災害時の家族の連絡方法の決め方|災害用伝言ダイヤルの使い方、集合場所、遠方の中継役、連絡カードまで
子どもや支えが必要な家族との約束
家族の中に、子どもや高齢の人、体の不自由な人がいる場合は、ほかの家族とは別に決めておきたいことがあります。
子どもが学校や園にいるとき
子どもが学校や園にいる時間に災害が起きた場合、多くの学校では、子どもを保護者に直接引き渡す決まりを設けています。大きな災害のときは、迎えが来るまで学校で子どもを預かるところもあります。引き渡しの方法や、迎えに来られる人の登録などは学校ごとに違うので、学校からの案内を確認し、家族で共有しておきます。
子ども自身には、次のことを約束しておくと安心です。
- 学校や園にいるときは、先生の指示に従い、一人で勝手に帰らない
- 登下校の途中なら、近くの安全な場所に身を寄せ、無理に家へ向かわない
- 家に一人でいるときは、決めておいた集合場所や、近所の頼れる家を思い出す
公衆電話の使い方を教えておく
携帯電話を持っていない子どもにとって、公衆電話は大切な連絡手段です。災害のときの公衆電話は、通話の制限を受けにくい扱いになっているとされ、無料で使えるようになることもあります。ただ、ふだん公衆電話を使う機会がほとんどない子どもは、かけ方を知らないことがよくあります。
- 受話器を取り、発信音を確かめます。
- 硬貨かテレホンカードを入れます(災害時に無料になっている場合は、そのまま番号を押せることもあります)。
- 相手の番号を押します。
- 終わったら受話器を戻し、硬貨やカードを取り出します。
自宅や学校の近く、駅など、公衆電話がどこにあるかを一緒に歩いて確かめておくと、いざというときに迷いません。連絡カードに、家族の電話番号と伝言ダイヤルで使う番号を書いて持たせておきます。
高齢の家族や支えが必要な家族
離れて暮らす高齢の親など、自分で連絡を取るのが難しい家族がいる場合は、近所の人や地域の見守りの仕組みとつながっておくことも大切です。自治体によっては、災害のときに支えが必要な人を事前に登録しておく制度があります。制度の有無や内容は自治体によって違うので、住んでいる市区町村に問い合わせてください。
遠方の親戚を中継役にする
大きな災害のときに有効なのが、被災していない遠方の親戚や知人に、家族の連絡のまとめ役になってもらう方法です。
なぜ遠方の人が役に立つのか
災害が起きた地域の中どうしでは、通信が混み合って連絡が取りにくくなります。一方、被災していない地域へは、比べてつながりやすい場合があります。そこで、家族それぞれが遠方の中継役に連絡を入れ、中継役が全員の状況をまとめて伝える、という形にすると、家族が直接連絡し合えなくても互いの無事を知ることができます。

中継役にお願いしておくこと
中継役は、ふだんから連絡を取り合っている、信頼できる人にお願いします。お願いするときは、次のことを伝えておきます。
- 家族全員の名前と、それぞれの携帯電話の番号
- 家族で決めた集合場所と、伝言ダイヤルで使う番号
- 災害のときに、家族から連絡が入ったら情報をまとめてほしいこと
- 連絡が来なくても、すぐに現地へ向かわないでほしいこと
最後の点は意外に大切です。心配のあまり被災地へ向かうと、交通の混乱に巻き込まれたり、二次災害の危険にさらされたりすることがあります。中継役には、離れた場所で情報をまとめる役割に徹してもらう方が、結果として家族の助けになります。
スマホが使えないときの備えと連絡カード
連絡手段の多くはスマートフォンに頼っています。スマートフォンが使えなくなったときのことも考えておきます。
電話番号を覚えていない問題
スマートフォンに連絡先を登録していると、家族の電話番号を覚えていないことがよくあります。電池が切れたり、スマートフォンを落としたりすると、公衆電話や人の電話を借りても、かける番号が分かりません。家族の番号は紙にも書いて持ち歩くことが基本です。
電池を長持ちさせる
災害のときは、停電で充電できないことがあります。モバイルバッテリーを持ち歩く、画面の明るさを下げる、使わない機能を切る、といった工夫で、電池をできるだけ長くもたせます。ふだんの電池の扱い方は、スマホのバッテリーを長持ちさせる使い方の記事も参考になります。
情報を得る手段も別に持つ
連絡とは別に、災害の情報を得る手段も大切です。スマートフォンが使えないときでも、乾電池や手回しで動くラジオがあれば、地域の状況や避難の情報を知ることができます。ラジオの選び方と聞き方は、防災ラジオの選び方と聞き方の記事で詳しく紹介しています。
連絡カードにまとめる
決めたことは、家族それぞれが持ち歩ける「連絡カード」にまとめておきます。財布やかばん、子どものランドセルなどに入れておけば、スマートフォンが使えなくても困りません。

作るときのこつ
- 名刺くらいの大きさの紙に書き、水に濡れないように小さな袋に入れます。
- 子ども用は、ふりがなを振り、集合場所は子どもが分かる言葉で書きます。
- 持病や飲んでいる薬、アレルギーなど、助けてもらうときに必要な情報を書いておくと役に立ちます。
個人情報の扱いに気をつける
連絡カードには、家族の名前や電話番号など、大切な個人情報が書かれています。落としたときのことを考え、住所の細かい部分などは書きすぎないようにする、家族以外の人に見せないようにする、といった配慮も必要です。何を書くかは、便利さと安全のバランスで家族ごとに決めます。
家族で練習し、見直す
決めたことは、一度話し合っただけでは忘れてしまいます。ときどき練習し、見直すことで、いざというときに使えるようになります。
練習の方法
- 伝言ダイヤルの体験利用ができる日に、家族それぞれが伝言を入れ、互いに聞いてみる
- 休日に、家から第一・第二の集合場所まで実際に歩いてみる
- 子どもと一緒に、近くの公衆電話を探し、かけ方を確かめる
- 中継役に、練習として連絡を入れてみる
実際に歩いてみると、「この道はブロック塀が続いていて危ない」「夜は暗くて分かりにくい」といった、地図だけでは分からないことに気づきます。
見直すタイミング
家族の状況が変われば、決めたことも見直す必要があります。子どもの進学や転校、家族の転勤や引っ越し、携帯電話の番号の変更、中継役をお願いしている人の状況の変化などがあったときは、連絡カードも書き直します。そうしたことがなくても、年に一度、たとえば防災の日などに家族で見直す習慣をつけておくと安心です。
まとめ
大きな災害の直後は、通話の集中や設備の被害で、電話がつながりにくくなります。それは家族の安否とは関係なく起こることなので、つながらないときにどうするかを、前もって決めておくことが大切です。連絡手段の順番、伝言ダイヤルで使う番号、第一・第二の集合場所、遠方の中継役、子どもとの約束を決め、連絡カードにまとめて家族それぞれが持っておきます。
まずは次の食事のときに、家族で「伝言ダイヤルでどの番号を使うか」だけを決めてみてください。そして、次の1日か15日の体験利用ができる日に、その番号で実際に伝言を一つ入れ、家族に聞いてもらいましょう。一度試しておくだけで、災害のときの落ち着きが大きく変わります。
よくある質問
災害のときに電話がつながりにくくなるのはなぜですか?
安否を確かめようとする人の電話が一度に集中し、回線があふれないように通信会社が通話を制限することがあるためです。基地局の停電や設備の被害で、地域によっては通信そのものが止まることもあります。音声の通話よりも、文字のメッセージの方が届きやすい場合があります。
災害用伝言ダイヤルはいつでも使えますか?
大きな災害が起きたときに提供が始まるほか、毎月1日と15日、正月三が日、防災週間などに体験利用ができる日が設けられています。体験できる日や使える条件は変わることがあるので、最新の情報は提供している通信会社の公式サイトで確認してください。
伝言ダイヤルでは、誰の電話番号を使えばよいですか?
伝言は電話番号ごとに保存されるので、家族で「どの番号に伝言を入れるか」を決めておくことが大切です。固定電話のある家なら自宅の番号、ない家なら家族の代表の携帯電話の番号などを一つに決め、全員が覚えるか、連絡カードに書いておきます。
集合場所は避難所にすればよいですか?
避難所は災害の種類によって使える場所が違い、とても混み合うため、家族を探すのが難しいことがあります。避難所とは別に、家の近くで目印になる場所を第一の集合場所、少し離れた安全な場所を第二の集合場所として決めておくと、合流しやすくなります。
子どもには何を教えておけばよいですか?
学校や園にいるときは先生の指示に従い、勝手に一人で帰らないことを、まず約束しておきます。そのうえで、連絡カードの場所、公衆電話のかけ方、集合場所を一緒に確かめておくと安心です。学校ごとの引き渡しの決まりは、学校からの案内を確認してください。










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