の神社・お寺の名前にも残っていることがあります。
  5. 今の地形: 川や谷、高台との位置関係を、地図で確かめておきます。等高線の読み方は地形図の等高線の読み方を参考にしてください。

調べたことの記録のしかた

調べものの記録は、「資料名」「著者や編者」「発行年」「ページ」「書かれていた内容」をセットで残します。同じ地名について複数の説が見つかったら、表にして並べると比べやすくなります。気になった説の出典をさらにたどると、元の資料が見つかることもあります。

地名辞典と市町村史の使い方

地名の由来を調べるとき、最初に開きたいのが地名辞典です。大きな図書館には、都道府県ごとに巻が分かれた大型の地名辞典がそろっていることが多く、市町村から小さな集落の名前まで、歴史や由来の説が出典つきでまとめられています。

地名辞典と市町村史を読み比べる手元
複数の資料を開き、地名の手がかりを探す

地名辞典で見るところ

地名辞典の項目には、多くの場合、次のような情報が載っています。

  • 読み方と、古い表記の例
  • その地名が古い文書に初めて出てくる時期や資料
  • 江戸時代の村の規模や、支配していた藩などの情報
  • 明治以降の合併や町名の変化
  • 由来についての説(複数ある場合も)

由来の説だけを読むのではなく、「いつ頃から記録に出てくるのか」「昔はどんな村だったのか」もあわせて読むと、地名が生まれた背景を考えやすくなります。地名辞典によって、記述の詳しさや重点が違うので、可能なら2種類以上を見比べると安心です。

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市町村史・郷土誌

市町村が編さんした市史・町史・村史には、地名の由来や、小さな集落の成り立ちが詳しく書かれていることがあります。本編のほかに「資料編」や「民俗編」があり、地名の一覧や、聞き取り調査の結果がまとめられている場合もあります。地区ごとの郷土誌や、地元の研究会が出した冊子も、地名辞典には載らない小さな地名を知る手がかりになります。

読むときの注意

市町村史や郷土誌は地元の事情に詳しい一方で、言い伝えを紹介している部分と、資料にもとづく考察の部分が混ざっていることがあります。「〜と伝えられている」「〜と考えられる」「〜という記録がある」など、書き方の違いに注目すると、どこまでが確かなことなのかを見分けやすくなります。

地名を資料でたどる順番(1. 辞典、2. 郷土史、3. 地図、4. 現地)
大きな資料から小さな資料へ。

古い地図で地名と地形を見比べる

地名の由来を考えるうえで、古い地図はとても頼りになります。今は住宅地になっている場所が、昔は田んぼや湿地、川の流れていた場所だったと分かると、地名の言葉と土地の姿が結びつくことがあります。

旧版地形図

国の機関が明治時代以降に作ってきた地形図には、古い版が保存されているものがあり、その一部は国土地理院のウェブサイトなどで閲覧できます。土地の使われ方(田・畑・桑畑・荒れ地など)が記号で描かれているので、今との違いがよく分かります。古い地形図の見方は記号の意味が今と違う部分もあるため、凡例(記号の説明)もあわせて確認してください。閲覧の方法や範囲は変わることがあるので、最新の情報は公式サイトで確認してください。

新旧の地図を重ねて見る

インターネットでは、明治以降の古い地形図と今の地図を並べたり重ねたりして見られるサービスも公開されています。同じ場所の土地の使われ方を年代ごとに比べると、川の流れの付け替えや、池や沼の埋め立て、新しい道路や鉄道の開通などが見えてきます。

絵図や古地図

江戸時代の村の絵図や、城下町の地図は、地名の古い表記を知るのに役立ちます。博物館や資料館、図書館の郷土資料室などで公開されていることがあり、デジタル化されて閲覧できるものもあります。絵図は測量にもとづく今の地図とは描き方が違い、方角や距離が正確でないこともあるので、目印になる寺社や川の位置から今の場所を推定します。

資料 分かること 探す場所
地名辞典 読み・古い表記・由来の説 図書館の参考図書コーナー
市町村史・郷土誌 集落の成り立ち・小字の一覧 図書館の郷土資料
旧版地形図 明治以降の土地の使われ方 国の公開サービス・図書館
村絵図・古地図 江戸時代の表記と位置 資料館・博物館・図書館
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  1. 秋の戸口に並ぶかぼちゃの明かりとかぶ、麦束
  2. 資料を手に落ち着いて話し合う二人
  3. ノートパソコンと資料、外付け記憶装置がある机
  4. 冬の木で越冬する卵のうやミノムシ、テントウムシ
  5. 青い折り鶴と三角に折った紙、無地の折り紙