ミョウバンの結晶の育て方|飽和水溶液と種結晶のしくみ、大きな八面体を作るコツ
液を入れ替えて、さらに育てる
液が「育てる力」を失う理由
種結晶が育つと、液の中の余分なミョウバンが少しずつ結晶に移っていきます。液が室温まで冷えて、余分なミョウバンが結晶に移りきると、液はその温度での飽和の状態に落ち着き、それ以上結晶は育たなくなります。
結晶をさらに大きく育てるには、液を作り直して、また過飽和の状態を作ります。これを繰り返すことで、結晶は少しずつ大きくなっていきます。
液の入れ替えの手順
- 結晶を糸ごと液から取り出し、乾いた紙の上にそっと置きます。
- 容器の底や壁にできた小さな結晶を取り除きます。
- 古い液を温め直し、ミョウバンを足して、再び飽和に近い状態にします。
- 溶け残りがあればこして取り除きます。
- 液を少し冷まし、室温よりやや高い程度になってから、結晶を再び入れます。
手順3で、古い液を使い回すと、液の中に溶けているミョウバンをむだにせずに済みます。容器を洗うときは、底や壁の結晶がきれいに取れているかを確かめます。小さな結晶が残っていると、次の回でもそこから新しい結晶ができてしまいます。
結晶が大きくなったら
結晶が大きくなると、液に入れたときに一時的に液の温度が下がり、結晶の表面が少し溶けることがあります。また、大きな結晶は重くなるため、糸が外れたり切れたりすることもあります。結晶の大きさに合わせて、液の量を増やしたり、糸を太めのものに替えたりします。
| 日数の目安 | 結晶の様子 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 1〜2日目 | 種結晶が少し大きくなる | 動かさずに観察 |
| 3〜4日目 | 成長がゆるやかになる | 液を作り直して入れ替える |
| 5日目以降 | 角がはっきりしてくる | 液の入れ替えを繰り返す |
この表の日数は、あくまで一つの目安です。部屋の温度や液の濃さ、種結晶の大きさによって大きく変わります。
形が崩れたり、育たなかったりするときの直し方
底に小さな結晶がたくさんできる
液を急に冷ました、溶け残りやほこりが残っていた、容器に傷や汚れがあった、といったことが原因として考えられます。断熱の箱でゆっくり冷ます、液をこす、ふたをしてほこりを防ぐ、容器をきれいに洗う、といった対策で減らせます。
種結晶が溶けてなくなる
液が熱すぎるうちに種結晶を入れたか、液の濃さが足りなかったことが考えられます。液を冷ましてから入れる、ミョウバンを溶かす量を見直す、という二点を確かめます。
結晶の形がゆがむ
結晶が容器の底や壁に触れていた、液が揺れた、種結晶の形がもともとゆがんでいた、などの原因が考えられます。つるす位置を液の真ん中に直す、静かな場所に置く、形のよい種結晶を選び直す、といった対策をします。
結晶の表面が白く濁る
液の中にミョウバン以外のものが混ざっていたか、急に冷やして表面に細かい結晶ができたことが考えられます。液を新しく作り直し、ゆっくり冷ますことで改善することがあります。

一歩進んだ観察と、条件を変える試し方
冷まし方だけを変えて比べる
同じ濃さの液を二つ用意し、一つは断熱の箱に入れ、もう一つは箱に入れずに室内に置いて、結晶の育ち方を比べてみます。変える条件を冷まし方だけにすると、ゆっくり冷ますことの効果が、自分の目で確かめられます。
箱に入れなかった方は、底に小さな結晶がたくさんでき、種結晶の育ち方が小さくなることが多いはずです。どのくらい違うかは、部屋の温度や季節によっても変わるため、記録を取りながら何度か試すと、自分の家の条件に合ったやり方が見えてきます。
結晶の面と成長の跡を観察する
育った結晶を光にかざすと、八面体の平らな面と、面と面が交わる稜(りょう)が見えます。理想的な八面体は、同じ形の三角形の面が八つ集まった形ですが、実際の結晶では、一部の面が大きく育ったり、角が平らに欠けたような小さな面が現れたりします。
これは、結晶がつるされていた向きや、液の流れ方によって、面ごとに育ち方が違ったためです。ルーペで面をよく見ると、層を重ねたような細かな段や模様が見えることもあります。毎日の写真を並べると、どの面がどのように育ったかを追うことができます。
糸に直接つけるか、種結晶から育てるか
種結晶を使わず、糸を液に垂らしておくだけで、糸に結晶がつくこともあります。手軽ですが、糸のあちこちに結晶ができ、形のそろった一つの結晶にはなりにくい方法です。いくつもの結晶が集まった形を楽しみたいときには向いています。
一つの八面体をきれいに育てたいときは、この記事で紹介したように、形のよい種結晶を選んで結ぶ方法が向いています。目的によって方法を選ぶとよいでしょう。
色をつけたいとき
液に食用の色素を少し加えて、色のついた結晶を作る方法も知られています。ただし、色素が結晶の中にきれいに取り込まれず、表面だけが色づいたり、形が乱れたりすることもあります。まずは色をつけない結晶で手順に慣れてから試すと、違いが分かりやすくなります。
ほかの種類のミョウバンや薬品を使って色のついた結晶を作る方法もありますが、薬品によっては扱いに注意が必要なものがあります。家庭では、この記事で扱った身近なミョウバンの範囲で楽しむのが安心です。
安全に楽しむための注意と、結晶の保管
作業の安全
結晶づくりでは、お湯を扱います。やけどに気をつけ、子どもが作業する場合は、必ず大人がそばについてください。熱い液を移し替えるときは、容器が倒れないよう、平らで安定した場所で作業します。
使う容器や道具は、台所で食事に使うものとは分けておきます。食品添加物として売られているミョウバンを使っていても、実験に使った液や結晶、容器は食品として扱いません。結晶をなめたり、液を口に入れたりしないようにしてください。
結晶づくりに使った液を捨てるときは、自治体のルールを確かめてください。少量であれば、多めの水で薄めて流すよう案内されていることが多いですが、地域によって扱いが違う場合があります。
結晶の保管
ミョウバンの結晶には水が含まれていますが、乾いた空気の中では、この水が少しずつ抜けていくことがあります。水が抜けると、結晶の表面が白く粉っぽくなります。これを遅らせるには、密閉できる容器に入れて保管します。
結晶は、強い衝撃で欠けたり割れたりすることがあります。保管するときは、やわらかい布や綿で包み、ほかのものとぶつからないようにします。また、水に溶けやすいため、湿気の多い場所や、水がかかる場所には置かないようにします。
観察を記録に残す
結晶づくりは、条件を変えて試すと、さらに面白くなります。冷まし方、液の濃さ、種結晶の大きさなどの条件を一つだけ変えて、結果を比べてみます。記録には、日付、液を作ったときの温度、ミョウバンの量、結晶の大きさ、気づいたことを書いておくと、次の回に生かせます。
結晶の形は、写真で記録しておくと便利です。白い紙や黒い紙を背景にして、光が横から当たるように撮ると、結晶の面や角がはっきり写ります。水と油が分かれるしくみなど、身近な現象を観察する方法は せっけんが汚れを落とすしくみ でも紹介しています。
まとめ
ミョウバンの結晶づくりは、温度で溶ける量が大きく変わる性質を使った観察です。温かい水にミョウバンを溶かして飽和に近い液を作り、少し冷ましてから形のよい種結晶をつるし、断熱の箱でゆっくり冷ます。この流れを、液を作り直しながら繰り返すことで、結晶は少しずつ大きな八面体に育っていきます。
最初の一歩として、まず浅い皿に液を作って一晩置き、底にできた結晶の中から、八面体の形がはっきりした一粒を探してみてください。その一粒をピンセットで取り出せたら、次は細い糸で結んで液の真ん中につるす段階に進めます。
よくある質問
焼きミョウバンでも結晶は作れますか?
作れます。焼きミョウバンは結晶に含まれる水を除いたもので、水に溶かすと、液の中では生のミョウバンと同じように扱えます。ただし溶けるのに時間がかかることがあるため、よく混ぜて溶け残りがないかを確かめてください。
結晶が育つまでに何日くらいかかりますか?
小さな種結晶は一晩から数日でできます。そこから大きく育てるには、液を入れ替えながら一週間以上かかることも珍しくありません。部屋の温度や液の濃さによって変わるため、毎日同じ時刻に様子を見て記録すると、変化がつかみやすくなります。
容器の底に小さな結晶がたくさんできてしまいます。
液が急に冷えたり、ほこりや溶け残りが核になったりすると、底にたくさんの小さな結晶ができます。容器を断熱してゆっくり冷ます、液をこして溶け残りを除く、ふたをしてほこりを防ぐと減らせます。できた小さな結晶は、液を入れ替えるときに取り除きます。
できた結晶が白く粉っぽくなりました。
乾いた空気の中では、結晶に含まれる水が少しずつ抜けて、表面が白くなることがあります。密閉できる容器に入れて保管すると、変化を遅らせられます。観察を続けたい場合は、写真で記録を残しておくと安心です。
結晶は食べたりなめたりしても大丈夫ですか?
観察用の結晶は、なめたり口に入れたりしないでください。食品添加物として売られているミョウバンを使っても、実験に使った容器や液、結晶は食品として扱いません。小さな子どもが誤って口に入れないよう、置き場所にも気をつけてください。










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