感謝祭(サンクスギビング)の由来|1621年の収穫祭から国の祝日になるまでと、七面鳥の食卓
七面鳥が主役になった理由
感謝祭の食卓といえば、何と言っても七面鳥の丸焼きです。アメリカでは感謝祭のことを冗談まじりに「ターキー・デー」と呼ぶこともあるほどです。
北アメリカに暮らしていた鳥
七面鳥はもともと北アメリカに野生で暮らしていた鳥で、先住民の人びとも食べていました。1621年の収穫祭について、移住者の手紙には「鳥」を狩りに出かけたことが書かれています。それがカモやガンだったのか、七面鳥だったのかははっきりしませんが、この地域では秋に野生の七面鳥がとれたことも、別の記録に残っています。
大家族で分けられる大きさ
七面鳥が定番になった理由として、実用的な面もよく挙げられます。
- 一羽が大きく、大人数で取り分けられる
- 鶏のように卵を産ませるために飼い続ける必要がなく、食べるために育てて秋にしめやすかった
- 牛や豚にくらべて、特別な日のごちそうとして一羽丸ごと用意しやすかった
19世紀に祝日化を呼びかけた人たちが、雑誌や本で七面鳥を中心にした感謝祭の食卓を紹介したことも、イメージを決めるうえで大きかったといわれます。「感謝祭には七面鳥」という形は、1621年からそのまま続いてきたというより、19世紀以降に広く定着したものと考えるとよいでしょう。
「ターキー」という名前の不思議
七面鳥は英語で「ターキー(turkey)」といい、国の名前のトルコと同じつづりです。北アメリカの鳥なのにトルコの名前がついているのは、ヨーロッパの人びとが、もとはトルコ方面から入ってきた別の鳥(ホロホロチョウなど)と七面鳥を混同して呼んだためだ、という説明がよく知られています。ただし、名前の由来には諸説あり、はっきりしたことはわかっていません。
日本語の「七面鳥」は、頭からのどにかけての皮膚の色が赤や青などに変わって見えることから、「顔が七つある鳥」という意味でつけられたといわれます。
大統領の「七面鳥の恩赦」
アメリカでは、感謝祭の前に、大統領が1羽の七面鳥を「恩赦」して、食卓に上げずに農場で余生を送らせる行事が毎年ニュースになります。一年に一度のちょっとした冗談のような催しですが、七面鳥がこの祝日の象徴になっていることをよく表しています。
感謝祭の食卓の定番料理
感謝祭の食卓には、七面鳥のほかにも、決まって並ぶ料理がいくつかあります。地域や家庭によって違いはありますが、多くの家庭で見られるものを表にまとめます。

| 料理 | どんなものか | 食卓での役割 |
|---|---|---|
| ローストターキー | 七面鳥を丸ごとオーブンで焼いたもの | 主菜。食卓の中心で切り分ける |
| スタッフィング | パンや野菜、ハーブを合わせた詰め物 | 七面鳥の中に詰めるか、別に焼く |
| グレイビーソース | 焼いたときに出た肉汁で作るソース | 七面鳥やマッシュポテトにかける |
| クランベリーソース | 酸味のある赤い実を煮たソース | 脂のある肉に添えて口直しにする |
| マッシュポテト | ゆでたじゃがいもをつぶしたもの | 付け合わせの定番 |
| さつまいもの料理 | さつまいもを甘く焼いたもの | 甘い付け合わせ。地域差が大きい |
| パンプキンパイ | かぼちゃのフィリングを焼いたパイ | 食後のデザートの代表 |
秋の収穫を集めた食卓
並んだ料理を見ると、かぼちゃ、さつまいも、じゃがいも、クランベリー、トウモロコシなど、秋に収穫される作物が多いことに気づきます。かぼちゃやクランベリー、トウモロコシは北アメリカ原産で、移住者が新しい土地で出会った作物でもあります。感謝祭の食卓は、「この土地の秋の恵み」を一度に並べたものといえます。
パンプキンパイと、南部のペカンパイ
デザートの代表はパンプキンパイです。かぼちゃのピューレに卵や牛乳、砂糖、シナモンやナツメグなどのスパイスを合わせ、パイ生地に流して焼きます。アメリカでは、かぼちゃのピューレの缶詰を使って作るのが一般的です。南部の地域では、ペカンナッツを使ったペカンパイも定番になっています。

残りものを楽しむのも感謝祭のうち
大きな七面鳥は一度の食事では食べきれないことが多く、翌日以降はサンドイッチやスープにして食べるのが定番です。残りものの七面鳥とクランベリーソース、スタッフィングをパンにはさんだサンドイッチを、感謝祭の本番より楽しみにしている人もいるほどです。
感謝祭の一日と、前後の行事
感謝祭の当日とその前後には、食事のほかにも毎年決まった楽しみがあります。
朝のパレードと、午後のフットボール
ニューヨークでは、感謝祭の朝に大きなバルーンが街を進むパレードが開かれ、テレビで全国に中継されます。料理の下ごしらえをしながらパレードを見るのが、感謝祭の朝のおなじみの過ごし方です。午後にはアメリカンフットボールの試合が中継され、食事の前後に家族でテレビを囲む家庭も多くあります。
翌日のブラックフライデー
感謝祭の翌日の金曜日は「ブラックフライデー」と呼ばれ、多くの店が大きな値引きをする、年末の買い物の始まりの日とされています。日本でも近年、この名前を使ったセールが広く行われるようになりました。感謝祭が終わるとクリスマスまでの季節が一気に始まる、という流れが、アメリカの年末の暦の感覚です。クリスマスの由来や飾りについては、クリスマスの由来で詳しく紹介しています。
友人と祝う「フレンズギビング」
近年は、家族とは別に、友人どうしで料理を持ち寄って祝う「フレンズギビング」という言い方も広まっています。実家が遠い人や、留学生、一人暮らしの若い人などが集まって、感謝祭の雰囲気を楽しむ集まりです。
寄付やボランティアの日でもある
感謝祭の時期には、食料を必要とする人のための寄付を集めたり、地域の施設で食事を配るボランティアに参加したりする人も多くいます。「恵みに感謝する日」だからこそ、自分たちの食卓だけでなく、周りの人にも目を向けようという考え方が根づいています。









