読点(、)の打ち方|意味が変わる例、打つ位置の基準、多すぎる文の直し方
多すぎる文、少なすぎる文の直し方
書いた文章の読点が気になったら、一つずつ足し引きするより、順番を決めて見直すほうが早く片付きます。


直し方の実例
次の文は、読点が五つあります。
先日は、お忙しい中、打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました、資料については、来週中にお送りします。
途中の「ありがとうございました、」は、文が終わっているのに読点でつないでいる形です。ここを切ります。
先日はお忙しい中、打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。資料は来週中にお送りします。
文を分け、「先日は、」「資料については、」の読点も外しました。「資料については」を「資料は」に縮めたので、読点がなくても自然に読めます。
少なすぎる文を見つける
読点が足りない文は、書いた本人には気づきにくいものです。自分は意味を知っているので、迷わず読めてしまうからです。次の方法が使えます。
- 書いてから少し時間を置き、別の用事のあとで読み直します。
- 一文が50〜60字を超えていたら、読点の有無にかかわらず構造を確かめます。
- 「〜する〇〇」のように修飾語が名詞にかかる箇所で、修飾語の範囲が二通りに読めないかを見ます。
- 時や場所を表す語(昨日、東京で)のかかり先を確かめます。
- 平仮名や漢字が長く続く箇所がないかを見ます。
音読だけに頼らない
「声に出して息つぎの位置に打つ」という方法は、リズムを整えるには役立ちます。ただ、息つぎの位置は読む人の癖に左右されますし、意味の切れ目と一致しないこともあります。たとえば、先ほどの「田中さんは急いで駅に向かう佐藤さんに」は、書き手が頭の中で正しい間を置いて読めてしまうので、音読では問題に気づけません。
音読は、調子を整える段階の確認に使い、意味の確認は目で構造を追うほうが確実です。
「打つ派」「打たない派」をそろえる
主語の後に打つかどうかのように、どちらでもよい選択については、一つの文章の中でそろえます。ある段落では「当社は、」、次の段落では「当社は」と揺れると、読み手はそこに意味の違いがあるのかと考えてしまいます。
複数の人で書く文書なら、「文頭の接続詞の後には打つ」程度の簡単な決まりを最初に共有しておくと、後の調整が楽になります。
練習問題で確かめる
基準が身についているかを、短い例で確かめてみます。どの文も、読点の位置や文の組み立てに直す余地があります。
問題1: 山田さんは笑いながら話す課長の顔を見ていた。(笑っているのは山田さん)
答えの例は「山田さんは笑いながら、話す課長の顔を見ていた。」です。読点が「笑いながら」を「見ていた」へ送ります。ただ、「話す課長」は少し不自然なので、「課長が話す様子を、山田さんは笑いながら見ていた。」と語順を変えるほうが、読点に頼らずに済みます。
問題2: 本日の説明会は、会場の都合により、開始時間が、30分遅れましたので、資料の配布も、受付の後に、変更します。
文の切れ目が読点で続いています。「本日の説明会は、会場の都合により開始が30分遅れました。資料の配布も受付の後に変更します。」と二文に分けると、読点は一つになります。
問題3: 今月の売上は先月より増えたが原因は新商品の発売だと思われる理由がはっきりしないので調べる。
読点が一つもなく、切れ目を読み手が探すことになります。「今月の売上は先月より増えました。原因は新商品の発売と思われますが、はっきりしないので調べます。」のように、まず文を分け、残った節の切れ目に読点を打ちます。
三問とも、読点を動かすだけでなく、語順や文の長さを一緒に直しています。実際の推敲でも、この組み合わせで考えると直しやすくなります。

場面別の考え方
読点の適切な量は、文章の種類でも変わります。求められるのが正確さなのか、読みやすさなのか、印象なのかが違うためです。
| 場面 | 重視すること | 読点の傾向 |
|---|---|---|
| 報告書・議事録 | かかり先の正確さ | 意味を決める読点を確実に打つ |
| ビジネスメール | 短時間での理解 | 文を短くして読点を減らす |
| チャット | 画面での見やすさ | 読点より改行で区切る |
| 発表原稿 | 読み上げやすさ | 息つぎに合わせて多めでもよい |
| 小説・随筆 | 文章の調子 | 書き手の個性に任される |
| 年賀状・賞状 | 改まった形式 | 句読点を使わない習わしがある |
メールとチャット
メールは、読点の位置を工夫するより一文を短くするほうが効果があります。一文に用件を一つだけ入れれば、読点は自然に減ります。書き方全体はビジネスメールの書き方でも扱っています。
スマートフォンで読むチャットでは、一行に入る文字数が少なく、読点が行頭に近い位置へ来ることもあります。読点でつなぐより、短い文に分けて改行したほうが見やすくなります。
発表原稿
声に出して読む原稿は、読点を息つぎの印として使えます。提出する文章としてはやや多すぎても、読み上げる本人が困らなければ問題ありません。原稿を配布資料に流用するときだけ、読点を減らして整えます。
年賀状・賞状
年賀状や賞状、結婚式の招待状などの改まった文書では、句読点を使わない習わしがあります。理由には諸説あります。区切りを付けないことを縁起に結びつける説明がある一方、毛筆の文書にはもともと句読点を入れなかった名残という見方もあります。読点の代わりに、字間を空けるか改行して、読みやすくします。賀詞の選び方などは年賀状の書き方とマナーにまとめました。
「,」「・」「」との使い分け
最後に、読点の周りの記号についても整理しておきます。
「、」と「,」
横書きの文書で「,」を見かけることがあります。これは、国の公用文で長く横書きの読点に「,」が使われてきたことと関係します。2022年の「公用文作成の考え方」で、横書きの読点は原則「、」となりました。ただし、事情に応じて「,」を使う余地は残されています。
理工系の論文や教科書では、今でも「,」「.」を指定している学会や出版社があります。投稿規定が決まっている文書では、その指定に従ってください。一般のブログやメールでは「、」で問題ありません。一つの文書の中で混ぜないようにするだけで十分です。
読点と中黒
中黒(・)は、語と語を対等に結ぶ記号です。読点より結びつきが強く見えます。「企画・制作」と書けば一まとまりの仕事に見え、「企画、制作」と書けば別々の二つの仕事として並べた印象になります。外来語の語の切れ目を示す場合にも使います。
かぎ括弧と読点・句点
かぎ括弧の前後では、次の点に迷います。
- 引用のあとに続く「と」の前には、読点を打ちません。
- かぎ括弧の前は、「彼は『はい』と答えた」のように、つながるなら打ちません。発言を独立させる場合、「彼は言った。『はい』」のように書くこともできます。
- 閉じかぎ括弧の前の句点は、1946年の句読法案では打つとされていますが、新聞や雑誌では打たない慣行が広く見られます。
閉じかぎ括弧の句点も、学校の作文の指導と出版の慣行とで違いがある部分です。提出先の書式に従い、指定がなければ一つの文章の中でそろえます。
まとめ
読点には法律のような決まりはありませんが、優先順位はつけられます。最優先は、言葉のかかり先を決めて誤解を防ぐ読点です。次に、長い修飾語や節の切れ目を示す読点です。リズムのための読点は、仕事の文書では控えめで十分です。
読点が増えて困ったときは、一つずつ足し引きする前に、文を分けられないか、語順を入れ替えられないかを考えます。多くの問題は、読点の位置より文の組み立てにあります。要約の練習にもなるので、文章を短くまとめる要約の書き方も参考になるはずです。
最初の一歩として、今日書いたメールを一通開き、読点が三つ以上ある文を一つ探してみてください。その文を二つに分けられるか試すだけで、読点の役割がかなりつかめるはずです。
よくある質問
読点の打ち方に正しいルールはありますか?
法律のように決められたルールはありません。公的な目安や文章術の本はありますが、書き手に任される部分が残ります。ただし、意味を取り違えさせないために打つ読点は、ほとんどの基準で共通しています。
「私は、」のように主語のあとには必ず打つのですか?
必ずではありません。短い主語なら打たなくても読めることが多く、主語が長いときや、主語と述語が離れるときに打つと読みやすくなります。一つの文章の中で、同じ条件なら同じように扱うと落ち着きます。
一文に読点はいくつまでがよいですか?
決まった上限はありません。目安として、一文に三つ以上必要になったら、文が長すぎないかを確かめます。多くの場合、文を二つに分けると読点も自然に減ります。
「、」と「,」はどちらを使えばよいですか?
ふだんの文章やメールは「、」で問題ありません。国の公用文も、2022年に示された「公用文作成の考え方」で横書きの読点を原則「、」としました。論文や社内文書で書式が決まっている場合は、その指定に従います。
年賀状や賞状に読点を打たないのはなぜですか?
改まった文書では句読点を使わない習わしがあるためです。理由には諸説あり、はっきり一つには定まっていません。読点の代わりに字間を空けたり、改行を入れたりして読みやすくします。










コメント
まだコメントはありません。最初の感想をどうぞ。