文章の推敲のしかた|時間の置き方、直す順番、ねじれた文と重複表現の見つけ方
直す順番は大きいところから小さいところへ
推敲でよくある失敗は、頭から順に読みながら語句を直していくことです。この方法だと、ていねいに整えた段落を、あとで構成を見直したときに丸ごと削ることになり、時間が無駄になります。
順番は、全体、段落、文、語句の順です。大きいものを先に決めてから、小さいものに進みます。

誤字の確認を最後にするのは、途中の修正で新しい誤りが入りやすいからです。文を直したときに助詞だけ前のまま残る、削った語の一部が残る、といった誤りは、修正の直後に起きます。誤字の確認を先に済ませても、そのあとの修正で新しい誤字が生まれるので、やり直しになります。
長い文章では、読み返す回数を段階の数だけ用意します。「一回目は構成だけ、二回目は文だけ、三回目は誤字だけ」と決めて読むと、それぞれの見落としが減ります。短い文章では二回で十分です。
全体を読み手の目で確かめる
最初の段階で確かめるのは、言葉遣いではなく、読み手がこの文章を読んで何をすればよいか分かるかどうかです。
三つの問いで読む
文章の冒頭に戻り、次の三つを自分に問いかけます。
- この文章は誰に向けて書かれているか
- 読み終えた人にどうしてほしいのか(知ってほしい、決めてほしい、動いてほしい)
- その答えは最初の数行で分かるか
三つ目が「いいえ」のときは、結論を前に移すだけで文章が大きく変わります。書き手は考えた順に書くため、経緯のあとに結論が来がちですが、読み手が知りたいのはまず結論です。組み立ての型としてはPREP法とは?使い方と例文が参考になります。
段落を削る判断
次に、段落ごとに「この段落がなくても目的は果たせるか」と考えます。なくても伝わるのであれば、たとえ自分の気に入った部分でも削る候補です。
消すのに抵抗があるときは、本文から切り取って別のファイルに移しておきます。完全に消すわけではないので決断しやすく、あとで別の文章に使えることもあります。
見出しのある文章なら、見出しだけを順に読んでみます。見出しだけで話の流れが分かれば、構成はおおむねよい状態です。
段落の順序を確かめるには、各段落の内容を一行にまとめ、並べて読む方法があります。一行要約が並んだ状態で話がつながらなければ、順序か、段落の間の説明に問題があります。要約のしかたは文章を短くまとめる要約の書き方で詳しく説明しています。
読み手が知らない言葉を探す
社内の略語、部署の呼び名、案件の通称などは、書き手には当たり前でも読み手に通じないことがあります。社外の人や異動してきたばかりの人が読むと考えて、説明なしで使っている言葉を探します。「例の」「先日の」「あの件」のように、指すものが読み手の記憶に頼っている言葉も、この段階で具体的な名前に置き換えます。
一文を直す
全体の形が定まったら、一文ずつ見ていきます。ここでよく見つかるのは、長すぎる文、ねじれた文、かかり先の分かりにくい文の三つです。
長い文を分ける
一文が長くなる原因の多くは、「〜ですが、〜ので、〜のため」のように文を接続の言葉でつないでいることです。三行を超える文があったら、まず分けられないかを考えます。
- 直す前: 来週の会議は予定どおり開催しますが、資料の準備が遅れているため、当日の配布になる可能性があるので、事前に確認したい方はご連絡ください。
- 直した後: 来週の会議は予定どおり開催します。資料の準備が遅れているため、当日の配布になるかもしれません。事前に確認したい方はご連絡ください。
分けると読点も自然に減ります。読点の位置に迷う文は長すぎることが多いので、読点(、)の打ち方の基準も合わせて確かめてみてください。
主語と述語のねじれを直す
ねじれとは、文の始まりと終わりが対応していないことです。書いている途中で文の組み立てが変わると起こります。
- 直す前: 私の目標は、来年までに資格を取りたいと思っています。
- 直した後: 私の目標は、来年までに資格を取ることです。
「目標は」で始めたら「〜ことです」で受ける必要があります。もう一つ、仕事の文書でよく見る形を挙げます。
- 直す前: この製品の特徴は、軽くて持ち運びやすいです。
- 直した後: この製品の特徴は、軽くて持ち運びやすいことです。
ねじれの確かめ方は単純です。文の途中を取り除いて、主語と述語だけをつないで読みます。「目標は、思っています」と読めば、おかしいと分かります。修飾語が長いと気づきにくいので、長い文ほどこの確認が役に立ちます。
かかり先をはっきりさせる
「美しい水車小屋の娘」のように、修飾語がどの言葉にかかるか二通りに読める文があります。美しいのが水車小屋なのか娘なのかが分かりません。この場合は、修飾語をかかる言葉のすぐ前に置く、語順を変える、文を分けるといった方法で直します。
もう一つ確かめたいのが、「それ」「これ」などの指示語です。指すものが一つに定まらない指示語は、具体的な言葉に置き換えます。指示語を一度その言葉に置き換えて読んでみて、意味が通らないときは、書き手の頭の中でしかつながっていません。
受け身と二重否定を減らす
「〜されることが検討されています」のような受け身は、誰が行うのかを隠してしまいます。仕事の文書では、責任の所在が分からない文になりがちです。
- 直す前: 来月からの運用開始が決定されました。
- 直した後: 総務部が、来月からの運用開始を決定しました。
「〜しないわけではない」のような二重否定も、読み手に一度考え直す手間をかけます。
- 直す前: 対応できないことはありません。
- 直した後: 対応できます。ただし、納期は相談させてください。
二重否定を使うのは、たいてい言い切るのをためらっているときです。ためらっている理由が条件や留保にあるなら、それを別の文として書くと、読み手に親切な文章になります。
文末の単調さを整える
「〜です。〜です。〜です。」と同じ文末が続くと、内容に問題がなくても読みにくく感じられます。「〜ます」「〜でしょう」のように文末を変えたり、短い文を挟んだり、文の組み立てそのものを変えたりして調子を整えます。ただし、文末を変えること自体が目的になると不自然になります。三回以上同じ形が続いたときに考える程度で十分です。










