低緯度オーロラのしくみ|日本で赤く見える理由と、磁気嵐・宇宙天気予報の読み方
見に行く場所と時間の選び方
低緯度オーロラは北の地平線の近くに出るので、場所選びがほとんどすべてといってもいいほど大切です。ポイントは三つあります。

一つ目は、北の方角が低い所まで開けていることです。北側に山や建物、木があると、肝心の低い空が隠れてしまいます。北に向いた海岸や、北側が見渡せる高台、広い畑や湖のほとりなどが向いています。方位はスマートフォンのコンパスで確かめておきます。
二つ目は、北の空が暗いことです。北に町の明かりがあると、空がぼんやり明るくなり、淡い赤い光がまぎれてしまいます。地図で、観測する場所から北の方向に大きな町がないかを確かめておくとよいでしょう。月が明るい夜も、淡い光は見えにくくなります。
三つ目は、天気です。北の空の低い所に雲がかかっていると見えません。雲の動きは天気予報の雲の予想や、気象衛星の画像で確かめます。低い空の雲の見分け方は、雲の種類の見分け方も参考になります。
時間帯は、磁気嵐が強まっているときであれば、日没後に空が十分暗くなってから夜明け前までのどこでも可能性があります。ただし、磁気嵐の強さは数十分から数時間単位で上下するので、一度見えなくても、しばらく待つと再び光ることがあります。
夜の観察は冷え込みが強く、暗い道での事故も起こりやすくなります。立ち入りが禁止された場所や私有地には入らず、車を止める場所や足元に気をつけてください。寒い時期は防寒具と温かい飲み物を用意し、無理をせずに切り上げましょう。
北の空を眺めながら待つあいだは、冬の星座を探すのもおすすめです。北の空にはカシオペヤ座や北斗七星が見え、目印にもなります。星の探し方は、冬の星座の見つけ方でも紹介しています。
写真に写すための設定の目安
低緯度オーロラは、肉眼よりカメラのほうがはっきり写ることがよくあります。人の目は暗い所では主に明るさを感じる細胞で物を見ていて、この細胞は赤い光をあまり感じません。そのため、肉眼では「なんとなく白っぽく明るい」程度でも、カメラで数秒以上露光すると、赤い色がしっかり写ります。見に行ったら、肉眼で確かめるだけでなく、まずは北の空を1枚撮ってみるのがおすすめです。
撮影の基本の設定を、目安としてまとめます。機材や空の明るさで変わるので、何枚か試しながら合わせてください。
| 項目 | 一眼・ミラーレスの目安 | スマートフォンの目安 |
|---|---|---|
| 固定 | 三脚にしっかり固定する | スマートフォン用の三脚や台に置く |
| レンズ・画角 | 広角で北の低い空と地上の景色を入れる | 標準か広角のカメラを使う |
| ピント | 手動にして明るい星に合わせる | 自動でよいが、星や遠くの明かりで合わせる |
| 明るさ | 絞りは開け気味、ISO感度は1600〜6400程度から試す | 夜景モードや長時間の撮影モードを使う |
| シャッター速度 | 5〜20秒程度から試す | 機種の夜景モードに任せる |
| その他 | シャッターはセルフタイマーかリモコンで切る | 画面の明るさを下げ、手で触れずに撮る |

撮った写真の画面を見るときは、目が暗さに慣れた状態を崩さないように、画面の明るさを下げておきます。地上の景色を少し入れておくと、空の低い所に光が出ていることがわかりやすく、記録としても価値が上がります。撮影した日時と場所をメモしておくと、後で予報の値と見比べることができます。
よくある失敗と直し方
- 星がにじんで写る: ピントが合っていないことがほとんどです。オートフォーカスは暗い空では迷いやすいので、手動にして、明るい星を画面上で拡大しながら、点がいちばん小さくなる位置に合わせます。レンズの目盛りの無限遠の位置は、ぴったり合っていないこともあります。
- 星が線のように流れる: シャッターを開けている時間が長すぎるか、三脚が揺れています。秒数を短くしてその分ISO感度を上げるか、風の当たらない場所に三脚を据え直します。
- 全体が白っぽく明るい: 露光が多すぎるか、近くの明かりが入っています。秒数を短くするか、ISO感度を下げ、街灯や車のライトが入らない向きを探します。
- レンズが曇る: 冷え込んだ夜は、レンズに露や霜が付きやすくなります。こまめに確かめ、柔らかい布でそっとふき取ります。暖かい車内と外を行き来すると、温度差で曇りやすくなるので気をつけます。
- 電池がすぐ切れる: 寒さで電池の持ちが悪くなります。予備の電池をポケットなどに入れて温めておき、交互に使うと長く撮影できます。
オーロラと見間違えやすい光
北の空の低い所が明るく写ったからといって、すぐにオーロラとは限りません。見間違えやすい光をいくつか知っておくと、落ち着いて判断できます。
- 町の明かり: 遠くの町の明かりが空や雲を照らすと、地平線の近くがオレンジ色に明るく写ります。オーロラの赤と違い、方角と色がいつも同じで、時間がたっても変わりません。
- 漁火(いさりび)の反射: 海の近くでは、イカ釣り漁船などの強い明かりが雲を照らし、明るく写ることがあります。海の方向の雲の下側だけが明るいときは、この可能性があります。
- 大気光: 夜空そのものが上空の大気の発光でわずかに光っている現象です。長く露光すると、空全体にうっすら緑や赤のむらが写ることがあり、オーロラと区別しにくいことがあります。
- 夕焼けや明け方の名残: 日没直後や夜明け前は、北西や北東の低い空に太陽の光の名残が写ることがあります。
オーロラかどうかを見分ける手がかりは、時間による変化です。何分かおきに同じ構図で撮り、赤い光の広がりや明るさが変わったり、縦の筋が現れたり消えたりしていれば、オーロラの可能性が高くなります。そのときの宇宙天気の観測値で磁気嵐が起きていたかを確かめるのも、確かな手がかりになります。同じ夜に、離れた場所でも同じ方角に赤い光が写っていたかを見比べる方法もあります。
月明かりの強さで写り方が変わることもあるので、出かける夜の月の形を確かめておくと準備がしやすくなります。月の満ち欠けのしくみは、月の満ち欠けのしくみで詳しく紹介しています。
まとめ
低緯度オーロラは、大きな磁気嵐のときに、遠くの高い所で光る赤い部分が北の空の低い所にのぞいて見えるものです。緑のカーテンではなく、ぼんやりとした赤い光であること、肉眼よりカメラのほうがはっきり写ることを知っておくだけでも、見つけられる可能性は大きく変わります。
最初の一歩としては、宇宙天気予報のページを一度開き、Kp指数と太陽風の観測値がどこに載っているかを確かめておきましょう。あわせて、家の近くで北の方角が低くまで開けていて、北に大きな町の明かりがない場所を一つ探しておくと、大きな磁気嵐の知らせが来たときに、すぐに北の空を撮りに出かけられます。
よくある質問
日本でオーロラが見られるのは北海道だけですか?
北海道で見られることが多いものの、非常に大きな磁気嵐のときには本州の各地でも、北の低い空の赤い光が写真に写った例があります。どこで見えるかは磁気嵐の強さと、北の空の暗さや見通しで大きく変わります。
低緯度オーロラは肉眼でも赤く見えますか?
強く光ったときは肉眼でも赤みがわかることがありますが、多くはうっすらとした白っぽい明るさにしか見えません。人の目は暗い場所で赤い光を感じにくいためで、カメラで長く露光すると赤い色がはっきり写ることがよくあります。
オーロラが出る日は前もってわかりますか?
太陽で大きな噴出が起きたことは観測でわかるため、数日前から「磁気嵐が起こるかもしれない」という見通しは出ます。ただし、地球に届いたときの磁場の向きなどで強さが変わるため、日本で見えるかどうかは直前まで確実にはわかりません。
磁気嵐は人の体に影響がありますか?
地上で暮らしている人の体に、磁気嵐が直接害を与えることは基本的にないと考えられています。影響が出やすいのは、人工衛星や無線通信、衛星測位などの技術のほうです。
スマートフォンでもオーロラは写りますか?
夜景モードや長めの露光ができる機種なら、明るい低緯度オーロラは赤い光として写ることがあります。手持ちでは揺れやすいので、スマートフォン用の三脚や台に固定し、北の低い空を広めに入れて撮るのがおすすめです。










コメント
まだコメントはありません。最初の感想をどうぞ。