木工の仕上げ入門|オイル・ワックス・ニスの違いと、ムラなく塗る下地づくり
ニス仕上げの手順
ニスは、膜を作って木を守る塗料なので、ムラなく均一な厚さに塗ることがきれいな仕上がりのこつです。ここでは刷毛で塗る場合の一般的な流れを紹介します。
基本の流れ
- ほこりの少ない場所を選ぶ: 塗った面にほこりが付くと、そのまま膜の中に残ります。作業の前に周りを掃除しておきます。
- ニスをよく混ぜる: つや消しのニスは、缶の底に成分が沈んでいることがあります。泡を立てないよう、静かに底からよく混ぜます。
- 薄く塗る: 刷毛にニスを含ませすぎないようにし、木目に沿って一方向に、薄く均一に塗ります。何度も往復させると、刷毛の跡や泡が残りやすくなります。
- 乾かす: 説明書に書かれた時間、ほこりが付かない場所で乾かします。
- 軽く研ぐ: 乾いた表面を、細かい番手の紙やすりで軽くなでるように研ぎ、ざらつきを取ります。研いだ粉はきれいに払います。
- 塗り重ねる: 同じ手順で、2〜3回ほど塗り重ねます。1回で厚く塗るより、薄く何回も重ねるほうが、きれいで丈夫な膜になります。
垂れと刷毛跡を防ぐ
縦の面や角では、ニスが垂れやすくなります。刷毛に含ませる量を少なめにし、塗ったあとに垂れていないか、少し時間をおいて確かめると安心です。垂れてしまった場合は、乾く前なら刷毛で軽くならし、乾いてしまったら研いで平らにしてから塗り重ねます。

よくある失敗と直し方
仕上げの作業では、ちょっとした手順の違いで、思ったような仕上がりにならないことがあります。主な失敗と、その直し方をまとめておきます。
ベタつく
オイルを塗ったあとにいつまでもベタつく場合は、拭き取りが足りず、表面に余分なオイルが残っていることがほとんどです。きれいな布で表面を拭き、風通しのよい場所で十分に乾かします。改善しない場合は、細かい紙やすりで表面を軽く研いでから、薄く塗り直します。寒い時期や湿気の多い時期は乾きが遅くなるので、乾燥時間を長めに取ってください。
ムラになる
色や濡れ色が場所によって違うムラは、下地の研ぎ方が場所によって違ったり、手の脂が残っていたりすることが原因になります。特に、木口は表面よりも塗料を吸い込みやすく、色が濃くなりがちです。塗る前に下地の状態をそろえ、木口には先に薄く塗っておくなどの工夫で和らげることができます。
表面がざらつく
塗ったあとに表面がざらざらする場合は、塗料の水分などで木の繊維が立ち上がったか、ほこりが付いたことが考えられます。乾いてから細かい番手で軽く研ぎ、粉を払って塗り重ねると、なめらかになります。
白く曇る
ニスが乾く途中で白く曇ることがあります。湿度が高いときや寒いときに起こりやすく、空気中の水分が影響していると考えられます。湿気の多い日は作業を避け、気温と湿度が落ち着いた日に塗るようにします。
安全に作業するために:換気と片付け
仕上げの作業で、特に気をつけたいのが安全です。塗料には、においや溶剤を含むものがあるので、作業中は窓を開けるなど換気をよくし、手袋を着けて作業してください。
オイルの付いた布は自然発火することがある
乾性油を使ったオイルが染み込んだ布や紙は、そのまま丸めて置いておくと、自然発火するおそれがあります。乾性油が空気中の酸素と反応して固まるときに熱を出し、丸めた布の中ではその熱がこもって、温度が上がり続けることがあるためです。

使い終わった布は、丸めて置いたり、そのままごみ袋に入れたりせず、水を入れた袋や容器にしっかり浸してから口を閉じるなどの方法で処分してください。処分の方法は、製品の説明書や、住んでいる自治体のごみの出し方の案内に従います。
乾性油を含むオイルが付いた布や紙、作業着は、丸めたまま放置すると自然発火するおそれがあります。作業を終えたら、すぐに水に浸すなど製品の説明書に沿って処分し、作業場所に置き忘れがないかを確かめてください。
塗料の保管と刷毛の手入れ
使い残した塗料は、ふたをしっかり閉め、子どもの手が届かない、直射日光の当たらない涼しい場所で保管します。刷毛は、水性の塗料なら水で、油性の塗料なら製品に合った薄め液で、塗料が固まる前に洗います。洗ったあとは毛先を整えて乾かしておくと、次も気持ちよく使えます。
長く使うための手入れ
仕上げが終わったあとも、木の道具は手入れを続けることで長く使えます。オイル仕上げのものは、乾いてかさついてきたら、汚れを落としてから薄くオイルを塗り重ねます。道具を手入れしながら長く使う考え方は、革靴の手入れの基本|長持ちさせる日々のケアと月に一度の磨き方にも通じるところがあります。また、金属の工具を長持ちさせるには、鉄がさびるしくみ|赤さびと黒さびの違い、塩や湿気で進む理由と防ぎ方で紹介しているさびの防ぎ方も参考になります。
まとめ
木工の仕上げに使う塗料は、木に染み込んで固まるオイル、表面に膜を作るニス、つやを足すワックスなど、木への付き方によって性質が大きく違います。手に触れる小物には風合いが残るオイル、水がかかるものには膜で守るニス、口に触れるものには食品用の表示がある塗料というように、使う場面から選ぶと迷いにくくなります。どの塗料を使う場合も、仕上がりを決めるのは下地づくりで、番手を1段ずつ上げながら木目に沿って研ぐことが大切です。
最初の一歩としては、作品と同じ木の端材を用意し、半分にオイル、残り半分には何も塗らない状態で、水滴を垂らして比べてみてください。違いを目で確かめてから本番に塗ると、塗料の量や拭き取りの加減もつかみやすくなります。作業を終えたら、オイルの付いた布をすぐに水に浸して片付けることも、最初の習慣にしておきましょう。
よくある質問
何も塗らずに木をそのまま使ってはいけないのですか?
そのままでも使えますが、何も塗っていない木は水や手の脂、汚れを吸い込みやすく、しみや黒ずみが残りやすくなります。乾燥と湿気をくり返すことで、反りや割れが出やすくなることもあります。木の風合いを生かしたい場合でも、薄くオイルを塗っておくと、汚れが付きにくくなり手入れも楽になります。
オイルを塗ったのにいつまでもベタベタします。どうすればよいですか?
多くの場合、塗ったあとの拭き取りが足りず、表面に余分なオイルが残っていることが原因です。きれいな布で、表面に残ったオイルをしっかり拭き取り、風通しのよい場所で十分に乾かしてみてください。それでもベタつく場合は、細かい紙やすりで表面を軽く研いでから、薄く塗り直す方法もあります。
食器やまな板にはどの仕上げを使えばよいですか?
口に触れるものには、食器や食品に触れる用途に使えると製品に表示されている塗料を選ぶのが基本です。塗料によっては、完全に乾いて硬くなるまでに時間がかかるものもあるので、説明書に書かれた期間をしっかり守ってください。まな板のように刃物で表面が削れるものは、塗膜を作る塗料より、塗り直しやすいオイルが向いていることが多いです。
水性ニスと油性ニスはどちらが初心者向きですか?
においが少なく、刷毛を水で洗えて扱いやすいことから、初めての方には水性のニスが選ばれることが多いです。油性のニスは、塗膜が丈夫でつやが出やすい一方、においが強く、刷毛の洗浄に専用の薄め液が必要です。作るものの用途や作業する場所に合わせて選んでください。
使っているうちに仕上げがはげたら塗り直せますか?
塗り直せます。オイル仕上げなら、汚れを落としてから同じオイルを薄く塗り重ねるだけで、比較的簡単に手入れできます。ニスの場合は、はがれかけた部分を紙やすりで研いでなだらかにしてから塗り直します。最初に使った塗料の種類を、メモなどで残しておくと手入れのときに迷いません。










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