Wi-Fi 6・6E・7の違い|規格名の読み方と、ルーター選びで見るべきところ
Wi-Fi 6、6E、7は何が違うのかを、規格名との対応、混雑に強くなるしくみ、6GHz帯の特徴、320MHz幅やMLOの意味から整理します。「AX3000」などの表記の読み方、回線や端末がボトルネックになる例、端末の対応の確かめ方、買い替えの判断基準までまとめました。

ルーターやスマートフォンの箱に書かれた「Wi-Fi 6」「Wi-Fi 6E」「Wi-Fi 7」という表記。数字が大きいほど新しくて速い、ということは分かっても、具体的に何が変わったのか、自分の家で買い替える意味があるのかは分かりにくいものです。さらに「AX3000」「トライバンド」「MLO」といった言葉が並ぶと、比べるのを諦めたくなります。
この記事では、Wi-Fiの規格の番号と正式名の対応から始めて、Wi-Fi 6で混雑に強くなったしくみ、6Eで加わった6GHz帯の性質、Wi-Fi 7の新しい機能を順に見ていきます。そのうえで、製品の表記の読み方、速度を決める「一番遅い区間」の考え方、端末の対応の確かめ方、買い替えの判断基準までを整理します。周波数帯そのものの違いはWi-Fiの2.4GHzと5GHzの違いで詳しく紹介しているので、あわせて読むと理解しやすくなります。
番号の名前と規格名の対応
Wi-Fiの規格には、もともと「IEEE 802.11ax」のような技術的な名前しかありませんでした。数字とアルファベットの組み合わせでは新旧が分かりにくいため、業界団体のWi-Fi Allianceが、世代を表す番号の呼び名を付けるようになりました。それが「Wi-Fi 6」などの名前です。
| 呼び名 | 規格名 | 主な周波数帯 | 特徴の一言 |
|---|---|---|---|
| Wi-Fi 4 | IEEE 802.11n | 2.4GHz・5GHz | 複数アンテナで速度向上 |
| Wi-Fi 5 | IEEE 802.11ac | 5GHz | 5GHz帯で高速化 |
| Wi-Fi 6 | IEEE 802.11ax | 2.4GHz・5GHz | 多くの端末を効率よくさばく |
| Wi-Fi 6E | IEEE 802.11ax | 2.4GHz・5GHz・6GHz | 6GHz帯が使える |
| Wi-Fi 7 | IEEE 802.11be | 2.4GHz・5GHz・6GHz | 広い帯域と複数帯域の同時利用 |
表を見ると分かるように、Wi-Fi 6と6Eは同じ規格名で、違いは6GHz帯を使えるかどうかです。製品の型番に「AX」が入っていればWi-Fi 6系、「BE」が入っていればWi-Fi 7系であることが多いのは、この規格名の末尾から来ています。
新しい規格は古い規格と互換性がある
Wi-Fiの規格は、基本的に古い規格とつながるように作られています。Wi-Fi 7のルーターにWi-Fi 5のパソコンをつなぐことも、Wi-Fi 6のスマートフォンを古いルーターにつなぐこともできます。その場合、通信は両者が対応している規格のうち、古いほうで行われます。
この「低いほうに合わせる」という性質は、買い替えを考えるときにいちばん大事なポイントです。後半で詳しく見ていきます。
Wi-Fi 6で変わったこと|混雑に強くなるしくみ
Wi-Fi 5までは、主に「一台の端末をどれだけ速くするか」に重点が置かれていました。Wi-Fi 6では、スマートフォン、パソコン、テレビ、スマートスピーカーなど、たくさんの端末が同時につながる状況で、全体を効率よく動かすことに力が入れられています。

OFDMA|一度の送信を複数の端末で分け合う
Wi-Fi 5までの方式では、ある瞬間にデータを送れる相手は基本的に一台でした。小さなデータを送るときでも、通り道をまるごと一台が使うため、端末が増えるほど順番待ちが長くなります。
Wi-Fi 6で使われるOFDMAは、通り道を細かい区画に分け、一度の送信で複数の端末にデータを届けられるようにしたしくみです。宅配便にたとえると、一軒ずつトラックを走らせるのではなく、一台のトラックに複数の家の荷物を積んで回るようなものです。メッセージアプリの通知や、スマート家電のちょっとした通信など、小さなデータが多い家庭で効果が出やすくなります。
MU-MIMO|複数のアンテナで同時に送る
複数のアンテナを使って、別々の端末に同時に電波を届けるしくみがMU-MIMOです。Wi-Fi 5でもルーターから端末への方向で使われていましたが、Wi-Fi 6では端末からルーターへの方向でも使えるようになり、同時に扱える端末の数も増えました。
TWT|端末の待ち時間を決めて省電力に
TWT(Target Wake Time)は、ルーターと端末が「次はいつ通信するか」を取り決め、その間は端末の無線を休ませるしくみです。スマートフォンのバッテリーや、電池で動くセンサー類の消費電力を抑えるのに役立ちます。
BSSカラー|近所の電波と見分ける
集合住宅などでは、隣の家のWi-Fiと同じチャネルを使っていることがよくあります。従来は、ほかの電波が聞こえると通信を控えて待つ動きが多く、それが遅さの原因になっていました。BSSカラーは、自分のネットワークの電波に「色」のような目印を付け、関係のない電波であれば必要以上に待たずに済むようにするしくみです。

また、Wi-Fi 6の認証を受けた製品では、新しい暗号化方式のWPA3への対応が求められています。安全性の面でも、世代が進んだといえます。
Wi-Fi 6E|6GHz帯という新しい道
Wi-Fi 6Eの「E」は「Extended(拡張)」の意味で、Wi-Fi 6の機能を、新しく使えるようになった6GHz帯にも広げたものです。日本でも、数年前から6GHz帯の一部がWi-Fiに使えるようになりました。
6GHz帯が混雑しにくい理由
2.4GHz帯は、Wi-Fiだけでなく電子レンジやBluetoothなども使うため、混雑しやすい帯域です。5GHz帯は比較的空いていますが、利用する機器が増え、集合住宅ではチャネルが重なることも珍しくありません。
6GHz帯は、Wi-Fi 6E以降に対応した機器しか使えないため、今のところ利用する機器が少なく、混雑が起きにくい状態です。また、帯域が広いので、データの通り道を広く取る(チャネル幅を広げる)こともしやすくなっています。
届く範囲は狭くなりがち
一方で、周波数が高い電波ほど、壁や床、家具などで弱まりやすい性質があります。6GHz帯は5GHz帯よりもさらにその傾向が強く、ルーターと同じ部屋や、見通しのよい場所では非常に快適でも、壁を何枚も挟んだ部屋では届きにくくなります。
そのため、6GHz帯は「ルーターの近くで使う、通信量の多い端末」に向いています。離れた部屋では、端末やルーターが自動的に5GHz帯や2.4GHz帯に切り替えて使う、という形になることが多いでしょう。置き場所の考え方はWi-Fiルーターの置き場所が参考になります。

6GHz帯を使うための条件
6GHz帯でつなぐには、ルーターと端末の両方がWi-Fi 6E以降に対応している必要があります。端末によっては、OSのバージョンや地域の設定によって6GHz帯が使えるかどうかが変わることもあります。また、6GHz帯ではWPA3での接続が前提になっているため、ルーター側の設定で古い暗号化方式のみを選んでいると、6GHz帯が使えないことがあります。










