10穴ハーモニカの始め方|吹く音と吸う音の並び、単音の出し方とタブ譜の読み方
10穴ハーモニカ(ブルースハープ)を始めたい人に向けて、吹く音と吸う音の並び、最初に選ぶキー、持ち方と単音の出し方、呼吸のコツ、タブ譜の読み方と最初の練習曲、和音とクロスハープ、ベンドの入り口、手入れと保管までを順に紹介します。

手のひらに収まる大きさで、ポケットに入れて持ち歩けるハーモニカ。中でも10個の穴が一列に並んだ「10穴ハーモニカ」は、フォークやブルース、ロックなど幅広い音楽で使われてきた楽器です。値段も比較的手ごろで、楽器を始める入り口として選ぶ人も少なくありません。
ただ、実際に手に取ってみると、どの穴を吹けばどの音が出るのか分からなかったり、隣の音が混ざって和音になってしまったりと、最初の壁にぶつかりがちです。この記事では、10穴ハーモニカのしくみと音の並び、楽器の選び方、持ち方と単音の出し方、呼吸のコツ、タブ譜の読み方と最初の練習曲、和音を活かした吹き方、ベンドの入り口、手入れと保管までを順に紹介します。
10穴ハーモニカとはどんな楽器か
10穴ハーモニカは、正式には「10穴ダイアトニックハーモニカ」と呼ばれます。「ブルースハープ」という呼び名もよく使われますが、これはもともとある製品の名前が広まったものです。
ハーモニカの中には、薄い金属の板(リード)が並んでいて、息を吹き込んだり吸ったりすると、その空気の流れでリードが振動して音が出ます。10穴ハーモニカでは、一つの穴に「吹くと鳴るリード」と「吸うと鳴るリード」が一枚ずつ入っていて、一つの穴から二つの音が出せます。10個の穴で合計20の音が出せる計算です。
ほかのハーモニカとの違い
ハーモニカにはいくつかの種類があり、それぞれ得意な音楽が違います。
| 種類 | 特徴 | 向いている音楽 |
|---|---|---|
| 10穴(ダイアトニック) | 小型。一つのキーの音階が中心 | ブルース、フォーク、ロック、童謡 |
| 複音 | 穴が上下二段で、揺らぎのある響き | 唱歌、歌謡曲、日本の愛唱歌 |
| クロマチック | 横のボタンで半音を出せる | ジャズ、クラシック、ポップス |
10穴ハーモニカは、基本的に一つのキーの音階(ドレミファソラシ)しか出せない代わりに、構造が単純で小さく、和音や音を曲げる技術(ベンド)で表情豊かに吹けるのが魅力です。学校で使った経験がある人も多い複音ハーモニカとは、穴の配置も音の並びも違うので、別の楽器と考えたほうが分かりやすいでしょう。
各部の名前
10穴ハーモニカは、主に三つの部品でできています。

コームの材質には、樹脂、木、金属などがあります。樹脂は湿気に強く扱いやすいため、初めての一本に向いています。木のコームは柔らかい響きが好まれますが、濡れると膨らむことがあるので手入れに気をつかいます。
吹く音と吸う音の並び
10穴ハーモニカでいちばん大事なのが、音の並びを知ることです。Cのキーのハーモニカを例に、穴ごとの音を見てみましょう。穴の番号は、カバーの上側に小さく刻まれていることが多く、左から1、2、3…と続きます。
| 穴 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 吹く | ド | ミ | ソ | ド | ミ | ソ | ド | ミ | ソ | ド |
| 吸う | レ | ソ | シ | レ | ファ | ラ | シ | レ | ファ | ラ |
この並びには、いくつかの特徴があります。
吹く音はドミソの和音
吹く音だけを見ると、ド・ミ・ソが繰り返されています。どこを吹いても、いくつかの穴を同時に鳴らせばドミソの和音(Cの和音)になります。適当に吹いても気持ちよく響くのは、このためです。
吸う音は低い側にソシレの和音
吸う音は、1〜4番の穴でレ・ソ・シ・レとなり、2〜4番を同時に吸うとソシレの和音(Gの和音)になります。この「吸う和音」が、後で紹介するクロスハープという吹き方の土台になります。
ドレミファソラシドがそろうのは4〜7番
4番の穴から7番の穴にかけて、ドレミファソラシドの音階が一通りそろいます。ただし、7番だけは吹くと「ド」、吸うと「シ」になり、ほかの穴と吹く・吸うの関係が逆になっている点に注意が必要です。

また、低い側の1〜3番では、ファとラの音がありません(2番の吸う音と3番の吹く音は、どちらもソです)。低い音域で一部の音が欠けているのも、10穴ハーモニカの特徴です。この欠けた音を補うのが、上級の技術であるベンドです。
楽器を選ぶ|キーとコームの素材
10穴ハーモニカは、キーごとに別の楽器になっています。Cのハーモニカなら、Cの音階が出せるように作られています。同じ形でも、キーが違えば出る音の高さが変わります。
最初の一本はCのキー
最初に選ぶなら、Cのキーがおすすめです。理由は三つあります。
- 教本やタブ譜の多くが、Cのハーモニカを前提に書かれている
- 音の高さが中くらいで、低すぎず高すぎず吹きやすい
- 音名がドレミと一致するので、音の並びを覚えやすい
慣れてきたら、合わせたい曲や歌いやすい高さに応じて、GやA、Dなどのキーを増やしていきます。ギターなどと一緒に演奏するときは、曲のキーに合わせてハーモニカを持ち替えるのが一般的です。
選ぶときに見ておくこと
10穴ハーモニカには、手ごろなものから高価なものまで幅があります。最初の一本は、楽器店などで扱われている、名の知れた楽器メーカーのものを選ぶと安心です。あまりに安いものは、リードの調整が粗く、音が出にくかったり、音程が合っていなかったりすることがあり、練習がうまくいかない原因になります。
コームの材質は、前に触れたように、扱いやすさを重視するなら樹脂がおすすめです。カバーの形や大きさ、穴の角の丸みなども、吹きやすさに影響します。可能なら店頭で、手の大きさに合うかを確かめるとよいでしょう。










