スポンサーリンク
歴史・文化

ヨーロッパの教会建築の見方|ロマネスクとゴシックの違い、身廊・翼廊など平面の読み方

ゴシック|尖頭アーチと光の大聖堂

ゴシックは、12世紀の半ばにフランスのパリ周辺で生まれ、その後ヨーロッパ全体に広がった様式です。ロマネスクの重厚な空間とは対照的に、天に向かって伸びる高さと、ステンドグラスから差し込む色とりどりの光が特徴です。

スポンサーリンク
尖頭アーチと色ガラスの光が差す聖堂
高い天井と窓から差し込む柔らかな光

ゴシックの教会が高く明るい空間をつくれたのは、三つの技術を組み合わせたためです。一つ目は尖頭アーチ、二つ目はリブ・ヴォールト、三つ目はフライング・バットレス(飛び梁)です。

尖頭アーチ

尖頭アーチは、上がとがったアーチです。半円アーチは幅によって高さが決まってしまいますが、尖頭アーチは角度を変えることで、同じ幅でも高さを自由に調整できます。また、重さが真下に近い方向へ流れやすく、横に押し広げる力が半円アーチより小さくなります。これにより、より高い天井をつくれるようになりました。

リブ・ヴォールト

リブ・ヴォールトは、天井の角に沿って細い石の骨組み(リブ)を渡し、そのあいだを薄い石の面で埋めた天井です。天井の重さはリブを伝って柱に集まるため、壁全体で重さを受け止める必要がなくなります。見上げると、細い線が交差して、植物の葉脈や網の目のような模様を描いています。

フライング・バットレス

高い天井は、外側に向かって壁を押し広げる力を生みます。この力を、建物の外に立てた控え壁へ、空中を渡るアーチで伝えるのがフライング・バットレスです。外から大聖堂を眺めると、建物の側面に、斜めにかかる石の腕のようなものがいくつも並んでいるのが見えます。これが、内部の壁を薄くし、大きな窓をあけることを可能にした仕組みです。

ゴシックが高く明るくなった理由(1. 尖頭アーチ、2. リブ・ヴォールト、3. 飛び梁、4. 大きな窓)
三つの技術がつながって大きな窓が生まれた。

ゴシックの見どころ

ゴシックの教会に入ったら、まず天井の高さを感じてから、窓に目を移してみてください。壁の大部分がステンドグラスになっていて、聖書の物語や聖人の生涯が、色ガラスの絵で表されています。西側の正面や翼廊の端には、円形のバラ窓が置かれることが多く、放射状に広がる模様が見どころです。

内部の壁を横から見ると、下から順に、大きなアーチが並ぶ層、小さなアーチが並ぶ細い通路のような層(トリフォリウム)、そして高い位置の窓の層(高窓、クリアストーリー)という三段構成になっていることがあります。時代が進むにつれて、高窓の部分がどんどん大きくなり、壁というより光の面に近づいていきました。

外観では、正面の左右に高い塔が立ち、入口のまわりに何重もの彫刻が施されていることが多くあります。屋根の縁には、雨水を吐き出す樋口として、怪物などの姿をしたガーゴイルが取り付けられていることもあります。

見る場所 ロマネスク ゴシック
アーチ 半円アーチ 尖頭アーチ
壁と窓 厚い壁、小さな窓 薄い壁、大きなステンドグラス
天井 筒型・交差ヴォールト リブ・ヴォールト
外側の支え 厚い壁そのもの フライング・バットレス
内部の印象 薄暗く、重厚で静か 高く、明るく、色彩豊か
全体の形 低く横に広がる 縦に高く伸びる
スポンサーリンク

教会の平面図を読む

教会の建物は、上から見るとどんな形になっているかを知ると、内部を歩くときに今どこにいるのかがわかりやすくなります。多くの教会の入口には平面図の案内が掲示されているので、用語を知っておくと読みやすくなります。

ラテン十字形の平面

西ヨーロッパの多くの教会は、上から見ると、縦に長い十字の形をしています。これをラテン十字形と呼びます。古代ローマの公共建築であるバシリカの形をもとに発展したため、こうした細長い教会をバシリカ式と呼ぶこともあります。

入口から奥へまっすぐ伸びる中央の広い通路が身廊(しんろう)です。その左右に並行して伸びる、やや狭く天井の低い部分が側廊(そくろう)で、身廊と側廊は柱の列で区切られています。十字の横棒にあたる部分は翼廊(よくろう、袖廊とも)と呼ばれ、身廊と翼廊が交わる場所が交差部です。交差部の上には、塔やドームが建てられていることがあります。

交差部より奥は、祭壇が置かれた神聖な場所で、内陣(ないじん)と呼ばれます。いちばん奥の半円形にふくらんだ部分は後陣(こうじん、アプス)です。大きな教会では、後陣のまわりを回廊が巡り、その外側に小さな礼拝堂がいくつも並んでいることがあります。

入口から祭壇までの順路(1. 正面入口、2. 身廊、3. 交差部、4. 内陣・後陣)
平面図はこの順に読むと迷いにくい。

東を向く教会

古くからの教会の多くは、祭壇のある後陣が東を向き、正面入口が西側にくるように建てられています。日の昇る方角に向かって祈るという考え方によるもので、そのため正面の外観を「西正面」と呼ぶこともあります。ただし、町の地形や道の向きによって、この原則に従っていない教会もあります。

この向きを知っておくと、時間帯によって光の入り方が変わることも想像できます。朝は後陣の窓から、夕方は西正面のバラ窓から光が差し込みます。ステンドグラスを見るなら、その窓に日が当たる時間帯を選ぶと、色がいっそう鮮やかに見えます。

ギリシア十字形と集中式

東ヨーロッパの正教会などでは、縦横の長さがほぼ同じギリシア十字形や、円形・多角形の平面の教会も多く見られます。こうした建物は、中心にある大きなドームの下に空間がまとまる集中式と呼ばれ、ラテン十字形のように奥へ奥へと進む感覚ではなく、中心に立って頭上を見上げる空間になっています。

次のページへビザンティン・ルネサンス・バロックの特徴
スポンサーリンク
  1. 秋の戸口に並ぶかぼちゃの明かりとかぶ、麦束
  2. 資料を手に落ち着いて話し合う二人
  3. ノートパソコンと資料、外付け記憶装置がある机
  4. 冬の木で越冬する卵のうやミノムシ、テントウムシ
  5. 青い折り鶴と三角に折った紙、無地の折り紙