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自然・サイエンス

霜と霜柱のしくみ|放射冷却で霜が降りる夜の条件、霧氷・雨氷との違いと観察のコツ

霜の結晶の形を観察する

霜は、近くで見ると小さな氷の結晶が集まってできています。結晶の形は、その場の温度や水蒸気の量によって変わり、針のように細いもの、板のように平たいもの、羽根のように枝分かれしたものなど、さまざまです。

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手袋をした手で霜のついた葉をルーペで観察する様子
葉の縁に育つ霜をルーペで観察

結晶の形が変わる理由

雪の結晶が、気温や湿り気によって六角形の板になったり、枝の伸びた樹枝状になったりするのと同じように、霜の結晶も、育つときの条件で形が変わります。水蒸気がたっぷりある条件では結晶が速く伸び、枝分かれした羽毛のような形になりやすく、水蒸気が少なければ、小さく素朴な形にとどまることが多いとされます。

また、結晶は物の表面の小さな傷や凹凸、ほこりなどを足がかりにして育ち始めます。同じ車の屋根でも、汚れた部分とそうでない部分で霜のつき方が違うのは、このためです。

観察に向く場所と時間

霜の結晶を観察するなら、次のような場所が向いています。

  • 黒っぽい物の表面: 黒い車の屋根、黒い布、濃い色の板など。白い結晶が見やすくなります。
  • 落ち葉や草の葉のふち: 葉のふちに沿って、細い結晶が並ぶことがあります。
  • 柵や手すりの上面: 平らな面に、羽根のような結晶が広がることがあります。

時間は、日の出前から日が差し始める頃までが狙い目です。日が当たると、霜はあっという間に溶けたり、水蒸気に戻ったりして消えてしまいます。

霜の結晶を観察する手順(1. 前夜、2. 日の出前、3. ルーペ、4. 記録)
日が差す前に、静かに近づきます。

息をかけない工夫

霜の結晶は、人の息や手の温かさですぐに溶けてしまいます。観察するときは、ルーペを使って少し離れたところから見る、マスクやマフラーで口元を覆う、手袋をするなどの工夫をすると、結晶の形を崩さずに見られます。黒い布や板を前の晩から外に出しておき、朝に霜がついたものを観察する方法もあります。

霜柱は霜とは別のしくみ

霜柱は、土の中にある水が地表近くで凍り、氷の柱となって土を持ち上げたものです。空気中の水蒸気からできる霜とは、材料もでき方も違います。

霜柱が伸びるしくみ

霜柱ができるまでの流れは、次のとおりです。

  1. 夜の間に地面が冷え、地表付近の土の中の水が凍り始めます。
  2. 凍った部分のすぐ下の、まだ凍っていない土から、水が吸い上げられます。
  3. 吸い上げられた水が、凍った部分の下側で次々に凍り、氷の柱が下から伸びていきます。
  4. 伸びた氷の柱が、上にある土を持ち上げます。

ポイントは、霜柱は上へ伸びているように見えて、実は下側に新しい氷が付け足されて育っていることです。土の粒と粒のすき間が細い管のような役目をして、水を上へ運びます。この、細いすき間を水が伝わって上がる現象を「毛細管現象」と呼びます。

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霜柱ができやすい土、できにくい土

霜柱ができやすいのは、粒が細かく、水を十分に含んでいる土です。粒が細かいほど、すき間が細い管として働き、水を吸い上げる力が強くなります。関東地方に広がる、火山灰が積もってできた赤土(関東ローム)は、霜柱がよくできる土として知られています。

一方、粒の粗い砂地では、すき間が大きすぎて水を吸い上げる力が弱く、霜柱はあまり育ちません。乾いた土や、舗装された地面、落ち葉や草で覆われた土の上にもできにくくなります。地層や土の粒の違いに興味があれば、地層の見方入門もあわせて読むと、足元の土の見え方が変わります。

霜柱が植物を傷める理由

霜柱は見て楽しいものですが、畑や庭では植物を傷める原因になります。霜柱が土を持ち上げると、植物の根も一緒に持ち上げられ、根が切れたり、地上に浮き上がったりします。日中に霜柱が溶けると、浮いた土が崩れて根がむき出しになり、乾燥や寒さで弱ってしまいます。

麦の栽培で、冬に麦の芽を踏む「麦踏み」という作業があるのは、霜柱で浮いた根を土に落ち着かせる意味もあるといわれます。

霜解けの道に気をつける

霜柱ができた朝は、日が高くなると氷が溶け、持ち上げられていた土が水を含んでぬかるみます。これを「霜解け」と呼び、霜解けの土の道は、靴が沈んだり滑ったりしやすくなります。朝は固く凍っていた道でも、昼前には様子が変わるので、公園の土の広場や畑のあぜ道を歩くときは、汚れてもよい靴を選ぶと安心です。

霜柱が立った土は、踏むと音がして楽しいものですが、花壇や芝生の上を踏むと、浮いた根をさらに傷めることになります。観察するなら、霜柱ができてもかまわない空き地や、自分の家の庭の決まった場所で行います。毎朝同じ場所の霜柱の長さを測って記録すると、冷え込みの強さや、前の日の雨との関係が見えてくることがあります。

霧氷・樹氷・雨氷との違い

霜の仲間には、木の枝などに氷がつく「霧氷(むひょう)」や、透明な氷で物が覆われる「雨氷(うひょう)」もあります。どれも冬の自然がつくる氷の芸術ですが、できるしくみが少しずつ違います。

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霧氷は三つに分けられる

気象の用語では、霧氷を、でき方の違いから次の三つに分けます。

  • 樹霜(じゅそう): 空気中の水蒸気が、木の枝などに直接氷の結晶としてつくもの。霜と同じしくみで、樹木につく霜と考えると分かりやすいでしょう。
  • 樹氷(じゅひょう): 0℃以下に冷えても凍らずにいる霧の粒(過冷却の水滴)が、木の枝などにぶつかって凍りついたもの。白く不透明で、風上に向かって伸びるのが特徴です。
  • 粗氷(そひょう): 樹氷と似たしくみで、より大きな過冷却の水滴がぶつかって凍ったもの。樹氷より半透明で硬い氷になります。

山の上で見られる、木全体が雪と氷に覆われた「アイスモンスター」と呼ばれる景色は、樹氷に雪が積み重なってできたものです。強い季節風と、過冷却の霧と、雪の三つがそろう、限られた場所でしか見られません。

雨氷は透明な氷で覆われる

雨氷は、0℃以下に冷えた雨粒(過冷却の雨)が、木の枝や電線などにぶつかって、その場で凍りついたものです。透明でガラスのような氷が、枝を包むように覆います。見た目は美しいものの、氷の重さで枝が折れたり、電線が切れたりする被害につながることもあります。

名前 材料 見た目 できやすい場所
霜 空気中の水蒸気 白い細かな結晶 地面、草、車の屋根
霜柱 土の中の水 細い氷の柱が束になる 細かい粒の湿った土
樹霜 空気中の水蒸気 枝につく白い結晶 冷え込んだ朝の木
樹氷 過冷却の霧の粒 白く不透明、風上へ伸びる 霧の多い山の上
雨氷 過冷却の雨粒 透明なガラス状 枝、電線、地面
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