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料理・食

揚げ油の後始末|こし方と保存、繰り返し使う目安、固めて捨てる手順

揚げ物のあとの油を、冷まし方、こし方、保存のしかたから、繰り返し使えるかの見分け方、固める・吸わせる・回収に出す捨て方まで順に整理します。油が傷むしくみと、揚げかすの自然発火を防ぐ扱い方、鍋の片づけと排水に流さない理由も説明します。

網をのせた鍋と油の入った瓶と紙の束

揚げ物をしたあと、鍋いっぱいの油を前に手が止まることがあります。もう一度使えるのか、いつこせばよいのか、捨てるならどうするのか。「油の処理が面倒だから揚げ物はしない」という声もよく聞きますが、手順を一度決めてしまえば、作業そのものは難しくありません。

ただし揚げ油の後始末には、やけどと火災という二つの危険があります。とくに見落とされやすいのが、熱いまま袋に入れた揚げかすや、油をしみ込ませた紙から火が出る自然発火です。この記事では、揚げ終わった直後の動き方から、こし方、保存、繰り返し使えるかどうかの判断、捨て方、鍋の片づけまでを順に整理します。

揚げているあいだの温度の見方や、油から火が出たときの対応は、揚げ物の油の温度と見分け方で説明しています。ここでは火を止めたあとの話を中心に書きます。

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揚げ終わった直後にすること

後始末は、最後の一品を揚げ終えた瞬間から始まります。この時点で油はまだ高温なので、片づけを急ぐより、順番を守ることが大切です。

火を止めて鍋を動かさない

最初に火を止めます。電気やIHの場合も、加熱を切ったことを表示で確かめます。そのあと鍋はコンロの上か、安定した場所に置いたまま動かしません。揚げ油の温度は170〜180℃ほどで、沸騰したお湯よりはるかに高く、かかると重いやけどになります。さらに油はお湯より冷めにくいので、火を止めてしばらくたっても油断できません。

鍋の持ち手は、コンロの手前や通路側に出さないように向きを変えます。子どもやペットのいる家庭では、油が冷めるまで台所に近づかせない工夫も必要です。別の部屋へ移動する前に、もう一度、火が消えていることを確かめます。

大きなかすだけ先に取る

火を止めたら、網じゃくしで浮いている大きなかすをすくいます。揚げかすには衣の粉や肉・魚の成分が含まれていて、油の中に残すと焦げて色やにおいを移し、傷みを早めます。

取ったかすは、熱い状態のまま生ごみ袋へ入れてはいけません。理由はあとの「揚げかすの扱いと自然発火」で説明しますが、ここでは金属のバットや耐熱の皿に広げて置きます。紙の上に山にするのも避けます。

水を近づけない

片づけの途中でよくある事故が、熱い油に水が入ることです。洗い物の水滴がついた菜箸や、濡れた網じゃくしを鍋に入れると、水が一気に水蒸気になって油がはねます。シンクの近くで鍋を傾ける作業も、水が入りやすいので控えます。

揚げ終わった直後の順番(1. 火を止める、2. 大きなかすを取る、3. かすを広げる、4. 鍋はそのまま)
急がず、熱い油を動かさない。

油が傷むしくみ

こし方や保存のしかたは、「油が何によって傷むか」を知っておくと理由が分かります。油の傷みの原因は、大きく分けて次の四つです。

空気(酸化)

油が空気中の酸素と結びつく変化を酸化といいます。酸化が進むと、いやなにおいのもとになる物質ができ、味も悪くなります。揚げ物の最中は高温で酸化が速く進みますが、保存中も光や温度の影響を受けながらゆっくり続きます。

酸化しやすいのは、不飽和脂肪酸の多い油です。サラダ油、なたね油、米油などの一般的な揚げ油はこの点で扱いやすい部類ですが、それでも傷まないわけではありません。えごま油や亜麻仁油のように酸化しやすい油は、そもそも揚げ物には向きません。

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水(加水分解)

揚げているあいだ、食材の水分は蒸発しながら油の中を通ります。このとき油の一部が水と反応して分解されます。これが加水分解です。水分の多い野菜や下味のついた肉を揚げ続けると、油が疲れやすいのはこのためです。

熱(重合)

高温で長く加熱すると、油の分子どうしがつながって大きな分子になります。これが重合で、油に粘りが出て、泡が消えにくくなる原因です。揚げ終わった油に膜のようなべたつきが出るのも、同じ変化によるものです。

かすと食材の成分

衣や肉・魚から出た成分が油に残ると、焦げながら傷みを早めます。とくに粉や卵の多い衣、魚、調味液に漬けた肉は、油に溶け出す物が多く、回数が少なくても色やにおいが変わります。

油を傷める四つの原因(空気、水、熱と光、かす)
保存の工夫は、この四つを遠ざけること。

いちど酸化した油を元に戻す方法はありません。新しい油を足しても薄まるだけで、傷んだ成分が消えるわけではありません。片栗粉や水溶き片栗粉で油をきれいにする方法も、取れるのは細かいかすであり、酸化が戻るわけではないと考えてください。後始末の目的は「油を若返らせる」ことではなく、「これ以上傷めない」ことです。

油のこし方と道具の選び方

油が扱える温度まで冷めたら、細かいかすをこして取り除きます。

紙を敷いたこし器で鍋の油を瓶に移す手元
油は冷めてから、紙を敷いたこし器に注ぐ

いつこすか

かすは早く取るほうが油には良いのですが、熱い油を持ち上げて別の容器に注ぐのは危険です。そこで、大きなかすは火を止めた直後に取り、こす作業は、鍋の外側を触っても熱くない程度まで下がってから行います。季節や油の量によりますが、1時間ほどは見ておきます。油は冷えると流れが遅くなるので、完全に冷え切る前のほうがこしやすいのですが、安全を優先します。

温度が分からないときは、揚げ物の油の温度と見分け方でも触れた料理用の温度計を鍋に入れて、確かめる方法もあります。手を入れて確かめることは絶対にしないでください。

こす道具の違い

家庭で使える道具には次のようなものがあります。

道具 取れるかす 向いている人 注意点
目の細かいざる 大きめのかす とにかく手軽にしたい 細かいかすが残る
紙のフィルターやキッチンペーパー 細かいかすまで 少量の油を丁寧にこしたい 落ちるのが遅い。あふれやすい
こし紙付きのオイルポット 細かいかすまで 揚げ物をよくする 置き場所が必要
活性炭のカートリッジ付きポット 細かいかす、においの一部 においを抑えたい カートリッジの交換が必要

キッチンペーパーを使うときは、油を通す強さのあるものを選びます。薄い紙は油を含むと破れやすく、受け側の容器の中へ落ちることがあります。活性炭は、においの成分を吸着する助けにはなりますが、酸化した油が新品に戻るわけではありません。

こす手順

  1. 鍋が扱える温度まで冷めたことを確かめる。
  2. 乾いた容器をシンクから離れた安定した場所に置き、下に新聞紙かトレーを敷く。
  3. 容器の上にこし器をのせる。ぐらつくときは、容器を手で支えず、口の広い容器に替える。
  4. 鍋を両手で持ち、少しずつ注ぐ。最後の底の部分は注がない。
  5. 底に残った濁りとかすは、捨てる分として別にしておく。
  6. 終わったら鍋の口を紙で拭き、垂れた油が床に落ちないようにする。

鍋の底に沈んだ黒っぽい部分は、かすが凝縮したところです。ここまで全部入れてしまうと、こした意味が薄れます。「油を少し捨てても、きれいな部分だけ残す」と考えるほうが、次の揚げ物の味が良くなります。

こすときの良い例と悪い例(良い例と避けたい例の比較)
鍋の底まで注がないのがこつ。
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