文章の推敲のしかた|時間の置き方、直す順番、ねじれた文と重複表現の見つけ方
語句を直す
文の形が整ったら、言葉の選び方を見ていきます。この段階は、検索の機能を使うと効率よく進められます。
重複表現を削る
同じ意味の言葉を重ねた表現は、気づかないまま使われがちです。
| 重複した表現 | 直した形 |
|---|---|
| まず最初に | まず、または最初に |
| 一番最後 | 最後 |
| 後で後悔する | 後悔する |
| まだ未定です | 未定です |
| 約10分ほど | 約10分、または10分ほど |
| 各支店ごとに | 各支店で、または支店ごとに |
| 過半数を超える | 過半数に達する、または過半数を占める |
意味の薄い言葉を削る
次の言葉は、なくても意味が変わらないことが多いので、文書全体を検索して一つずつ確かめます。
- 「〜ということ」「〜というもの」: 「確認するということが大切です」は「確認が大切です」にできます。
- 「〜することができます」: 「参加することができます」は「参加できます」で足ります。
- 「〜の方(ほう)」: 「資料の方をお送りします」は「資料をお送りします」にします。
- 「〜と思います」: 事実や決定事項に使うと、自信がないように読めます。「開催したいと思います」は「開催します」と書けないか検討します。
- 「非常に」「とても」: 程度の言葉が続くと、かえって説得力が薄れます。可能なら具体的な数字や例に置き換えます。
敬語の重ねすぎを整える
ていねいに書こうとすると、敬語を重ねて文が長くなることがあります。「ご確認していただく」は「ご確認いただく」で足り、「拝見させていただきました」は「拝見しました」で十分です。「させていただく」は相手の許可や恩恵を受ける場面で使う言い方なので、一通のメールに何度も出てきたら、「いたします」に置き換えられないか考えます。
表記をそろえる
「問い合わせ」と「問合せ」、「サーバ」と「サーバー」、「1つ」と「一つ」のように、一つの文書の中で表記が混ざると、読み手に雑な印象を与えます。どちらが正しいかより、そろっていることが大切です。
社内や提出先に表記の決まりがあればそれに従い、なければ最初に使ったほうに合わせます。よく使う語を検索して確かめるのが確実です。名前や固有名詞は、書き間違えると失礼になるだけでなく、誤った情報にもなります。人名、社名、製品名は必ず元の資料と一文字ずつ照らし合わせます。

日付と曜日の組み合わせは、カレンダーで必ず確かめます。「11月6日(金)」のように曜日を添えておくと、書き手も読み手も間違いに気づきやすくなります。
見え方を変えて読み直す
時間を置けないとき、あるいは時間を置いても誤りが見つからないときは、文章の見え方を変えます。書いたときと同じ画面で同じように読むと、書いたときの記憶が呼び起こされやすいためです。

声に出して読む
音読は最も手軽で効果のある方法の一つです。声に出すと文字を飛ばしにくくなり、助詞の抜けや誤字に気づきます。また、息が続かない文は長すぎる文であり、読みにくい文は語順に問題のある文だと体で分かります。
人前で声が出せないときは、小さな声で口だけ動かすだけでも効果があります。読み上げ機能のあるソフトで自分の文章を読ませて耳で聞く方法も有効で、読み間違えられる箇所は、漢字や区切りに問題があることもあります。
印刷する、画面を変える
画面で見落とした誤りが、紙に印刷すると見つかることはよくあります。余白に書き込みができるので、構成の検討にも向いています。
印刷しないときは、次のように見た目を変えるだけでも効果があります。
- 文字の大きさや書体を変える
- スマートフォンなど別の端末で開く
- 行の幅を変えて、改行の位置をずらす
- 別のソフトやプレビュー画面で開く
後ろから読む
誤字を探すときに特に役立つのが、文章を最後の文から一文ずつ逆の順に読む方法です。話の流れが切れるので、内容に引き込まれず、文字そのものに目が行きます。誤字の段階だけに使う方法で、構成の確認には向きません。
場面ごとに推敲の深さを変える
すべての文章に同じ手間をかける必要はありません。誤ったときの影響の大きさと、読み手の人数で判断します。

チャットや社内の短い連絡なら、宛先と要点、数字を確かめれば十分です。社外へのメールでは、さらに宛名、敬語、添付を確かめます。書き方の基本はビジネスメールの書き方にまとめています。
応募書類、提案書、公開する記事のように、やり直しがきかないものや読み手が多いものは、段階を分けて読み、できれば他の人にも見てもらいます。
5分しかないときの優先順位
急ぎの文章で5分しか取れないときは、見る場所を絞ります。優先する順番は次のとおりです。
- 宛先、宛名、件名
- 最初の数行で結論か用件が分かるか
- 日付、金額、数字、固有名詞
- 添付やリンク
- 全文を一度だけ、小さな声で読む
語句の言い回しは、時間があれば直す程度に考えます。誤りが大きな問題につながるのは、たいてい宛先や数字のほうだからです。
やめどきを決める
もう一つ大切なのが、やめどきです。直すたびによくなっているのかどうか分からなくなったり、前の表現に戻したくなったりしたら、それは手を止める合図です。推敲に終わりはないと言われますが、仕事の文章には期限があります。目的が果たせていて、読み手が迷う箇所がなければ、そこで終えて提出します。
他の人やツールの力を借りる
自分一人の推敲には限界があります。他の人に読んでもらえるなら、それが最も確実です。
読んでもらうときの頼み方
「見ておいてください」とだけ頼むと、相手はどこを見ればよいか分からず、誤字を一つ二つ指摘して終わることがあります。次のように具体的に頼みます。
- 誰に何を伝える文章なのかを最初に説明する
- 「結論が分かるか」「説明が足りない箇所はないか」と、見てほしい点を絞る
- 途中で読むのをやめたくなった場所を教えてもらう
指摘を受けたら、言い返す前にまず受け止めます。読み手がそこで迷ったのは事実です。直し方は相手の提案どおりでなくてもかまいませんが、迷った箇所はたいてい直す価値があります。
校正ツールやAIとの付き合い方
ワープロソフトの校正機能や校正の専門サービス、対話型のAIは、誤字や表記ゆれ、長すぎる文を見つける補助として役に立ちます。自分の文章の読み返しで見落としたものを拾ってくれるので、最後の段階で使うと効果的です。
一方で、限界も知っておく必要があります。
ツールの指摘は正しいとは限りません。もともと正しい表現を誤りとして指摘することがあり、AIの書き直しは、内容を少し変えてしまったり、ありもしない事実を加えたりすることがあります。提案は一つずつ確かめ、事実や数字は元の資料で確認してください。社外秘の内容を外部のサービスに入力してよいかどうかは、勤め先の決まりを確かめましょう。
ツールは書き手の目的を知りません。文章が正しいかどうかは見られても、その文章が読み手にとって必要かどうかは書き手にしか判断できません。全体と段落の判断は自分で行い、語句と誤字の段階で補助に使う、という分担が現実的です。
自分の癖の一覧を作る
他の人の指摘やツールの結果を、その場限りにしないことも大切です。指摘された内容を手元に書き留めていくと、自分の癖が見えてきます。一文が長くなる、「〜と思います」が多い、特定の漢字を誤変換しやすい、といった傾向です。
人によって、繰り返す誤りはそれほど多くありません。十項目ほどの一覧ができたら、推敲の最後にその項目だけを検索して確かめます。回を重ねるごとに同じ指摘が減っていき、書いている段階で避けられるようになります。自分専用の確認表は、一般的な文章術の本より役に立つことがあります。
まとめ
推敲がうまくいかない原因の多くは、読む力ではなく手順にあります。書き手は内容を知っているので、書いた直後の文章を客観的に読むことはできません。時間を置き、全体、段落、文、語句、誤字の順に一段階ずつ見て、声に出したり印刷したりして見え方を変えると、見落としはかなり減ります。
最初の一歩として、次に書くメールか報告書で、送る前に一度だけ声に出して読んでみてください。そこで引っかかった文を二つに分ける。これだけでも読みやすさは変わります。慣れてきたら、締め切りの前日に書き上げて一晩置く習慣をつくると、推敲にかける時間そのものが変わっていきます。
よくある質問
推敲と校正の違いは何ですか?
推敲は、伝える内容や順序、言い回しをよりよくするために書き手が練り直す作業です。校正は、誤字脱字や表記の誤りを見つけて正す作業を指します。内容の事実関係や矛盾を確かめる作業は校閲と呼ばれます。
書いてからどれくらい時間を置けばよいですか?
長い文章なら一晩置くのが理想です。時間がないときでも、別の仕事を15分ほど挟むと読み手に近い目で見やすくなります。短いメールであれば、数十秒置いて読み返すだけでも効果があります。
自分の文章の誤字が見つからないのはなぜですか?
書いた本人は内容を知っているため、読んでいるつもりで頭の中の文章をなぞってしまうからです。文字の形を変える、印刷する、声に出す、後ろの文から読むなどで、見え方を変えると見つけやすくなります。
推敲はどこまでやれば終わりですか?
目的が果たせて、読み手が迷う箇所がなくなれば終わりと考えます。直すたびによくなっているか分からなくなったら、一度手を止める合図です。提出物の期限と重要度に合わせて、かける時間を先に決めておくと切り上げやすくなります。
校正ツールやAIに任せてもよいですか?
誤字や表記ゆれを拾う補助としては便利です。ただし、指摘がいつも正しいとは限らず、内容の事実関係や書き手の意図までは判断できません。提案は一つずつ確かめ、最後は自分の目で読み直します。










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