単位のしくみ入門|SI基本単位と接頭語、尺貫法やヤード・ポンドとの換算の考え方
測るときに知っておきたい誤差と有効数字
単位を正しく使えても、測った値そのものにはいつも「誤差」が含まれています。測定の考え方を少し知っておくと、数字との付き合い方が変わります。
誤差はなくせないが、小さくできる
どんなに精密な道具を使っても、測った値は本当の値とわずかにずれます。このずれを誤差といいます。誤差には、目盛りの読み取りのばらつきのように、測るたびに大きくなったり小さくなったりするもの(偶然誤差)と、道具がずれているためにいつも同じ方向にずれるもの(系統誤差)があります。
偶然誤差は、何度か測って平均を取ると小さくできます。系統誤差は何度測っても減らないので、道具の点検や校正で対処します。たとえば、キッチンスケールの表示が、何も載せていないのに0になっていない状態で量ると、すべての値が同じだけずれてしまいます。量る前に風袋(容器)を載せて0に合わせる「風袋引き」は、系統誤差を防ぐための基本的な操作です。料理の計量については計量スプーンと調味料の量り方も参考になります。
目盛りは最小目盛りの10分の1まで読む
定規や温度計のようなアナログの目盛りは、最小目盛りの10分の1まで目で見当をつけて読むのが基本です。1ミリ目盛りの定規なら、「23.4ミリ」のように、0.1ミリの桁まで読み取ります。最後の桁はあくまで推定ですが、それでも測定の情報として意味があります。
目盛りを読むときは、目の位置を目盛りの真上(真正面)に置きます。斜めから見ると、目盛りと物の間にすき間があるときに、読み取った値がずれてしまいます。これを視差といいます。
有効数字で「確かさ」を伝える
有効数字とは、測定で意味のある桁の数のことです。「12.0 cm」と書けば、0.1センチメートルの桁まで確かに測ったことを表し、「12 cm」と書けば、1センチメートルの桁までの測定だったことを表します。数学的には同じ12でも、測定値としては伝えている情報が違うのです。
計算するときは、もとの測定値より細かい桁を答えに書いても意味がありません。たとえば、1ミリ目盛りの定規で測った長さを3で割って「4.33333…cm」と書いても、後ろの桁は測定では裏付けられていないため、適当なところで丸めます。

一歩進んだ単位の楽しみ方
単位の仕組みがわかってくると、身の回りのいろいろなものが違って見えてきます。少し進んだ楽しみ方をいくつか紹介します。
次元で式を確かめる
物理の式を使うとき、両辺の単位がそろっているかを確かめると、計算の間違いに気づけます。たとえば、エネルギー(J)を時間(s)で割ると仕事率(W)になるはずなので、答えの単位がワットになっているかを見れば、式の立て方が正しいかの手がかりになります。この考え方を「次元解析」と呼びます。
自分の体を「ものさし」にする
自分の歩幅や、手を広げたときの親指から小指までの長さ、腕を広げた幅などを一度測っておくと、道具がないときでもおおよその長さを見積もれます。昔の人が体を基準に単位を作った理由が、実感としてわかるはずです。
電子部品の表記を読む
電子部品では、抵抗の値を「4.7kΩ」と書く代わりに「4k7」と書くように、小数点の位置に接頭語を置く表記が使われることがあります。小さな部品に印刷するときに、小数点が消えて読み間違えるのを防ぐための工夫です。部品の表記の読み方は抵抗のカラーコードとコンデンサーの表記で詳しく紹介しています。
よくある勘違いをまとめて確認する
- 「重さ」と「質量」は厳密には別の量です。質量は物そのものの量でキログラムで表し、重さは物にかかる重力の大きさで、本来はニュートンで表します。ふだんの生活では区別しなくても困りませんが、理科の文脈では使い分けます。
- 電力(W)と電力量(Wh)は別のものです。前者は「その瞬間にどれだけ使っているか」、後者は「合計でどれだけ使ったか」です。
- 速さの「km/h」と「m/s」は、3.6倍の関係です。時速36キロメートルは、秒速10メートルです。
まとめ
単位は、量を比べるための共通の基準です。国際単位系(SI)では、秒、メートル、キログラム、アンペア、ケルビン、モル、カンデラの7つを基本単位とし、2019年からはそのすべてが自然界の定数をもとに決められています。キロやミリなどの接頭語、ニュートンやワットなどの組立単位、記号の書き方の決まりを知っておくと、天気予報や電気料金、家電の仕様といった身近な数字が、ずっと読みやすくなります。
最初の一歩として、家にあるキッチンスケールや定規を使って、身近なものを一つ測ってみてください。量る前に表示を0に合わせ、目盛りを真上から読み、最小目盛りの10分の1まで見当をつけて書き留める。それだけで、ふだん何気なく見ていた数字が、確かさを持った「測定値」に変わっていくのを感じられるはずです。
よくある質問
キログラム原器はもう使われていないのですか?
はい。2019年に定義が改められ、キログラムはプランク定数という物理定数の値をもとに決められるようになりました。それまで基準だった国際キログラム原器は、歴史的な資料として保管されています。
「kg」の k はなぜ小文字なのですか?
SI の接頭語は、キロ(k)までの小さいほうは小文字、メガ(M)から上は大文字で書く決まりがあるためです。大文字の K は温度の単位ケルビンの記号なので、「Kg」と書くと誤りになります。
1坪や1合は何メートル法でいくつになりますか?
目安として、1坪はおよそ3.3平方メートル、1合はおよそ180ミリリットルです。1尺は約30.3センチメートルとされ、これらは尺貫法とメートル法の関係から決まっています。畳の大きさは地域によって違うので、「1畳」は換算の基準としては使いにくい点に注意が必要です。
有効数字はふだんの生活でも気にしたほうがよいですか?
料理や日曜大工では厳密に扱う必要はありませんが、「測った値にはどれくらいの確かさがあるか」を意識するのは役に立ちます。たとえば1ミリ目盛りの定規で測った長さを、小数点以下何桁も書いても意味がない、という感覚です。
ヘクトパスカルの「ヘクト」とは何ですか?
ヘクト(h)は100倍を表す接頭語です。1ヘクトパスカルは100パスカルで、気象の分野では気圧を表すときに広く使われています。ふだんはあまり見かけない接頭語ですが、ヘクタール(ha)のヘクトも同じ意味です。











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