霜と霜柱のしくみ|放射冷却で霜が降りる夜の条件、霧氷・雨氷との違いと観察のコツ
初霜・遅霜と暦のことば
霜は、季節の移り変わりを知らせる目印として、暮らしや農業と深く結びついてきました。
初霜と終霜
その冬に初めて観測される霜を「初霜」、春になって最後に観測される霜を「終霜(しゅうそう)」と呼びます。気象台では、長年にわたって霜の観測を続けてきた地点があり、初霜や終霜の平年の日付が、その土地の季節の目安として使われてきました。観測の方法や対象となる地点は時代とともに変わってきているため、最新の情報は気象庁のサイトで確認してください。
遅霜と「八十八夜の別れ霜」
春になってから降りる霜を「遅霜(おそじも)」や「晩霜(ばんそう)」と呼びます。暖かくなって新芽が伸びたり、苗を植えたりした後に霜が降りると、柔らかい芽や葉が傷んでしまうため、農家にとって遅霜は大きな心配ごとです。
立春から数えて八十八日目にあたる「八十八夜」(5月初めごろ)は、「八十八夜の別れ霜」という言葉があるように、この頃を過ぎれば霜の心配が少なくなるという目安とされてきました。ただし、寒冷地や山間部では、この時期を過ぎても霜が降りることがあります。
霜にまつわる季節のことば
暦や季語にも、霜にまつわる言葉がたくさんあります。二十四節気の霜降、七十二候の「霜始降(しもはじめてふる)」などは、霜の訪れを季節の節目としてとらえた言葉です。俳句では「霜」「霜柱」「霜夜」などが冬の季語として使われます。二十四節気や七十二候の読み方は、二十四節気と七十二候の読み方で詳しく紹介しています。
庭や鉢植え、車の霜への備え
霜は、植物や車、足元の安全にも影響します。ここでは、身近な場面での備え方を紹介します。
庭や鉢植えの霜よけ
寒さに弱い植物は、霜に当たると葉が黒ずんだり、しおれたりします。霜が降りそうな夜には、次のような備えをします。
- 鉢植えは軒下や室内へ移す: 屋根の下に置くだけでも、霜に当たりにくくなります。
- 地植えの植物は不織布などで覆う: 植物の上に布をかけると、地面から逃げる熱をある程度とどめられます。葉に直接触れないよう、支柱で浮かせると効果的です。
- 株元にわらや落ち葉を敷く: 地面の冷え込みと霜柱を和らげ、根を守ります。
- 朝は覆いを外す: 日中に覆いをかけたままにすると、蒸れや日照不足の原因になります。
霜に当たった植物は、慌てて日なたに出したり、すぐに水をかけたりせず、ゆっくり温度が上がるのを待つほうがよいとされます。植物の種類によって寒さへの強さは大きく違うので、育てている植物の性質を、ラベルや園芸店の説明で確かめておきましょう。室内の植物の冬越しについては観葉植物の育て方の基本も参考になります。
車のフロントガラスの霜
車のフロントガラスに霜がついていると、視界が悪くなり危険です。霜を溶かすときは、次の点に気をつけます。
- 熱いお湯をかけない。急な温度差でガラスを傷める恐れがあります。
- エンジンをかけ、デフロスター(曇り取り)でガラスを内側から温める。
- 樹脂製のスクレーパーなど、ガラスを傷つけにくい道具を使う。
- 視界が十分に確保されてから走り出す。
方法は車種によって違うことがあるので、車の取扱説明書もあわせて確認してください。夜の間にフロントガラスをカバーで覆っておくと、朝の手間を減らせます。
霜の朝の足元に注意する
霜が降りた朝は、道路や階段、橋の上などが滑りやすくなります。特に、日陰になる場所や橋の上、金属製のマンホールのふたなどは、霜や凍結で滑りやすい場所です。霜の朝に出かけるときは、靴底が滑りにくい靴を選び、歩幅を小さくして歩くと転倒を防ぎやすくなります。
霜や凍結した路面は、見た目では分かりにくいことがあります。自転車や車で出かけるときは、いつもより時間に余裕を持ち、急ブレーキや急なハンドル操作を避けてください。
霜を観察・撮影するコツと注意
霜は、身近な場所で観察できる冬の自然です。少し工夫をすると、結晶の形をきれいに記録できます。
撮影のコツ
- スマートフォンのマクロ機能や接写レンズを使う: 小さな結晶を大きく写せます。
- 斜めから光が当たる時間を選ぶ: 日の出直後の低い光は、結晶の立体感を引き立てます。
- 背景を暗くする: 黒っぽい物の上の霜は、白い結晶がくっきり写ります。
- 息と体温に気をつける: 近づきすぎると、撮る前に結晶が溶けてしまいます。
撮影した写真には、日付、時刻、場所、その朝の天気をメモしておくと、どんな条件でどんな結晶ができたかを比べられるようになります。
霜柱の観察
霜柱を観察するときは、霜柱ができた土をスコップなどでそっと掘り出し、横から断面を見ると、氷の柱が何段にも重なっている様子が分かることがあります。段ごとに氷の伸び方が違うのは、夜の間の冷え込み方や、土から上がってくる水の量が変わったためと考えられています。
観察は、自分の家の庭や、観察してよいと分かっている場所で行います。公園の花壇や畑、他人の土地を掘ったり踏み荒らしたりしないようにしましょう。
観察するときの安全
早朝の観察は、気温が低く、足元も滑りやすくなっています。暖かい服装をし、暗い時間に出かけるなら明かりを持ちます。車の多い道路のそばや、凍った水辺には近づかないようにしてください。
まとめ
霜は、空気中の水蒸気が冷えた物の表面で直接氷になったもので、よく晴れて風の弱い夜の放射冷却によって生まれます。天気予報の気温は地面から1.5メートルほどの高さで測るため、予報の最低気温がプラスでも、地面や車の屋根には霜が降りることがあります。霜柱は、土の中の水が下から吸い上げられて凍り続けることで伸びる、まったく別のしくみの氷です。
最初の一歩として、夕方の空に雲がなく、風もやんでいる日には、黒っぽい布や板を一枚、庭やベランダの開けた場所に置いてみてください。翌朝、日が差す前にルーペで表面をのぞき、結晶の形と、その朝の最低気温をメモしておくと、霜が降りる夜の条件が少しずつ自分の目で分かるようになります。
よくある質問
霜は気温が何度になると降りますか?
天気予報の気温は地面から1.5メートルほどの高さで測った値なので、地面付近はそれより低くなることがあります。そのため、予報の最低気温が3〜4℃前後でも、晴れて風の弱い夜には地面や車の屋根に霜が降りることがあります。
霜と霜柱は同じものですか?
名前は似ていますが、別のものです。霜は空気中の水蒸気が物の表面で直接氷になったもので、霜柱は土の中の水が地表で凍り、下から水が吸い上げられて柱のように伸びたものです。
霜柱ができやすいのはどんな土ですか?
粒が細かく、水を含みやすい土でできやすいとされます。粒の粗い砂地は水を吸い上げる力が弱く、霜柱はあまり育ちません。舗装された場所や乾いた土にもできにくくなります。
車の窓の霜にお湯をかけてもよいですか?
熱いお湯をかけると、急な温度差でガラスを傷める恐れがあるので避けたほうが安全です。エンジンをかけてデフロスターで温めるか、専用のスクレーパーなどを使い、車の取扱説明書に沿って溶かします。
霜注意報はどんなときに出ますか?
霜によって農作物などに被害が出る恐れがあるときに、気象台が発表します。発表の基準や時期は地域によって異なるので、住んでいる地域の情報は気象庁や地元の気象台のサイトで確認してください。










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