四つ目綴じの和綴じ入門|紙選び・穴あけ・糸の通し方と失敗の直し方
四つ目綴じで初めて和綴じ本を作る人に向けて、袋綴じの仕組み、用途に合う寸法と紙の選び方、二つ折りと穴あけ、表裏を確認しながら進める糸の通し方を紹介します。小さな帳面の試作例、ゆるみや紙のずれの直し方、表紙の工夫と保管まで、道具を安全に扱う注意点とともに手順をまとめました。

紙を二つに折って重ね、背を糸で留める和綴じは、小さなメモ帳や詩集、旅の記録を自分で仕立てる方法です。表紙の柄と糸の色を選ぶ楽しさがありますが、初めてだと折り目の向きや針を通す面に迷いやすくなります。
四つ目綴じは、背に並べた四穴を使う基本的な綴じ方です。最初は薄い一冊を作り、紙をそろえる、穴を通す、糸のたるみを取るという作業を順に確かめると覚えやすくなります。この記事では、右側を背にする右綴じの練習帳を例に、準備から仕上げまでを説明します。寸法や枚数は試作の目安です。刃物や目打ちの扱いに不安がある場合は、製本講座などで直接教わってください。
袋綴じと四つ目綴じの仕組み
折り目は小口、開いた端は背へ
袋綴じは、一枚ずつ二つ折りにした紙を重ね、開いている端を背にそろえて綴じる仕立てです。折り目は、背と反対のページをめくる側に来ます。この側を「小口」と呼びます。本の上端が「天」、下端が「地」です。右綴じなら、表紙を上に置いたとき、右が背、左が小口になります。
洋式の中綴じ冊子では、重ねた紙の折り目を背として留めます。袋綴じは向きが違うため、その感覚で折り目に穴をあけないようにしてください。折った紙の内側は袋状になり、通常は外側の二面をページとして使います。袋の中を読むために、小口を切り開くものではありません。

糸が紙の束をどう留めるか
四つ目綴じでは、穴と穴の間に縦方向の糸を渡し、それぞれの穴から背へ糸を回します。一番上と下の穴では、さらに天と地にも糸を回します。表裏の縦の線、背を包む四本、天地を包む二本がそろうと、基本の形になります。
見えている糸だけを飾りとしてまねると、裏側の一部が抜けることがあります。作業中は、針が今どちらの面に出ているかと、次に埋める線の位置を確かめます。同じ穴へ戻す動きと、隣の穴へ進む動きを分けて考えると、経路を追いやすくなります。
糸で固定する部分は曲がりにくくなるため、和綴じ本は背の近くまで平らに開く用途には向きません。書く場所を広く取る、薄い紙と少ない枚数にするなど、開き方を考えた準備が必要です。見た目が同じ大きさのノートでも、使える範囲は製本方法によって変わります。
古い和本で糸が切れている場合は、この練習帳の直し方をそのまま当てはめないでください。元の形や材料を保つ必要があり、解体がかえって傷みにつながることもあります。東京都立図書館の和装本の修理についての説明も、原形を尊重する考え方を示しています。大切な資料は専門家に相談する範囲です。
用途と完成寸法を決める
最初は小さく薄い帳面にする
練習例として、完成寸法が縦15センチ、横10センチほどの帳面を考えます。本文用には縦15センチ、横20センチほどの紙を六枚用意し、それぞれ横幅が半分になるように折ります。これで折った本文紙が六枚重なり、外側に見える書き込み面は十二面になります。表紙は別に二枚用意します。
この寸法や枚数は、手元で動きを確かめるための一例です。手持ちの紙をそのまま半分に折っても構いません。小さすぎると穴の間で針を動かしにくくなり、厚すぎると穴あけと糸通しが難しくなるため、初回は余った薄い紙で扱いやすさを試します。
紙を何枚用意したかと、何ページ書けるかは区別します。一枚を折ると外側の二面を使いますが、袋の内側は通常のページとして数えません。印刷する場合は、表紙を含めるか、白紙の面を残すかでもページの見積もりが変わります。必要な面数を先に書き出しておくと、綴じた後の不足を防げます。
書き込む内容から余白を決める
短いメモ帳なら、背の近くに文字がなくても使えます。詩や文章を印刷する作品集では、行末や挿絵が綴じ穴に近すぎると読みづらくなります。穴の線まで余白を取るだけでなく、その内側にも、開いたときに自然に見える範囲を残します。
写真やチケットを後から貼る予定なら、その厚みも考えます。空白の帳面に多く貼り込むと、小口側だけが厚くなり、閉じにくくなることがあります。最初は薄い印刷物を少量にとどめ、厚いものを多く収めたい場合は、別の製本方法やアルバム用の仕立ても候補にします。

最初の一冊で、紙の質、表紙の厚み、糸の太さをすべて変えると、失敗の理由が分かりにくくなります。同じ紙と寸法で一冊作り、次に変える条件を一つに絞ると比較できます。試作も、寸法と気付いた点を残しておけば次の一冊の見本になります。
材料を買う前なら、手元の紙を六枚折り、端を仮に固定するだけでも厚みを試せます。鉛筆で綴じる線を描き、その内側からページをめくってみてください。書きたい位置まで手が届くか、表紙が突っ張らないかを見ます。ここで使いにくければ、糸や飾りを選ぶ前に、枚数か仕上がり寸法を調整できます。
紙・糸・道具をそろえる
本文と表紙の硬さを分ける
本文には、折った後も無理なくめくれる薄手の紙を選びます。コピー用紙は手順の練習に使えますが、枚数が増えると束が硬くなることがあります。和紙も種類によって厚みや毛羽立ちが違うので、「和紙ならどれでもよい」と決めず、端紙で折り具合と書き味を確かめます。

表紙は本文より少し張りがあり、折り曲げられる紙が扱いやすくなります。厚い板紙は、穴をあけにくいうえに開閉の負担も大きくなるため、最初の練習では避けます。表紙を一枚物にするか、薄い紙を折って使うかも選べます。ここでは、本文と同じ仕上がり寸法の一枚物を表裏に置く想定です。
| 材料・道具 | 選び方と役割 | 先に試すこと |
|---|---|---|
| 本文紙 | 一枚ずつ折れる薄手の紙 | 折りやすさ、筆記具のにじみ |
| 表紙紙 | 本文より少し張りのある紙 | めくったときの曲がり方 |
| 糸 | 製本用など、丈夫で極端に細くないもの | 穴を繰り返し通せるか |
| 針 | 用意した穴と糸に合う太さ | 針穴を含めて無理なく通るか |
| 目打ち・受け板 | 穴あけに使う道具と下敷き | 先端を受け止める厚さと安定 |
| クリップ・当て紙 | 紙の束をずらさず固定する | 紙を傷めず、針を通せる位置か |
針は、すでにあけた穴へ糸を通す役割です。穴を広げるために無理に押し込む使い方は避けます。先の丸い針でも、針穴の部分が太いと通らないことがあるので、先端の太さだけで選ばないようにします。糸も、見た目の太さと針を通した状態の厚みを合わせて確かめます。
糸の長さと作業場所を準備する
糸の長さは、本の縦の長さの三〜四倍程度に、糸端を結ぶ余裕を含めて考えます。練習例のような小さな帳面なら、まず四倍程度で経路を確かめられますが、背から穴までの距離、束の厚み、始め方で必要量は変わります。切る前に型紙の上へ糸を置いて、おおよその経路を見積もると安心です。
定規、鉛筆、はさみ、折り目を整えるへらも用意します。はさみは糸端を切る用途にし、厚い紙の束を仕上げるために無理に使わないでください。本文の寸法をそろえる必要がある場合は、重ねる前に切っておくか、裁断を扱う店や工房に相談します。
机は十分に明るくし、糸を広げる場所と、針を置く場所を分けます。道具を探しながら針を持ち歩いたり、布や紙の下へ紛れ込ませたりしないようにします。作業を中断するときは針を針山などに戻し、小さな子どもやペットが触れない状態にしてください。










