成人の日の由来|元服から続く大人の儀式、1月第2月曜になった経緯と18歳成人後の式
戦後に生まれた成人式|蕨町の青年祭
敗戦の翌年、若者を励ますための集まり
いまのような成人式の始まりとしてよく挙げられるのが、1946年11月に埼玉県の蕨町(現在の蕨市)で開かれた「青年祭」です。敗戦の翌年で、物資も少なく、将来に希望を持ちにくい時期でした。地元の青年団が中心になり、次の時代を担う若者を励まそうと、成年に達した人を招いて式典を開いたとされています。
蕨市は現在もこの由来を伝えており、市内には「成年式発祥の地」の記念碑があります。この集まりの考え方が全国に広まり、2年後の祝日の制定につながったといわれています。
祝日になり、全国の自治体へ広がった
1948年に祝日法ができると、成人の日は1月15日と定められました。その後、各地の自治体が成人の日に合わせて式典を開くようになり、成人式は全国的な行事になっていきます。
古い元服は家ごとに時期を選び、一人ずつ行う儀式でした。一方、戦後の成人式は、同じ年に生まれた若者を地域がまとめて祝う形です。行政が主催し、首長のあいさつや記念品の贈呈があり、旧友と再会する場にもなる。この「同窓会を兼ねた地域の式典」という性格は、戦後に新しく生まれたものです。
成人式の起源には、各地にさまざまな説や先行例があります。この記事では、一般によく知られている蕨町の青年祭を紹介しています。
1月15日から第2月曜へ|日付が動いた理由
なぜ1月15日だったのか
祝日法が成人の日を1月15日にした理由は、法律の中には書かれていません。よく挙げられるのは、1月15日が小正月にあたり、かつて元服をこの頃に行うことがあったという説です。
小正月は、旧暦で年が明けて初めての満月の頃にあたる行事の日で、どんど焼きや小豆粥など、年の初めを祝う習わしが集まっていました(詳しくは小正月とどんど焼きで紹介しています)。年の改まりとともに人の立場も改める、という考え方は自然なもので、成人を祝う日として選ばれた理由の一つと考えられています。ただし、はっきりした根拠が残っているわけではないので、「そういう説がある」と受け止めておくのが安全です。
ハッピーマンデー制度で月曜日に
成人の日は、2000年から1月の第2月曜日に変わりました。祝日の一部を月曜日へ移して3連休を増やす、いわゆるハッピーマンデー制度によるものです。同じ制度で、海の日、敬老の日、体育の日(現在のスポーツの日)も月曜日へ移りました。
月曜日に固定されたことで、成人の日の日付は毎年変わるようになりました。第2月曜日は、最も早い年で1月8日、最も遅い年で1月14日になります。そのため、現在の成人の日が1月15日になることはありません。たとえば2027年は1月11日です。
| 年代 | 成人の日の日付 | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 1946年 | (祝日なし) | 蕨町で青年祭が開かれる |
| 1948年〜1999年 | 1月15日 | 祝日法で成人の日が定められる |
| 2000年〜 | 1月の第2月曜日 | ハッピーマンデー制度で月曜日へ移る |
| 2022年〜 | 1月の第2月曜日 | 成年年齢が18歳になる |
日付が動いて変わったこと
月曜日になり連休の一部になったことで、帰省して式に出やすくなった人もいれば、日付で覚えられなくなったと感じる人もいます。自治体の多くは、連休の日曜日か月曜日に式を開くようになりました。
小正月との結びつきは、日付が動いたことで薄れました。1月15日を成人の日として覚えている世代と、毎年変わる月曜日しか知らない世代とでは、「成人の日」という言葉から思い浮かべる日が違うことがあります。家族で話題にすると、思いのほか世代の違いが見えて面白いかもしれません。
18歳成人と「二十歳の集い」
成年年齢が18歳に下がった
2022年4月1日に改正民法が施行され、成年年齢は20歳から18歳に引き下げられました。18歳になると、親の同意がなくても携帯電話の契約やローンの申し込み、部屋を借りる契約などが自分でできるようになります。その分、契約の責任も自分で負うことになるため、消費者トラブルへの注意が呼びかけられています。
一方で、飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢の制限は、健康や依存への配慮から20歳のまま残されました。「18歳で大人」といっても、すべての決まりが18歳に揃ったわけではありません。
18歳からの契約で気をつけたいこと
成年になる前は、未成年者が親の同意なしに結んだ契約を、あとから取り消せる仕組みがありました。18歳で成年になると、この取り消しの仕組みは使えなくなります。高校を卒業して一人暮らしや進学で生活が変わる時期に、悪質な勧誘に狙われやすいことが心配されているのはこのためです。
よく注意が呼びかけられているのは、「すぐもうかる」という副業や投資の話、SNSで知り合った人からの勧誘、無料をうたうお試しが実は定期購入だった、といった例です。契約の前には、いったん持ち帰って考える、内容を家族や信頼できる人に見せる、という二つを習慣にしておくと防ぎやすくなります。困ったときは、消費者ホットライン「188」で近くの消費生活センターなどに相談できます。

多くの地域は20歳を対象に続けている
成年年齢が下がったあとも、多くの自治体は成人式の対象を20歳のままにしています。理由としてよく挙げられるのは、18歳の1月が大学入試や就職の準備と重なること、高校生のうちは式の準備や晴れ着の用意が負担になりやすいことなどです。
そのうえで、式の名称を「二十歳の集い」「二十歳を祝う会」などに改める自治体が増えました。法律上の成人と式の対象がずれたため、「成人式」という名前のままでは誤解を招くと考えられたからです。少数ですが、18歳を対象にした自治体もあります。
対象になる人の決め方
対象者の決め方も、自治体ごとに違います。よく見られるのは、学年で区切る方法です。たとえば「その年度に20歳になる人」として、前の年の4月2日からその年の4月1日までに生まれた人を対象にします。この場合、式の時点ではまだ19歳の人も含まれます。
住民票のある地域で案内が届くのが一般的ですが、進学や就職で引っ越した人は、出身地の式に出られるかどうかを確かめる必要があります。出身校の区域の会場に参加できる地域や、申し込みをすれば住民票がなくても参加できる地域もあります。決まりは毎年見直されることがあるので、早めに自治体の案内を確認してください。
地域ごとに違う式のかたち
式の中身も、地域によってさまざまです。市長などのあいさつと記念品の贈呈を中心にした短い式典もあれば、新成人が実行委員になって、出し物や恩師からのメッセージ映像を企画する地域もあります。中学校の区域ごとに会場を分け、同級生と再会しやすくしているところもあります。
日程も一律ではありません。雪で移動が難しい地域や、進学や就職で地元を離れる人が多い地域では、帰省する人が多いお盆や5月の連休に式を開くことがあります。「1月に式がない」のは珍しいことではないので、出身地の式に出たい場合は、住んでいる地域と出身地の両方の日程を見比べておくと予定を立てやすくなります。
振袖と羽織袴|晴れ着に込められた意味
振袖は未婚の女性の正装
成人式で女性がよく着る振袖は、袖が長く垂れた着物で、未婚の女性の第一礼装とされています。袖の長さによって、大振袖、中振袖、小振袖と呼び分けることがあり、成人式では中振袖や大振袖が多く選ばれます。

振袖の長い袖には、昔から袖を振って思いを伝えたという話や、厄を払うといった言い伝えもあります。ただし、これらは由来としてはっきりしないものも含みます。確かなのは、戦後に成人式が晴れの場として定着する中で、振袖を着る習慣が広く根づいたということです。
男性の紋付羽織袴
男性の正装としては、黒の紋付羽織袴があります。家紋を入れた黒の着物と羽織に、縞の袴を合わせるのが格式の高い形です。近年は、スーツで出席する人が多い一方で、色や柄のある羽織袴を選ぶ人もいます。
着物は着付けの時間や移動の手間がかかります。式の当日は着付けや髪のセットが早朝になることも多く、雪や雨の日は足元にも注意が必要です。レンタルや前撮りを使うかどうかは、費用と予定を見ながら家族で相談すると安心です。
| 装い | 主な特徴 | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 振袖 | 未婚の女性の第一礼装。袖が長い | 着付けと髪のセットの予約、寒さ対策 |
| 紋付羽織袴 | 男性の和装の正装 | 着付けの予約、草履での歩き方 |
| スーツ・洋装 | 動きやすく準備がしやすい | 季節に合う上着と靴 |
着物を着るかどうかに正解はありません。家族が持っている着物を受け継いで着る人もいれば、動きやすい洋装で旧友との時間を楽しむ人もいます。本人が当日を気持ちよく過ごせる装いを選ぶことが、いちばん大切です。









