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自然・サイエンス

低緯度オーロラのしくみ|日本で赤く見える理由と、磁気嵐・宇宙天気予報の読み方

太陽の活動と磁気嵐の関係

日本でオーロラが見える夜は、たいてい地球全体で大きな磁気嵐が起きています。磁気嵐とは、地球の磁場が大きく乱れ、それが数時間から数日続く現象です。きっかけをつくるのは太陽です。

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太陽の表面には、黒点と呼ばれる周りより温度の低い部分があり、そのまわりでは強い磁場がからみ合っています。ここで磁場のエネルギーが一気に解放されると、太陽フレアと呼ばれる爆発が起き、強い光やX線が出ます。フレアと前後して、太陽の外側の大気(コロナ)の一部が、大量のガスのかたまりとして宇宙へ放り出されることがあります。これをコロナ質量放出(CME)といいます。

太陽の噴出から磁気嵐まで(1. フレア、2. CMEの放出、3. 到着、4. 磁気嵐)
届くまでの時間は噴出の速さで変わる。

フレアの光は8分ほどで地球に届きますが、CMEのガスはそれより遅く、速いものでは1日足らず、多くは2〜3日ほどかけて地球に到着します。そのため、太陽で大きな噴出が起きると、数日前から「磁気嵐が起こるかもしれない」と予測できます。

ただし、CMEが地球に届けば必ず大きな磁気嵐になるわけではありません。大切なのは、CMEが運んでくる磁場の向きです。磁場が南向き(地球の磁場と逆の向き)だと、地球の磁場とつながって、太陽風のエネルギーが磁気圏に入り込みやすくなります。北向きだとつながりにくく、勢いの強いCMEが来ても、思ったほど磁気嵐が強くならないことがあります。宇宙天気の解説で「Bz(ビーゼット)が南向き」という言葉が出てきたら、オーロラにとってよい条件、と覚えておくと読みやすくなります。

磁気嵐は、オーロラ以外にも影響を与えます。上空の電離圏が乱れることで、短波の無線通信が届きにくくなったり、衛星測位の位置の誤差が大きくなったりします。人工衛星の不具合や、高緯度の国では送電への影響が問題になることもあります。一方、地上で暮らしている人の体に直接害が出ることは基本的にないとされています。

太陽周期と、日本に残る赤い空の記録

太陽の活動には、およそ11年の周期があります。黒点が多く見られる時期(極大期)には、大きなフレアやCMEも起きやすくなります。ただし、極大期だけでなく、そこから活動が下がっていく時期にも大きな磁気嵐が起きることがあり、周期だけで「今年は見える」「今年は見えない」と決めつけることはできません。

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日本には、低緯度オーロラと考えられる記録がいくつも残っています。

時代 記録 内容のあらまし
飛鳥時代 『日本書紀』推古天皇28年(620年) 空に雉(きじ)の尾のような赤い気が現れたという記述。日本最古のオーロラの記録とされる
鎌倉時代 藤原定家の日記『明月記』 北の空に現れた「赤気」を書き残している
江戸時代 明和7年(1770年)の赤気 各地で記録され、京都で描かれた絵も残っている

昔の記録では、オーロラは「赤気(せっき)」と呼ばれることが多く、不吉なしるしとして恐れられたこともありました。赤い光が扇のように広がり、その中に白い筋が立つ様子を描いた江戸時代の絵は、現代の低緯度オーロラの写真とよく似ています。こうした古い記録は、昔の太陽活動を調べる研究にも使われています。

近年では、2024年5月に起きた非常に大きな磁気嵐のとき、北海道をはじめとする各地で、北の空の赤い光が写真に写ったことが報じられました。多くの人がスマートフォンでも赤い空を撮影できたことで、低緯度オーロラが身近な話題になりました。

宇宙天気予報とKp指数の読み方

オーロラを見るために役立つのが、宇宙天気予報です。日本では情報通信研究機構(NICT)が、太陽の活動や地磁気の状態、今後の見通しを公開しています。海外の機関も、太陽風の観測値やオーロラの出現予測を公開しています。見方や指標は変わることがあるので、最新の情報は各機関の公式サイトで確かめてください。

予報や解説でよく出てくる言葉を、おおまかに整理しておきます。

  • Kp指数: 地球全体の地磁気の乱れの大きさを、0から9までの数字で表したものです。3時間ごとに出され、数字が大きいほど乱れが大きいことを示します。数字が1増えるごとに乱れはかなり大きくなる、と考えると感覚がつかみやすくなります。
  • 太陽風の速度と密度: 地球の手前にある観測衛星が測っている、太陽風の速さと濃さです。速く濃い太陽風が来ると、磁気嵐が強まりやすくなります。
  • 磁場の向き(Bz): 太陽風が運ぶ磁場の南北の向きです。南向きが強く続くと、オーロラが出やすくなります。
  • CMEの到着予測: 太陽で起きた噴出が、いつごろ地球に届きそうかの見通しです。数時間から半日ほどのずれはよくあります。

北極圏のオーロラ観光では、Kp指数が3〜4程度でも十分に見られることがあります。一方、日本で見えるのは、目安としてKp指数が8以上になるような、まれな大きな磁気嵐のときです。それでも、磁気嵐が強まる時間帯が日本の昼間に当たれば、夜には収まっていることもあります。

見に行くか判断するときの確認(大きなCMEが地球の方向に出たか、到着の見通しが日本の夜に重なるか、Kp指数が大きく上がっているか、磁場の南向きが続いているか、北の空が晴れる予報か)
一つの数字だけで決めず、いくつかを合わせて見る。
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予報を見るときに勘違いしやすいこと

宇宙天気の情報を見始めた人がつまずきやすい点を、いくつか挙げておきます。

まず、Kp指数は「これから」ではなく「過ぎた3時間」の乱れを表すのが基本です。予報の値と、観測にもとづく値が並んで表示されていることがあるので、どちらを見ているのかを確かめます。いま空で何が起きているかを知りたいときは、Kp指数よりも、太陽風の速さや磁場の向きの観測値のほうが早く変化をとらえます。

次に、「大きなフレアが起きた」というニュースだけでは、オーロラが見えるとは限りません。フレアが太陽の端のほうで起きた場合や、CMEが地球の方向に向かっていない場合は、地球の磁場はほとんど乱れません。ニュースを見たら、CMEが地球の方向へ出たか、到着の見通しが出ているかを確かめるのが次の一歩です。

最後に、海外のオーロラ予報の地図は、高緯度の地域で見えるかどうかを示すことが多く、日本付近の表示は参考程度に見ておくのが無難です。日本で見えるのは、そうした地図でも予想の範囲がかなり南まで広がるような、特別な夜に限られます。

実際には、「数日前に大きな噴出のニュースを見る」「到着の見通しを追う」「当日の夜に観測値と北の空の天気を確かめて出かける」という段取りになります。SNSで先に北の地域の写真が出始めることもあり、それを合図に空を確かめるのも一つの方法です。

次のページへ見に行く場所と時間の選び方
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  1. 秋の戸口に並ぶかぼちゃの明かりとかぶ、麦束
  2. 資料を手に落ち着いて話し合う二人
  3. ノートパソコンと資料、外付け記憶装置がある机
  4. 冬の木で越冬する卵のうやミノムシ、テントウムシ
  5. 青い折り鶴と三角に折った紙、無地の折り紙