10穴ハーモニカの始め方|吹く音と吸う音の並び、単音の出し方とタブ譜の読み方
タブ譜の読み方と最初の曲
10穴ハーモニカの楽譜は、五線譜のほかに「タブ譜」という書き方がよく使われます。タブ譜は、何番の穴を吹くか吸うかを、数字と記号で示したものです。五線譜が読めなくても始められるのが利点です。
タブ譜の基本の書き方
タブ譜の書き方は教本によって少しずつ違いますが、代表的なものは次のとおりです。
| 書き方 | 意味 |
|---|---|
| 4 | 4番の穴を吹く |
| -4 | 4番の穴を吸う |
| 4↑ / 4↓ | 矢印で吹く・吸うを示す書き方 |
| 4B / 4D | 吹く(Blow)・吸う(Draw)の頭文字 |
| -3' | 3番を吸ってベンドする(記号は教本による) |
どの書き方でも、数字が穴の番号を示す点は共通です。手持ちの教本の冒頭にある記号の説明を確かめてから読み始めましょう。
最初の練習曲「きらきら星」
単音が少し出せるようになったら、「きらきら星」を吹いてみましょう。4〜6番の穴だけで吹ける、練習に向いた曲です。数字は吹く、マイナスの付いた数字は吸うを示します。
- ド ド ソ ソ ラ ラ ソ:4 4 6 6 -6 -6 6
- ファ ファ ミ ミ レ レ ド:-5 -5 5 5 -4 -4 4
- ソ ソ ファ ファ ミ ミ レ:6 6 -5 -5 5 5 -4
- ソ ソ ファ ファ ミ ミ レ:6 6 -5 -5 5 5 -4
- 最初の二行をもう一度
4番から6番へ飛ぶところで、5番を通り越して正確に6番に着地できるかがポイントです。最初は音がかすれたり、隣の音が混ざったりしても構いません。ゆっくり、一音ずつ確かめながら吹いてみましょう。
練習の進め方
- 4番の吹く・吸うを交互に、単音で鳴らす
- 4〜7番でドレミファソラシドを上り下りする
- 「きらきら星」のような、4〜6番で吹ける曲を吹く
- 1〜3番、8〜10番にも範囲を広げる
- 好きな曲のタブ譜を探して挑戦する
一日に長時間練習するよりも、短い時間を毎日続けるほうが、口の形や息の感覚が身につきやすくなります。何歳からでも楽器は始められます。続けるための工夫は大人の学び直しのコツも参考になるかもしれません。
和音とクロスハープ
単音の練習と並行して、和音の響きも楽しんでみましょう。10穴ハーモニカは、和音を吹いても自然に響くように音が並んでいます。
吹く和音と吸う和音
1〜4番をまとめて吹くとドミソの和音(C)、1〜4番をまとめて吸うとレソシレの和音(Gの響き)になります。この二つを交互に鳴らすだけでも、汽車の走る音のようなリズムを作れます。和音のリズムに合わせて息を「ハッ、ハッ」と区切るように吹くと、それらしい雰囲気が出ます。
クロスハープ(セカンドポジション)
ブルースやロックでよく使われるのが、「クロスハープ」または「セカンドポジション」と呼ばれる吹き方です。Cのハーモニカで、Cではなく、Gを中心にした音楽を吹きます。
Cのキーとしてドを中心に吹く通常の吹き方(ファーストポジション)では、吹く音が中心になります。一方、クロスハープでは、2番の吸う音(ソ)を中心の音として、吸う音を多く使います。吸う音はベンドがしやすく、音を曲げてブルースらしい表情をつけやすいため、この吹き方が好まれてきました。

ギターなどと合わせるときは、曲のキーに対して、クロスハープでは4度上(5つ上の音)のキーのハーモニカを選ぶのが一般的です。たとえばGの曲ならCのハーモニカ、Aの曲ならDのハーモニカを使います。
ベンドの入り口
ベンドは、口の中の形を変えて、リードの音程を下げる技術です。10穴ハーモニカの代表的な技術で、ブルースの「泣き」のような表情を出したり、低い側で欠けている音を補ったりするのに使います。
吸うベンドは1〜6番、吹くベンドは7〜10番
ベンドができる穴は決まっています。1〜6番では吸う音を、7〜10番では吹く音を下げることができます。最初に練習するなら、4番の吸う音がよく使われます。
ベンドの感覚をつかむ練習
- 4番の吸う音を、単音で安定して鳴らす
- 吸いながら、口の中で「イー」から「ウー」へと発音を変えるように、舌の位置を下げて奥へ引く
- 音程がわずかに下がる感覚があれば、それがベンドの入り口
- 強く吸って下げようとせず、口の中の空間の形で下げることを意識する
最初は、まったく音程が変わらなかったり、音が鳴らなくなったりするのが普通です。ベンドを強い息で無理に出そうとすると、リードに負担がかかり、音が狂ったり鳴らなくなったりすることがあります。焦らず、軽い息で口の形を探るのがコツです。
ベンドは、身につけるのに時間がかかる技術です。単音と呼吸に慣れ、曲が何曲か吹けるようになってから取り組めば十分です。
手入れと保管、よくある失敗
ハーモニカは、口に直接触れる楽器です。長く気持ちよく使うために、日ごろの手入れを習慣にしましょう。

吹いた後の手入れ
- 吹き終わったら、穴を下にして手のひらに軽く打ちつけ、中の水分を落とす
- 乾いた柔らかい布で、外側の汚れや水分をふき取る
- ケースに入れる前に、しばらく置いて自然に乾かす
- 吹く前に、口をすすいでおく。食べた直後は避ける
食べかすや糖分がリードに付くと、音が出にくくなったり、においの原因になったりします。演奏の前に口をすすぐだけでも、ハーモニカの状態を保ちやすくなります。また、衛生面から、ハーモニカは人と共有しないのが基本です。
保管のしかた
ハーモニカは専用のケースに入れて保管します。直射日光が当たる場所や、高温になる車内、湿気の多い場所は避けます。寒い時期に冷えたハーモニカを吹くと、中で結露して音が出にくくなることがあるので、手のひらで包んで少し温めてから吹くとよいでしょう。
分解して内部を掃除することもできますが、リードは繊細な部品で、触ると音程が変わることがあります。分解や調整は、取扱説明書の案内に従い、自信がなければ楽器店に相談しましょう。

よくある失敗と対処
| 困りごと | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 和音になってしまう | 口のすき間が大きい | 口を「ウ」の形にすぼめる |
| 音がかすれる | くわえ方が浅い | 唇の内側が触れるまで深く |
| 吸う音が出にくい | 強く吸いすぎている | 軽い息で、喉を開く |
| 特定の音だけ出ない | 汚れやリードの不調 | 手入れし、続くなら楽器店へ |
| すぐ息が苦しくなる | 吹く・吸うの偏り | 鼻で息を整えながら吹く |
ほかの楽器と同じように、最初の数週間は思うように音が出ないことも多いものです。小さな楽器をもう一つ楽しみたい人は、ウクレレの始め方も読んでみてください。
まとめ
10穴ハーモニカは、一つの穴で吹く音と吸う音の二つが出せる、小さくても奥の深い楽器です。Cのキーを選び、4〜7番でドレミファソラシドがそろうこと、7番だけ吹く・吸うが逆になることを覚えておけば、簡単な曲から始められます。単音、呼吸、タブ譜に慣れたら、和音やクロスハープ、ベンドへと少しずつ進んでいけます。
最初の一歩として、Cのハーモニカを手に取ったら、4番の穴を軽い息で吹いて「ド」、吸って「レ」を、和音が混ざらずに鳴らせるまで練習してみてください。それができたら、4番から7番までドレミファソラシドを上り下りし、「きらきら星」に挑戦してみましょう。一日数分でも続けるうちに、口の形と息の感覚が少しずつ身についていきます。
よくある質問
最初に買うハーモニカは、どのキーがいいですか?
Cのキーがおすすめです。教本やタブ譜の多くがCを基準に書かれていて、音の高さも中くらいなので、吹きやすく聞き取りやすいからです。慣れてから、合わせたい曲に応じてほかのキーを増やしていきます。
単音がなかなか出ません。どうすればいいですか?
口の形を「ウ」の発音に近づけ、唇の内側の柔らかい部分をハーモニカに当てるようにすると、穴を一つに絞りやすくなります。強く吹くより、軽い息で、隣の音が混ざらない口の大きさを探すのが近道です。
ハーモニカは水で洗えますか?
本体の材質によって違います。木のコーム(本体の土台)を使ったものは水に濡らすと膨らむことがあるので、水洗いは避けます。洗えるかどうかは、取扱説明書の案内に従ってください。
ベンドができないと曲は吹けませんか?
いいえ。ベンドを使わなくても、童謡や唱歌、多くのメロディーは吹けます。ベンドはブルースなどで表現の幅を広げる技術なので、単音と呼吸に慣れてから少しずつ練習すれば十分です。
集合住宅でも練習できますか?
ハーモニカは小型の楽器としては音が通るほうなので、時間帯や窓の開け閉めには気を配りましょう。軽い息で単音を練習するぶんには大きな音にはなりにくく、手で包むように持つと音が柔らかくなります。










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