包丁の砥石での研ぎ方|番手の選び方、角度の保ち方、かえりを目安に仕上げる手順
片刃の包丁を研ぐときの違い
出刃包丁や柳刃包丁などの片刃の包丁は、両刃とは研ぎ方が少し違います。
表は刃の角度に合わせて研ぐ
片刃の包丁は、表側(斜めに削られている側)に大きな刃の面があります。この面を砥石にぴったり当てるように角度を合わせ、両刃と同じように前後に研ぎます。刃の面がもともと付いている角度に沿わせるので、角度は見つけやすいほうです。
裏は軽く当てる程度に
片刃の包丁の裏側は、平らに見えて、実はわずかにくぼんだ形(裏すき)になっていることがあります。裏側を表と同じように研ぐと、このくぼみの縁を削ってしまい、刃の形が崩れることがあります。
裏側は、包丁をほぼ平らに砥石に当てて、かえりを取るために軽く数回なでる程度にとどめます。片刃の包丁は、表を中心に研ぎ、裏はかえりを取るだけ、と覚えておくとよいでしょう。
| 項目 | 両刃の包丁 | 片刃の包丁 |
|---|---|---|
| 主な種類 | 三徳包丁、牛刀など | 出刃包丁、柳刃包丁など |
| 研ぐ面 | 表と裏を同じように | 表を中心に研ぐ |
| 裏側 | 表と同じ角度で研ぐ | ほぼ平らに当て、かえりを取るだけ |
| 注意点 | 両面の研ぐ量をそろえる | 裏のくぼみを削らない |
高価な和包丁や、刃の形が特殊な包丁は、自分で研ぐ前に買った店に研ぎ方を確かめるか、専門店に相談すると安心です。
よくある失敗と直し方
研ぎを始めたばかりのころに起こりやすい失敗と、その直し方をまとめます。
切れ味がかえって落ちた
研いだのに切れ味が落ちたと感じるときは、角度が研いでいる途中で変わり、刃先が丸くなっていることが多いです。油性ペンで刃先の面に線を引き、角度を確かめながら研ぎ直してみましょう。かえりが十分に取れていないと、切ったときにひっかかるような感触が残ることもあります。
刃の一部だけ切れない
刃元や刃先の近くなど、一部だけ切れないときは、その部分が研げていない可能性があります。とくに、包丁の先のほうは刃が曲線になっているため、まっすぐなまま研ぐと当たりにくくなります。先のほうを研ぐときは、柄を少し持ち上げて、曲線に沿わせるように研ぐと当たりやすくなります。
刃に傷がついた
刃の側面に、研いだ跡の細かな傷がつくことがあります。これは刃の面が砥石に当たったためで、切れ味にはほとんど影響しません。気になる場合は、角度を一定に保ち、刃の面全体を砥石に押し付けないように意識すると、傷を減らせます。

砥石の面直しと後片付け
砥石は、使ううちに中央がすり減ってへこんでいきます。へこんだ砥石で研ぐと、刃先が丸くなったり、包丁の形がゆがんだりするので、ときどき平らに戻す「面直し」が必要です。
面直しのしかた
面直しには、面直し用の専用の砥石や、平らな板に耐水のやすりを貼ったものなどを使います。砥石の表面に鉛筆で格子状の線を引いてから、面直しの道具でこすり、線が全体に均一に消えたら平らになった目安です。
面直しの頻度は使い方によりますが、研ぐたびに軽く行うと、大きくへこむのを防げます。研ぐときに、砥石の中央ばかりを使わず、全面を使うように意識すると、へこみ方が均一になります。
後片付けと保管
研ぎ終わったら、包丁は研ぎ汁や金属の粉をよく洗い流し、乾いた布巾で水けをしっかり拭き取ります。研いだあとの刃先はとても鋭いので、拭くときは刃の背側から布巾を当て、刃先に向かって指を滑らせないようにします。まな板や包丁の衛生的な扱いについては、スポンジとまな板の衛生も参考にしてください。
砥石は表面の研ぎ汁を洗い流し、風通しのよい日陰で乾かします。直射日光に当てたり、急に乾かしたりすると割れることがあるので、ゆっくり乾かします。
安全に作業するために
研ぎは刃物を扱う作業なので、次の点に気をつけましょう。
- 作業する場所の周りを片付け、子どもやペットが近づかないようにする
- 砥石が動かないように、台や滑り止めでしっかり固定する
- 押さえる指は刃先に近づけすぎず、刃の向きを自分に向けない
- かえりは背から刃先へ向かってそっと確かめ、刃に沿って指を動かさない
- 疲れて手元が不安になったら、途中でも作業をやめる
刃物の研ぎで手を切った場合は、清潔なガーゼなどで押さえて止血し、出血が止まらない、傷が深いといったときは医療機関を受診してください。大きな欠けや折れ、思い入れのある包丁は、無理をせず刃物の研ぎを扱う専門店に任せましょう。
一歩進んだ工夫
慣れてきたら、中砥のあとに仕上げ砥を加えると、刃先がより滑らかになり、切れ味が長持ちしやすくなります。また、日々の料理の合間に研ぎ棒で刃を整え、切れ味が落ちてきたら砥石で研ぐ、という手入れの流れを作ると、砥石で研ぐ回数を減らして刃を長く使えます。のこぎりなど、ほかの刃物の手入れについては、のこぎりの種類と使い方も参考にどうぞ。
まとめ
包丁を砥石で研ぐときは、千番前後の中砥を一本用意し、刃の角度を一定に保ちながら、かえりを目安に片面ずつ進めるのが基本です。両刃と片刃では研ぎ方が違うので、最初に包丁の種類を確かめておきます。研ぎ終わったら、かえりを取って仕上げ、砥石は面直しをして平らに保ちます。
最初の一歩として、ふだん使っている三徳包丁の刃先に油性ペンで細く線を引き、中砥で数回研いで線の消え方を見てみてください。どこが砥石に当たっているかが目で確かめられると、角度を保つ感覚がつかみやすくなります。
よくある質問
最初の砥石は何番を買えばよいですか?
ふだんの手入れには、千番前後の中砥が一本あれば始められます。切れ味が落ちた家庭の包丁なら、中砥だけでもかなり回復します。欠けがある、ひどく切れないといった場合に荒砥、より滑らかな切れ味がほしい場合に仕上げ砥を加えるとよいでしょう。
包丁はどのくらいの頻度で研げばよいですか?
使い方によって変わりますが、家庭ではトマトの皮に刃がすべるようになった、食材の切り口がつぶれるようになった、と感じたときが目安です。研ぎすぎると刃が早く減るので、ふだんは研ぎ棒やシャープナーで整え、ときどき砥石で研ぐという分け方もあります。
かえりが出ないときはどうすればよいですか?
角度が立ちすぎて刃先に砥石が当たっていない、または研ぐ量がまだ足りないことが多い原因です。刃先に油性ペンで印を付けて研ぎ、印が消える位置を見ると、どこが当たっているかを確かめられます。力を強くするより、角度を見直すほうが近道です。
セラミックの包丁や波刃の包丁も砥石で研げますか?
セラミックの包丁は、ふつうの砥石では研ぎにくく、専用の道具やメーカーの研ぎ直しを使うのが一般的です。波刃(パン切り包丁など)も平らな砥石では形を保てません。どちらも取扱説明書を確認し、迷ったら専門店に任せましょう。
大きな欠けや刃こぼれも自分で直せますか?
小さな欠けなら荒砥で直せることもありますが、大きな欠けは多くの量を削る必要があり、刃の形を崩しやすくなります。高価な包丁や思い入れのある包丁、先が折れたものなどは、刃物の研ぎを扱う専門店に相談するのが安心です。










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