ヨーロッパの教会建築の見方|ロマネスクとゴシックの違い、身廊・翼廊など平面の読み方
ヨーロッパの教会は、アーチの形や窓の大きさ、天井のつくりで時代の様式を見分けられます。ロマネスクとゴシックを中心に、ビザンティン・ルネサンス・バロックの特徴、身廊・翼廊・後陣など平面図の読み方、ファサードやステンドグラスの見どころ、見学のマナーまで、旅先の教会を味わうための基本をまとめました。

ヨーロッパを旅すると、どの町にも大小の教会があり、気がつけば何軒も見学していた、ということがよくあります。はじめは「大きくて立派だった」という印象だけが残りがちですが、建物の形にはそれぞれの時代の技術と考え方が表れていて、見るべき場所を知っていると、一つ一つの教会の違いがはっきりと見えてきます。
ここでは、中世の代表的な様式であるロマネスクとゴシックを中心に、様式を見分けるための手がかり、教会の平面図の読み方、外観と内部の見どころ、見学するときのマナーを紹介します。専門的な用語も出てきますが、どれも現地で実物を前にすると理解しやすいものばかりです。
教会建築を見るための三つの手がかり
教会の様式を見分けるときは、細かな装飾から入るよりも、建物の骨組みに関わる大きな特徴から見るほうが確実です。最初に注目したいのは、アーチの形、壁と窓の関係、天井のつくりの三つです。
アーチは、石を積んで開口部をつくるための形です。半円形のアーチは古代ローマから受け継がれた形で、上がとがった尖頭アーチは、中世の半ばから広く使われるようになりました。窓や入口、柱と柱のあいだのアーチの形を見るだけで、おおよその時代の見当がつきます。
壁と窓の関係は、建物の重さをどこで支えているかを教えてくれます。分厚い壁で天井の重さを受け止めている建物では、壁に大きな穴をあけられないため、窓が小さくなります。反対に、重さを柱や外側の支えに逃がす工夫ができると、壁を薄くして大きな窓をあけられるようになります。
天井は、見上げたときに最も印象が変わる部分です。トンネルのように連続した丸天井か、細い骨組みが交差する天井か、木の梁がむき出しの平らな天井か。天井の形は、建物全体の構造と深く結びついています。

もう一つ覚えておきたいのは、大きな教会ほど、いくつもの様式が混ざっていることが多いという点です。完成までに長い年月がかかったり、一部が建て直されたりしているため、入口はロマネスク、天井はゴシック、祭壇まわりはバロック、ということも珍しくありません。様式の違いを探しながら、どの部分がいつごろの姿なのかを想像するのも、教会見学の楽しみです。
ロマネスク|厚い壁と半円アーチの重厚な空間
ロマネスクは、おおよそ10世紀の終わりから12世紀ごろにかけて、ヨーロッパ各地で広まった様式です。「ローマ風」という意味の名前のとおり、古代ローマの建築で使われた半円アーチを受け継いでいます。
この時代の教会は、多くの人が巡礼に訪れるようになったことや、火事に強い建物が求められたことから、木の屋根ではなく石の天井でおおわれるようになりました。重い石の天井を支えるために、壁はとても厚くつくられ、窓は小さく、数も限られています。そのため、内部は薄暗く、静かで、外の世界から切り離されたような落ち着いた雰囲気があります。
ロマネスクの見どころ
天井には、半円アーチを奥へ連続させたトンネル状の天井(筒型ヴォールト)や、二つの筒型ヴォールトを直角に交差させた天井(交差ヴォールト)が使われます。柱は太く、どっしりとしています。
入口の上の半円形の部分は、タンパン(ティンパヌム)と呼ばれ、ここに「最後の審判」など聖書の場面が彫刻で表されていることがあります。文字を読めない人が多かった時代に、絵や彫刻で教えを伝える役割を担っていました。柱の頭の部分(柱頭)にも、植物や動物、聖書の物語などが彫られていて、一つ一つ違う表情を見比べるのが楽しい場所です。
外から見ると、壁の面が大きく、小さな窓が並び、全体に低く横に広がった印象を受けます。南フランスやスペイン北部、イタリアなどの、巡礼路沿いの町や修道院に、ロマネスクの教会が多く残っています。











